不協和音に基づくベン・フランクリン効果の活用と13の徳の積み重ねはどちらが難しいだろうか。

はじめに

人の心理とは不思議な物だ。以前、「心の3要素は欲求と感情と言語」について投稿したが、今日は、心理の話を考えてみたい。「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ。」は、米国の哲学者・心理学者であるウィリアム・ジェームズ(1842年1月から1910年8月)の言葉だ。意識の流れの理論を提唱し、哲学のみならず心理学や生理学などにもの図書も執筆し、心理学の父とも言われている。

(出典:ameblo)

不協和音

2017年12月31日に放送されたNHKの紅白歌合戦では、欅坂46の平手友梨奈さんが熱唱して倒れ込んだ。「不協和音を僕は恐れたりしない。嫌われたって僕には僕の正義があるんだ。殴ればいいさ。一度妥協したら死んだも同然。支配したいなら僕を倒してから行けよ!」と締め括る歌詞はアイドルの歌と思えないほどの強い思いを感じる。香港の民主活動家である周庭(アグネス・チョウ)さんは拘束されている時に、「最後の最後まで抵抗し続ける」と言う不協和音の歌詞がずっと頭に浮かんでいたという。世の中には理不尽なことがある。歌の持つ力はすごい。

(出典:朝日新聞

認知的不協和

認知的不協和音(cognitive dissonance)とは、2つの異なる内的な信念と認知が相容れない時に生じる社会心理学的な現象であり、米国心理学者レオン・フェスティンガーが提唱した。認知の重要性の個人的な価値が大きいほど関係の不協和音の大きさは大きくなる。不協和音の2つの項目の重要性が大きい場合にどちらの行動や思考が正しいのか判断することが難しくなる。このため、人はこれを解消するために、矛盾する認知の定義を変更したり、過小評価したり、自身の態度や行動を変更する傾向がある。イソップ物語のキツネとすっぱい葡萄の逸話が知られる。つまり、キツネが狙っていた葡萄を取れなかった時に、その葡萄を酸っぱくて美味しくないと自己正当化する話だ。

(出典:Ameblo)

ベン・フランクリン効果

認知的不協和と良く似た現象に「ベン•フランクリン効果」がある。これは、誰かを助けたり、誰かの役に立つことをすると、その人のことを好きになってしまうという効果だ。仲良くなりたいと思う女の子にアタックする時には、優しくしたり、プレゼントしたり、ご馳走したりするのではなく、その子に頼み事をして、行動してもらうと、なぜか自分のことを好きになってしまうと言う。よく芸能界でダメ男のことがほっとけなくてと話す人がいるが、彼女はまさにベン・フランクリン効果の術中にハマっているのである。一人では何もできない人、お金のない人、困っている人を助けることで、本人も幸せになるのは良いけど、その対象者に行為を持ってします。ホストの手口もこれに近いものがあるかもしれない。なぜ、このようなことが生じるのかといえば、前述の「認知的不協和」が解消されるためだ。つまり、Aさんのために何かをする場合に、Aさんに好意を持っていると考えるとストーリーが繋がる。自分がとった行為に正当な理由を人の脳は見つけようとする。逆に、自分の物事に対する態度とそれに取り組む行動が一致しないと認知的不協和という不快さを感じる。脳はこのストレスを解消するように、筋の通るように無意識に解決するためだ。

(出典:note)

ベンジャミン・フランクリン

ベンジャミン・フランクリン(1706年1月から1790年4月)は、作家であり、科学者であり、発明家であり、政治家だ。それ以外にも、外交官であり、印刷者であり、政治哲学者だ。避雷針や遠近両用眼鏡などを発明している。フランクリンは、当初は作家を目指し、ロンドンで植民地の統一を目指して不屈の運動を行い「最初のアメリカ人」と呼ばれる。フランクリンは、植民地の主要都市であるフィラデルフィアで新聞の編集者・印刷者として成功し、リチャード・サンダースというペンネームで執筆したプア・リチャード・アルマナックを出版して富を得た。1751年に開校し、後にペンシルバニア大学となるフィラデルフィア・アカデミー・アンド・カレッジの先駆者であり、初代学長である。外交官としても活躍し、パリ公使としてフランス人にも慕われ、米仏関係の発展に大きく貢献した。1753年には、イギリス植民地の副郵便局長に就任し、全国的な通信網の構築に貢献した。1785年から1788年まではペンシルバニア州知事を務めた。当初は、奴隷を所有し、取引をしていたが、1750年代後半には、奴隷制に反対する議論を始め、奴隷制廃止論者となった。建国の父の一人として、フランクリンは死後2世紀以上経ってから、50セント硬貨、100ドル紙幣、軍艦、多くの町・郡・教育機関・企業の名前、さらには多くの文化的文献の肖像画にその名を刻んでいる。

(出典:Benjamin Franklin)

フランクリンの13の徳

フランクリンの自伝によると、1728年ごろに彼は「道徳的完全に到達する大胆で難儀な計画」を思いついたようだ。この理想を実行するため、自らの信念を十三の徳目にまとめた。彼は毎週徳目の一つに捧げ、年に4回この過程を繰り返した。この精神力は素晴らしいし、その発想や実行力が理系的だ。毎週テーマを決めて活動するのは理解できるが、それを13個で回転させるとはウイットに飛んでいる。また、西洋的というよりは、東洋的な思考も含まれているような気がする。

1.Temperance. Eat not to dullness; drink not to elevation.
節制 飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ。
2. Silence. Speak not but what may benefit others or yourself; avoid trifling conversation.沈黙 自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。
3. Order. Let all your things have their places; let each part of your business have its time.規律 物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。
4. Resolution. Resolve to perform what you ought; perform without fail what you resolve.決断 なすべきをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。
5. Frugality. Make no expense but to do good to others or yourself; i.e., waste nothing.節約 自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち、浪費するなかれ。
6. Industry. Lose no time; be always employ‘d in something useful; cut off all unnecessary actions.勤勉 時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし。
7. Sincerity. Use no hurtful deceit; think innocently and justly, and, if you speak, speak accordingly.誠実 詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出すこともまた然るべし。
8. Justice. Wrong none by doing injuries, or omitting the benefits that are your duty. 正義 他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。
9. Moderation. Avoid extremes; forbear resenting injuries so much as you think they deserve.中庸 極端を避くべし。たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むべし。
10. Cleanliness. Tolerate no uncleanliness in body, clothes, or habitation.
清潔 身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。
11. Tranquility. Be not disturbed at trifles, or at accidents common or unavoidable.
平静 小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に平静を失うなかれ。
12. Chastity. Rarely use venery but for health or offspring, never to dullness, weakness, or the injury of your own or another‘s peace or reputation.純潔 性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これにふけりて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他の平安ない1し信用を傷つけるがごときことあるべからず。
13. Humility. Imitate Jesus and Socrates.謙譲 イエスおよびソクラテスに見習うべし。

まとめ

ベンジャミン・フランクリンは人間的な魅力に溢れた人物だったようだ。いわゆる人タラシかもしれない。アイデアマンでもあり、弁も立ち、思想もしっかりしている。彼のために何かをしたいと思わせる人物だ。ベンジャミン効果を期待するのではなく、そんな人物になることを目指すことが本道かもしれない。そのためには、13個の徳を掲げて、それを1週間のテーマとして徳を積むことにトライしてみてはいかがだろう。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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