はじめに
相撲は日本の国技だけど、海外にも相撲がある。なぜかそれがシルクロードを経由する諸国に文化として根付いている。相撲のルールはそれぞれのお国柄が出ている。この相撲文化の点在は偶然ではなく、何か必然的な理由があるように感じるけど、その理由は今後も引き続き調査する中で見えてくるだろう。
大相撲
香港から帰任して海外営業部という部署の所属になり、外資系企業を担当した。その時に、たまたま大相撲のチケットが回ってきたのでお客様を誘って大相撲の観戦をしてきた。2001年5月21日の千秋楽の前の日の取り組みだった。貴乃花は勝ったけど、武双山戦で膝を亜脱臼した。そして、その翌日テレビで千秋楽を見ていると満身創痍の貴乃花が宿敵の武蔵丸と対峙し、阿修羅の形相を見せて優勝した。「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!」と表彰式で当時の小泉首相が叫んだのが印象的だった。まさに、世紀の一戦と感動した。
(出典:オンライン文春)
海外の相撲と日本の相撲との比較
日本の大相撲の横綱は、モンゴル出身力士が優勢だったので、モンゴル相撲は日本でも有名だ。しかし、調べてみると、トルコ相撲や韓国相撲などがあるし、後述するようにウズベキスタンやアフガニスタン、インドにも相撲があ流ようだ。面白い。直径4.55mの円という土俵を定義しているのは日本だけだ。トルコ相撲やモンゴル相撲には土俵はなく、韓国相撲では競技のみ直径8mの土俵を使うようだ。国によってルールが微妙に違うのが興味深い。
トルコ相撲
トルコ相撲はヤールギュレシもしくはオイルレスリングという。「空手バカ一代」の中で、トルコ相撲の力士と大山倍達が対戦したシーンを読んで興奮したことを思い出す。このトルコ相撲の歴史は古く、トルコ民族伝統の相撲とローマ帝国の伝統を引き継いだ相撲に分化したものがあり、現在のトルコ相撲は後者だ。しかし、日本人のルーツを考えるにはトルコ民族伝統の相撲を紐解きたいが、残念ながらネットで検索するレベルでは情報を確認出来なかった。現在のトルコ相撲は相撲と言うよりもレスリングだ。ルールは相手の背中を一瞬でも地面につけるか、持ち上げて3歩歩けば勝ちだ。試合時間は無制限だったため命懸けの戦いだったが、1975年には試合時間が40分に制限された。ヤールギュレシュでは、取り組みの前に対戦相手の儀式がある。相手と握手をして、両手を交互に振り上げて踊るという。一度見てみたいものだ。
(出典:ヤールギュレシ)
モンゴル相撲
大相撲の第69代横綱である白鵬翔や第68代横綱の朝青龍明徳はともにモンゴル出身だ。モンゴルではブフト呼ぶ格闘技があり、その起源は紀元前3世紀頃と言う。宗教的な奉納儀式としての要素や、軍事訓練的な要素がある。日本の相撲のルーツとも言われるが詳細は不明だ。モンゴル相撲には土俵がないが、膝や肘、頭、背中などが大地に触れると負けだ。日本の相撲と違うのは足裏だけでなく、手のひらを大地につけても負けにはならない点だ。600種類ともいう多彩な投げ技があるが、決着がつかずに3-4時間の持久戦になることがある。行事は選手ごとにいるので、審判というよりはコーチのような感じだろうか。
(出典:ブフ)
韓国相撲
韓国相撲はシルムだ。お互いに頑張りながら競うという意味のシルダの派生語だ。起源は不明だが、4世紀に築造された高句麗の古墳にはシルムを描いた壁画が残っているので、少なくとも高句麗の時代かその前の時代だったのだろう。土俵はなく、平らな広場で戦う。膝から上が地面に着くと負けだ。最近は直径8mの円内で競うがこれは土俵ではなく、円から出たら中央に戻って再開する。予選と決勝があり、予選では3本勝負、決勝では5本勝負だという。1回の負けで納得しないのは国民性だろう。宗教色はないようだ。倭の国が百済を助けた時に倭の国の相撲文化が朝鮮半島に渡ったという推察もできそうだ。
シルクロードのルート
相撲はシルクロードを辿ったのではないかと思って、このブログを書いたが、前述のトルコ、モンゴル、韓国に加えて、ウズベキスタン、アフガニスタン、インドでも相撲文化は根付いている。これはどういうことなのだろう。
(出典:YouTube)
まとめ
日本人が愛する相撲の起源を紐解けば、日本人の起源を考えるヒントになるかと考えたが、残念ながらまだよくわからない。ただ、日本の相撲の特徴は神事である点だ。海外の相撲で宗教色があるのはモンゴル相撲とトルコ相撲だ。特に後者では、トルコ民族伝統の古代の相撲の詳細を知りたいと思った。日本語とトルコ語は、ともに主語+述語+目的語という順番であったり、単語レベルでも類似点は多い(名古屋大学)。トルコの文化やウズベキスタンの文化などを調べると少しは何か興味深い情報が得られるかもしれない。今後、東大の図書館に行ったら調べてみよう。
以上
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拝