ロッテホールディングの玉塚元一代表取締役社長へのプレゼンとレクチャ

はじめに

法政大学経営大学院のMBAの公開授業に参加した。敬愛する米倉誠一郎教授は今日も元気いっぱいだった。招致したのは、株式会社ロッテホールディングスの代表取締役である玉塚元一氏だ。講義は、まず学生からの事業プレゼンを行い、その後玉塚社長によるレクチャーへと進み、最後に記念撮影だ。コロナ禍の前は、その後の懇親会が大いに盛り上がったのだけど、残念ながら今年はまだまだ自重が続く。

学生による事業プレゼン

今回の事業プレゼンはいずれも好評だった。いくつかは玉塚社長からも「ど真ん中」と高評価だった。ザッと概説すると次のような感じだろうか。

提案1:ガーナで社会貢献、世界の菓子業界のロッテシェアを0.44%から1%へ

ロッテと言えばガーナチョコ。国名を商品名に冠しているのはブルガリアヨーグルトとガーナチョコぐらい。カカオの加工で生じるカカオ殻を活用してバイオ発電を行い、ガーナに学校を設立して、ロッテといえばガーナというイメージをテコに世界の菓子業界のシェアアップを目指そうというもの。玉塚社長からはこれはど真ん中の提案と評価された。


(出典:ロッテ

提案2:非常食として缶入りプロテインで社会貢献と災害対策

非常食は炭水化物系が多く、被災地では栄養のバランスが崩れて体調を崩す例もある。プロテインを豊富に含む非常食としての缶製品を生産し、貯蓄し、賞味期限前には市場で消費して、消費分を生産するというトライアングルサイクルを回すことを提案。玉塚社長からはなぜプロテインと非常食の掛け算かと質問。米倉教授から、災害が日常化している今般の社会情勢を考えての提案だねと助け舟。


(出典:@Press

提案3:小諸市でLotte Wellness City(コモロッテ)事業を立ち上げ、横展開

玉塚社長からはこのような具体的な提案が大事だと気に入ってようだ。ロッテだけではなく、スマート三輪などをヤマハと連携したり、コンビニと連携したり、マネタイズするビジネスモデルを確立できれば、横展開できる。これもど真ん中と評価された。


(出典:小諸市

提案4:パーム油の活用でSDGsの推進強化

日本人、特に10代などロッテのメインターゲット層はSDGsへの関心が70%以上と高いが、具体的に各社が何をしているのかよく知らない。例えばパーム油の生産のためのインドネシアの森林破壊が進んでいる。森林再生プロジェクトをロッテが仕掛けるなどSDGsの活動を通じてロッテの姿勢を社会に示すことが必要と提言があった。玉塚社長からは投資家対応の意味でもSDGsは待ったなしだとコメントがあった。


(出典:WWF)

玉塚社長によるスペシャルレクチャー

玉塚社長は一言で言えば燃えるラガーマンだ。目の前に障壁があったらまずはまっすぐに全力でぶつかる。最初に旭硝子に入社した時も、工場の職人に質問をぶつけてぶつけて、相手が嫌になるぐらいまでぶつけると、そんなことも知らないのかと言いながら、肝を教えてくれる。この原体験が玉塚社長の現場主義のオリジンと言える。海外留学した時も教授に質問して、質問して、質問して疑問点をどんどん深掘りした。ある程度頭が良くて、知識はあっても斜に構えるような学生はダメだと断言する。帰国後にIBMに就職してコンサルのような仕事をしたが、クライアントがユニクロの柳井社長だったのが強運の証だろう。君は何になりたいのか?経営者になりたい。経営者になるには、小さくても良いから自分で事業を立ち上げ、販売で苦労したり、人を雇うことで苦労したり、お金の確保に苦労したりしなければダメだと言われた。柳井社長からはうちに来いと誘われ、チャレンジするリスクより、チャレンジしないリスクが格段に大きいと決めた。その後徹底的に仕込まれたのが経営者としての全ての土台だという。ローソンでも新浪剛史元社長(現サントリーホールディングス社長)に寵愛を受けた。会議では、新浪社長の独断場で誰も反論しない。それではダメですと提言すると、そのためにお前を呼んだのだと言われ発奮した。事業は、常に壁にぶち当たる。たとえば、売上3,000万円の壁に停滞したとする。やはりテコ入れが必要だ。現場の声を聞き、消費者の動向をよく分析し、必要な体制を構築することで一億円は目指せる。さらにそれを三億円、十億円と増やすことが経営者の仕事だ。現在はロッテホールディングの社長として、日本及びグローバルの事業の責任者として青写真はできている。難しいのは、創業者の長男が日本を率い、次男が韓国の事業を拡大させた。実力も実績も次男だが、日本法人が親会社であるため、兄弟の対立があった。創業者がなくなり、兄弟の確執にも一定の解決が図られた。ロッテはまだ上場していないが、この上場を実現できるかどうか、日本およびグローバルなロッテの事業を飛躍させられるかが玉塚社長のミッションだ。

企業変革推進の触媒の役割

これは門外不出の経営の真髄とも言えるのではないだろうか。6つほど列挙されていた。一つは誰が現場のキーパーソンかを見極める。そして、歩留まりとか、フードロスとか、在庫回転率とか、肝となる数字を現場ベースで決める。2つ目は経営層や管理層や現場の職員層などあらゆるレイヤの人々の自発性を尊重しながらも巻き込む。3つ目はミクロ的視点とマクロ的視点、個別具体的な検討と全体的俯瞰的な判断のような相反する行動のバランス、4つ目は技術や業界や新しい競合などへのアンテナ感度を高める。5つ目は本質をつかむ能力と実践的な解決力を生み出す創造力と強固な目的意識を醸成させる高度なリーダシップだ。そして、最後は人間で言えば骨格のような事業の仕組み構造と、人間で言えば血液のような企業文化を変えることこそが経営者の仕事だ。企業の理念や目標について経営者も現場のにいちゃんも同じように語れる企業はやはり強い。

まとめ

韓国ではロッテはコングロマリット化していて、多くの事業を手がけてそれぞれで成功している。日本ではガムやチョコなど創業者が蒔いたたねを丁寧に育てている。まるで経営方針が異なる。停滞する日本経済の縮図のような図式だと感じた。玉塚社長が今後どのようにロッテジャパンを飛躍させるのか、韓国のロッテとどのように調整するのか。これからのロッテの動向が非常に楽しみになった。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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