男女脳の違いを読んで得た教訓を活用してコミュニケーションを円滑に(笑)

はじめに

男性は絶滅種という説がある。つまり、男性特有のY染色体が長期的には減少傾向にあるという説だ。ただ、これには反論する説もあり、よくわからない。しかし、ビジネスの世界でも女性のコミュニケーション能力の高さを評価することは増えている。女性だから優秀というわけではないが、コミュニケーション能力の低いもしくは欠如したヒトはマネジメントの世界では生き残るのは難しいかもしれない。そんな男女の脳の違いについて考えてみた。

男女脳の違いから考えるコミュニケーションのコツ

脳科学者の黒川伊保子は著書「妻のトリセツ」などのトリセツシリーズが人気だけど、最初の著書は1998年の「恋するコンピュータ」だった。当時コンピュータが心を持つなんてことを考える人がいなかったけど、富士通系のソフト会社に勤務してAIの研究を担当した著者が素朴に感じた感性だったのだと思う。著者とは、学生時代からの友人であり、ダイビング仲間でもある(といっても数回だけど)。学生の頃から感性や発想が飛び抜けていた。そんな著者が「妻のトリセツ」で語っているのが男女脳の違いだ。図表1は女性購買行動研究チームがまとめた男性脳と女性脳の違いをイラストしたものだ。それぞれの特徴をわかりやすく説明している。
図表1男性脳と女性脳の違い

出典:女性購買行動研究チーム

通信回線の違い

黒川伊保子さんの提案は、男性は事実の通信線でコミュニケーションするが、女性は心の通信線と事実の通信線でコミュニケーションするという点だ。その違いを理解することが妻とのコミュニケーションをよくポイントだという。例えば、女性同士の会話はまず共感から始まる。誰かが「マンゴ美味しそう」というと、「本当だ」「マンゴって美味しいよね」「まったりしていて好き」と一通り盛り上がるのが儀式だ。別に共感してもマンゴを注文する必要はない。妻の心ない言葉に戸惑う夫は多いと思う。男性は女性の発言を言葉通りに受け止めようとする。理屈で考えて、理屈で返す。しかし、妻が理不尽なことをいうのは、心の通信線で会話したいという切ない努力であり、「正しい事実」を返しても永久に解決しない。「あなたはいつもそう」に対して、いつもじゃない、理不尽と感じても、「辛かったんだね」と応えてあげることが正解であり、「5回中1回のはず」なんて答えは火に油を注ぐだけだ。

感情を持つコンピュータ

現在のAIは深層学習を中心とする機械学習での成果に基づく処理を示すことが多い。しかし、これは人間で例えれば5−6ヶ月の赤ちゃんだ。ようやく周りの音に反応したり、お母さんの笑顔に反応したりする。五感が徐々に発達して寝返りしたり、笑ったり、泣いたりする。もちろんこの段階でも心を持っているけど、14ヶ月ぐらいになるとはいはいや独り立ちができ始め、意味のない言葉でけでなく意味のある言葉を話し始める。好き嫌いの意思表示が始まったりいたずらを始めるのもこの時期だ。ペッパーはそんな人間の感情をマッピング化して表現することにチャレンジしているが、まだまだ不自然だ。第4次AIブームが到来したときには感情や心、共感が成長のエンジンになるのではないかとも言われている。今から楽しみだ。
図表2 人間と人工知能

出典:希望は天上にあり

異文化でのコミュニケーション

コミュニケーションの話に戻すと、「共感(Empathy)」についてコトバンクでは、「共感とは,他人の気持ちや感じ方に自分を同調させる資質や力を意味する。」と説明している。つまり、理性として納得するのではなく、感情として同調する。相手がどのように感じているかを自分の気持ちとして感じることのできる能力だ。人類学者である長谷川真理子さんは、「進化心理学から見たヒトの社会性(共感)」のなかで「ヒトは他者の情動に同調して同じ感情を持ってしまう情動的共感と、他者の状態を理解しつつも、自己と他者とを分離した上で、他者に共感する認知的共感の2つを備えている」としている。これはまさに黒川伊保子さんが指摘する心の通信線と事実の通信線と合致することだと思う。逆に言えば、男性は認知的共感には優れていても、情動的共感に欠けている、もしくは強化が必要なケースが多いということかもしれない。

ディベート

日本人はディベートが苦手だ。「和を以って尊し」という日本の文化に合わないためだろうか。そもそもディベートとは言い争うことではない。相手を言いまかすことでもない。ディベート(debate)は、一定のルールに基づいて、客観的な事実に基づいて異なる立場に分かれて特定の公的なテーマに対して議論することだ。月末の金曜日の深夜から土曜日の早朝にかけて「朝まで生テレビ」で有識者が議論するけど、相手の言うことを受け止めずに反論したり、あくまで自分の持論を繰り広げることが多くあまりカッコいいとは思えない。それでもつい録画して見てしまう。最近は三浦瑠璃が田原総一郎のお気に入りのようだ。現状の朝生は反面教師だけど、ディベートのモデルになるような討議をぜひ展開して欲しいところだ。論理的な議論であっても、情感的には共感できることを示した上で反論する方がスマートだ。相手の発言を遮ってまで自分の発言の通すのは見苦しい。

図表3 ディベートのルール

出典:ディベート基礎知識

まとめ

男性から見ると女性(妻)の発言が論理的におかしいと思いつつも、グッと飲み込むことが多かったけど、黒川伊保子さんの著書を読んで納得した。確かに、心情的な共感と論理的な共感はともに必要であり、片方ではダメなのだろう。その意味では、10年後、20年後にはその両方を兼ね備えたロボットが日常化しているのかもしれない。毎朝アレクサに今日の運勢を聞いているけど、どうも納得感がない。まだまだ改善の余地は大きいと思う(笑)。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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