教育と学習:人生100年時代を乗り越える学びながら能力を活用するフレキシキュリティ

はじめに

2020年の元旦だ。新年開けましておめでとうございます。コロナかも完全には解決していないし、オミクロン株の感染拡大も気になるところだけど、そもそも無症状の感染者は感染者ではなく単に陽性反応が出た人のはずだ。世の中が正常に明るく回転し始めることを、社会に笑顔が戻ことを祈って、元旦の投稿は教育と学習について投稿したい。本年もよろしくお願いします。

古代ギリシャの偉人の言葉

古代ギリシアの教育は、人生の徳を育むパイデイアと職人に技術を教え込むテクネーに分かれていた。特に、このパイディアの観点において、古代ギリシャの偉人は含蓄のある言葉を残している。例えば、古代アテネにおいて政治・経済・道徳の衰退を防ごうとした政治家ソロン(紀元前639年頃から紀元前559年頃)は、「長く生きれば生きるほど学ぶ」と説いている。紀元前8世紀末の詩人であり、西洋文学最初期の2つの作品『イーリアス』と『オデュッセイア』の作者とも言われるホメーロスは社会を継続教育や生涯学習という目標を達成できる教育マトリックスに形成し、人生全体を通じて行われなければならないと提言している。哲学者ソクラテス(紀元前470年頃から紀元前399年)は「教育の本質とは、人々が生涯をかけて人生の真の目的を達成できるようにすることである」と述べている。さらに、ソクラテスの弟子でありアリストテレスの師であるプラトン(紀元前427年から紀元前347年)は「教育は誕生から人生の終わりまでの旅であり、生涯を通じて学び続けることによって初めて、個人は健全な市民となることができる」と語っている。最後に、アリストテレス(紀元前384年から紀元前322年3月)は「人はみな知を求め、教育や生涯学習を通じて知恵の徳を身につけ、良い人生を送ることができる」と説いている。

日本の伝統的な教育「實語教」の教え

日本では、1000年以上に渡り、寺子屋の教材となっていたのが実語教だ。下の図のように5文字の漢語がペアとなって韻を踏んだり、対比法を活用している。寺子屋に学ぶ子供達は、5歳とか6歳の頃から意味も分からずにまずはこれを暗唱する。7歳とか8歳になって文字を読めるようになると実語教の内容を写経する。そして10歳の頃にはその意味を理解して行く。その教えは日本人のDNAとして魂に刻まれる。極論すれば、実語教は大和魂そのものだ。「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なりとあり。されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由(よっ)て出来るものなり」がある。そんなことを今の日本人の子供たちは教わっていない。お金を儲けて勝ち組になることを目指すために勉強するのではない。何のために勉強するのかという素朴な質問にきちんと答える社会でありたいと思う。

(出典:実語教

学習と教育

学習と教育はそれぞれ英語ではなんというでしょう。学習は能動的(active)に関心(curiosity)を持って内在的(intrinsic)に行うlearningだ。逆に教育は受動的(passive)に課程(carriculum)に沿って、外因的(Extrinsic)に行うEducationだ。つまり、教育とは誰かが誰かに何かを教えるものである。そして、学習とは自発的に自分の気持ちのままに何かを学ぶことだ。この2つは似ているが全く異なる概念だと言える。知らないことを知ること、それまでできなかったことができるようになること、解けなかった問題を解けるようになること、そのような成長を体感することは大きな喜びである。しかし、他律的に何かをやらされるのと、自発的に何かをすることは全く異なる。最もスマートな教育はインセンティブを高め、やる気にさせることだ。その動機が不純なものであっても、一度高められたやる気は貴重だ。本当は多発的だったかもしれないけど、それを自発的なものに変換することができれば、大きな成果を得るだろう。

(出典:edtech

リカレント教育

日本人も日本企業も長寿を誇る

会社の寿命と労働者の労働寿命のどちらが長いのだろう。日本には世界トップクラスの長寿会社が集中している。世界最長の企業は西暦578年に創業した金剛組だ。1440年以上も継続している。山梨県の西山温泉にあり、西暦705年(慶雲2年)に創業した慶雲館は世界最古の宿泊施設であり、ギネス世界記録としても認定されている。創業100年以上の企業(下の図の左)も創業200年以上の企業(同右)も日本がダントツの一位だ。日本では、年功序列、終身雇用、企業別組合で世界をリードしていたはずだった。

(出典:日経BP

倒産企業の平均寿命

失われた30年といわれるが、日本企業が長寿と言えるかどうかは疑問である。100年、1000年を超える長寿企業は生き残っても、23年も経過すると生存率は半分だ。倒産企業に限って見れば平均寿命は25年を下回る。大学を卒業して25歳から50歳まで会社勤務したとして、半分は倒産の憂き目に合うということになる。大手企業も安泰ではない。事業展開が衰退すればリストラや希望転職を募られる。第二、第三の人生をどう乗り切るかを常に準備しておく必要がある。これが近年リカレント教育の必要性や重要性が叫ばれる理由だ。

リカレント教育(recurrent education)とは、主に学校教育を終えた後の社会人が大学等の教育機関を利用した教育のことを指す。生涯教育を受けて発展した概念であり、職業能力向上となるより高度な知識や技術、生活上の教養や豊かさのために必要な教育を生涯に渡って繰り返し学習することを意味する。これには、企業内教育により就業しながら必要な知識や技能を習得する教育訓練を行うOJT、仕事を一時的に離れて行う教育訓練(Off-JT)も包含されている。

