やる気の源泉は腸内フローラの活動。適切な食生活と規則正しい排便と適当な運動がやる気アップには重要なのかもしれない。

はじめに

今週はやる気についての投稿が続いている。やる気と勤務時間との関係とか、やる気を高めるポイントなどについて投稿した。今回は、生理学的にやる気を分解してみたい。病は気からというが、逆に「健全な精神は健全な肉体に宿る」とも言う。確かに、どこかを患っているときはやる気は出ない。心の健康と身体の健康は密接に関係しているのは確かだろう。

腹落ち

かつての上司から「お前はまだ腹落ちしていないだろう」と言われたことがある。自分の性癖として納得したかどうかが表情にすぐに出ると指摘されたこともある。その時には、腹落ちの意味が分からず、「中落ち」なら好きだけど、腹落ちってなんだろうとさらに分からなくなったことを良く覚えている(笑)。腹落ちとは、頭だけでなく、腹の底から納得すると言う意味だ。組織の生産性を決めるものは人間関係だ。そして、人間関係を高めるには、お互いの納得感を高めることが大切だ。その時には、腹の底から納得する腹落ちは確かにKPIかもしれない。

ガッツフィーリング

腹落ちを英語でなんと言うのだろうか。翻訳させると「To get hungry」と出る。そして、これを再度日本語に訳すると「空腹になる」と出る。つまり誤訳だ。たぶん、英語で表現するなら「Gut Feeling」が近いのではないか。あいつはガッツがあると言う時のガッツ(Gut)だ。そして、このGutは日本語では腸の意味だ。「腹落ちする」と言う表現は非常に日本人的なものと理解していたが、実は欧米でも普段から腸の感覚を大事にするのは一緒だった。これは面白い。
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出典:sheerup

腸は第二の脳

腸の中には、独自の独立した神経系があり、約5億個のニューロンで構成する。食道から始まり、肛門で終わる。この腸内の神経系は脳から独立して機能する。また、副交感神経と交感神経は脳との双方向での通信も可能だ。つまり、感情や認知の機能は脳と腸が連動して起きている。従って、規則正しい生活をして、健康に良い季節の食材を使ったものを食べて、健康な腸の状態を維持できれば、メンタル面でも健康を維持しやすい。しかし、腸に炎症があったり腸の状況が悪いと、そのメッセージを脳が受信して、不安を感じたり、うつ病の症状になったりすることがあると言う。
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出典:BeyondAddiction

「幸せ感」や「やる気」は腸から

記憶を司る神経伝達物質は、アセチルコリンだ。そして、やる気を起こすのはドーパミンだ。さらに、幸せ感を司るのはセロトニンだ。これらを含めて30ほどの神経伝達物質が体内で生成される。そして、セロトニンの90%以上およびドーパミンの50%が腸内で生成される。免疫細胞の70%も腸内で生成される。腸を健康にするにはどうするか。健全なインプットとアウトプットだ。つまり、適切な食事と定期的な排便だ。腸内には、約5千種類の菌が600兆個から1000兆個も存在しているために腸内フローラとも呼ぶ。善玉菌、悪玉菌、日和見金の役割については別途投稿するが、健全に活動するには、規則正しい生活が一番だ。特に食べ物が消化されてから排便されるまでにはほぼ24時間かかるので、1日1回は排便して腸を整えたいものだ。

(出典:LSI札幌クリニック)

飢餓感と満腹感

胃が空になるとグレリンというホルモンが胃で作られて、脳に入り、視床下部のニューロンに作用する。その結果、飢えを引き起こす神経細胞の活性を高め、飢餓を抑制する細胞の活性を低下させることによって飢えを刺激するという。インスリンペプチド5も飢餓を刺激する第2の循環ホルモンであり、主に結腸で産生される。逆に、コレシストキニンは、食物が小腸に達すると小腸で生成され、満腹感を与える。このコレシストキニンをマウスの脳に注射するとマウスは食べるのを止める。このように臓器は様々なホルモンを分泌することで我々の飢餓感や満腹感をうまく制御している。
出典:TheConversation

思いやりと感情

瞑想をマインドフルネスという。マインドフルネスを8週間続けると不安感が減少するという。鬱病に対しても一定の効果があり、瞑想を繰り返すことで、思いやりの状態に入りやすくなる。ウィスコンシン大学の研究者は、免疫系応答に対するマインドフルネスの影響を調べ、マインドフルネスがHIVの被害者の免疫システムを維持する上で極めて効果的であることを発見した。
出典:Tppahanshilhorst

腸の役割

精神を安定させるマインドフルネスは腸が果たすべき役割を果たせるようにサポートする機能があるのかもしれない。
1) 腸は情報を脳に送る。消化器官の神経系のうち80〜90%は、指令を受け取るだけではなく、脳に情報を送っている。
2) 腸は自分で動く。腸は「腸神経系」と呼ばれる独自の神経系を持ち、脳からの指令がなくても自活できるそうです。
3) かつて貴重なエネルギー源だった砂糖や脂肪を食べると、ドーパミンを脳内で分泌させて、快感を感じさせる。
4) 脳内物質は腸内で生成される。ドーパミンの50%、セロトニンの90%は腸が生成する。おいしいものを食べると幸せな気持ちになるのは、こういった作用が関係している。
5) お腹と心の調子はリンクする。ある特定の腸内細菌が生育しないマウスは自閉症と似た症状が発現する。必要な腸内細菌を与えると症状が改善し、学習記憶に関係するタンパク質も戻る。
6) ヨーグルトのようなプロバイオティクス食品は、生きた細菌を直接腸まで届けてくれる。プロバイオティクス食品を30日間食べ続けると不安やうつの症状が軽くなった報告もある。
7) 腸内細菌が学習能力や記憶力にも影響する。ある腸内細菌をネズミに与えるとストレスレベルが低下し、学習能力と記憶力が向上するという報告がある。
8) 腸内にペースメーカーを埋め込んでセロトニンを分泌させてうつ病の治療をしようという試みがある。
9) ある腸内細菌の状態が「社会性をアップする」という研究結果もある。他の人の役に立とうとする行動のの原動力は腸内で生成する細菌やホルモンだとは驚きだ。
出典:tabi-labo

まとめ

精神を安定させるために座禅をしたり、瞑想したりすることは昔から行われてきた。最近では、瞑想のことをマインドフルネスと呼んで心身のリフレッシュに役立てる動きがある。職場でも月に2回ほどお昼時間を活用して、マインドフルネスをする活動がある。腸は第二の脳、心臓は第三の脳とも言われているが、本当は心臓が第二の腸、脳が第三の腸かもしれない。いずれにせよ、内臓が健全に活動できるように節度を保った食生活や睡眠を取ることが重要なのかもしれない。専門外なので、見当外れの部分があればご指摘ください(汗)。

以上

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腸内フローラのイメージ
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