筋肉の信号で動作する筋電義手に驚き。新モデルはオープンソース化でさらなる広がりが期待される。

はじめに

若い人にエイトマンの話をしたら「知らない」と言われた(涙)。8マンは1963年から1965年にかけて週刊少年マガジンに連載された。テレビではTBS系列で1963年11月から1964年12月まで放送された。殺された刑事東八郎を救済するために、科学者谷博士によってロボットに人格と記憶が移植された。原子力をエネルギー源とし、冷却剤として定期的にタバコ型強加剤を服用する。服用できずにハラハラするシーンがあった。

(出典:YouTube)

BMI

エイトマンは、腕や足がバラバラになっても主人公東八郎の意思で動くことができた。そんなことも現在の技術を持ってすればできるかもしれない。BMIとはブレイン・マシンインタフェースの略であり、頭脳の脳波を計測して、処理して、制御信号に変換して活用する。ロボットアームを動かしたり、車椅子を動かすことが研究されている。

(出典:大西章也のHP

身体障害者の数

厚生労働省の「平成18年身体障害児・者実態調査」では、昭和26年から平成18年までの身体障害者の推移が示されている。昭和26年当時は50万人だったが、平成18年には350万人まで増加している。令和元年版によると1970年には150万人、2016年には428万人に増加している。年齢別には、例えば2016年のうち72.6%は65歳以上の高齢者が占めていた。

(出典:厚生労働省

義手と筋電義手

事故や病気で四肢の一部を失った人の気持ちを考えるとなんとかしたいと思う。義手には外観を装うために装飾義手が一般的だけど、能動的に動かせる筋電義手がある。しかし、下の図に示すように筋電義手は全体の約2%と非常に少ない。

(出典:障害者自立支援法における筋電義手の支給と課題

海外との比較

内閣府の調査結果を見ると、日本における上肢切断者(18歳以上)は8.2万人に及ぶ。毎年3千人が被害に遭っている。そのうち70%は筋電義手を希望するが、実際に活用しているのは前述の通りわずか2%だ。これはドイツの70%やアメリカの32%に比べて、格段に少ない。なぜだろう。

(出典:筋電義手普及の現状と課題と今後の展望)

上肢の切断レベル

上肢の切断もどの部位で切断するかで結果は大きく異なる。具体的には、手関節で切断される手関節離断、肘より下で切断する前腕切断、肘関節で切断される肘関節離断、肘より上の部分で切断される上腕切断、肩関節で切断される肩関節離断、最後は肩甲骨と鎖骨を含めて上肢の全てが切除される肩甲胸郭間切断だ。

handiiiの紹介

筋電義手が普及しない理由は、まず価格が100万円以上と高いこと、デザインの選択肢がないこと、修理が難しいことだ。そこで、日本のベンチャー企業exiiiが普及版のロボット義手handiiiを開発した。目標は選択肢を増やし、修理を可能とし、価格を抑える。そのために、機構を工夫してモータ数を減らす、スマホを活用した動作制御、3Dプリンターを活用した製造により、大幅なコスト削減を実現した。

(出典:YouTube)

サイバスロン(CYBATHLON)

2021年8月24日から東京パラリンピックが開催される。サイバスロンは障害者のための国際競技大会だけど、その競技種目は日常的な動作であり、ロボット技術を駆使した義肢を活用することが特徴だ。第1回は2016年にスイスのチューリッヒで開催された。2019年には予選大会が川崎を含めて世界各国で開催され、スイス、ロシア、香港、日本などから集まった。第2回のサイバスロン2020は、コロナ禍の影響もあり、11月13日(金)と14日(日)の二日間でオンラインで実施された。サイバスロンでは、電動義手で洗濯物を干すとか、電動車いすで階段を昇り降りするとか、障がいを持つ人の日常生活をもっと快適にしたいという想いが出発点となっている。

(出典:在日スイス商工会議所

まとめ

今回は脳波や筋肉からの信号を読み取り、義手を動かすという筋電義手をテーマとした。建設現場でも事故により腕や足を怪我することがある。いわゆる労働災害だ。昭和54年9月には筋電電動義手の研究の目的で調査費として一人一本として63万円の支援金が支給されるようになった。しかし、通常120万円程度するため実際に利用する人は少ない(参考)。充電も必要だ。現行のhandiiiを開発しているexiiiはこれに続く新モデル「HACKberry」をオープンソース化した。Githubで公開されたデータに基づいて3Dパーツを製造したり、ソースコードを改良して、義手を作ることも可能だ。子供が夏休みの宿題に義手を作るなんてこともあり得るのだろうか。これは楽しみだ。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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