フレキシキュリティ(黄金の三角形)

北欧のデンマークでは、労働市場政策モデルに下の図に示すような「フレキシキュリティ」を採用している。これは、雇用の柔軟性を担保しながら、同時に手厚い失業保障によって労働者の生活の安定を図り、同時に次の仕事に移るための教育プログラムを充実させて積極的な雇用を創造する政策だ。フレキシキュリティ(flexicurity)とは柔軟性(flexibility)と安全性(Security)の造語であり、1990年代にデンマークのポール・ニュップ・ラスムセン首相(1943年6月15日生)が提唱した。

(出典:business)

日本の学び直しはなぜ最低レベル

先のデンマークでは、25歳以上の学士家庭への入学者の割合が27.6%だ。スイスは同29.7%とトップだ。一方、日本はどうかと言えばわずか2.5%だ。日本では、なぜこれほど学び直しが低水準なのか。一つは、会社に雇用されたタイミングの学歴が重要であって、入社後に取得した学歴が昇給や昇進に評価されにくいという側面や、学び直すよりも仕事を頑張った方が評価される側面、そもそも学び直すような余裕は時間的にも金銭的にもないという厳しい側面が思いつく。しかし、このままで良いのだろうか。

(出典:business)

リカレント教育の年代別意向

2018年に文部科学省が発表した「教育・生涯学習に関する世論調査」によると社会人になってから大学や大学院などの学校で学んだことがある、もしくは学習してみたいという回答は30代では過半となる51.9%だった。40代で46%、50代で40.2%だった。これはどういうことなのだろう。

(出典:nli-research)

リカレント教育の知名度と意向

リカレント教育を知っているかと言う問い(下の図の左)に聞いたことがあるが30%ほどだが、リカレント教育をしたいと思いますかと言う問い(同右)で肯定的な回答をした人は75%に達した。リカレント教育という言葉は知らなくても、新しいことを学びたいという意欲は高いようだ。

(出典:hatarako

華為の知の共有文化

5Gなどの情報通信やスマホなどのデバイスの開発を進めるファーウェイ(華為)から転職の誘いを受けたことがある。当時は、華為にモバイルルータを発注していて、不具合が多発するのに、華為の対応が十分ではなく、バトルをしていた時期なので、断った。エリクソンのCTOに転職した友人からは勿体無いことをしたねと言われた。そんな華為は知の共有という文化を重視し、社員教育を徹底的に内製化している。華為の社内に世界最先端の知見が揃っていて、社内に学ぶべきリソースが豊富にあるため、リカレント教育を内製化して推進している。華為にはファーウェイユニバーシティと呼ばれる社内研修機関や世界45か所にトレーニングセンターがある。講師はベテラン社員が務め、自身の業務経験を語り、後進の質問に答えるというスタイルがメインだ。新入社員には必ず2人のコーチがつき、1人は日々の業務の指導役で、もう1人はファーウェイ社員としてどう働くべきか若手の悩みに答えながら導くメンターの役割を担う。華為は知の共有という文化を非常に重視しており、それが華為の強さの秘密の一つとなっている。確かに、勿体無いことをしたかもしれない。

生涯学習

生涯学習(Lifelong learning)は、継続的、自発的、かつ自主的に個人的または職業的な理由で知識を追求することだ。個人の競争力や雇用機会にとって重要であるだけでなく、社会的包摂、積極的な市民権、自己啓発を高めるものだ。誰に教わったのかを思い出せないが、「人それぞれに夢があり、夢それぞれに道がある。人みな夢に向かって励みなん。」と言うものだ。職人が自分の技術を一生かけて磨き続ける様がイメージされる。日本は古来、コツコツと努力を積み重ねる民族だったはずだ。その心はどこかに行ってしまったのだろうか。

学びの気持ち

パーソル総合研究所が2018年2月に実施した「働く1万人の就業・成長定点調査2018」では、日本の労働者の働く意識や学びに対する態度をアンケート調査している。それによると、「自分の成長を目的として行っている勤務先以外での学習や自己啓発活動」に取り組んでいる人が過半数いる一方で、47.5%の社会人は特に何もしていないと言う回答だった。実際に行動を起こしている人も、読書や資格取得のための学習や勉強会等への参加であって、大学・大学院で学び直す人は2.6%だった。これは先のOECDの調査とほぼ同じ内容となる。

(出典:パーソルグループ

マルチステージ型への備え

かつての日本は、学校を卒業して、会社に入って、定年まで勤め上げることがモデルだった。しかし、前述の通り一つの企業に勤め上げることは半数以上は叶わない。変化の激しい時代に追随するには、企業は変革する必要があり、そこに働く人も常に社会が求めるスキルを身につけて実力を高めるために学び直すことが求められている。自分自身、会社に入ってから放送大学で大学卒の資格を取得し、法政大学経営大学院でMBA(経営管理修士)の資格を取得した。やり遂げた満足感も高いが、同じ学校で共に学ぶ仲間がいて、刺激しながら学べたことや人脈が広がり、知見が高まったことは実感できる。技術士の資格にチャレンジしたのも定年前だったけど、定年後の再雇用での待遇は優遇された。これからは一人一人がどのようなスキルが必要かを考え、自主的に能動的に自分を磨いていくことが必要だし、望まれていることだと思う。


(出典:パーソルグループ

能力の活用

自分の能力を活用する。伸ばす。育てる。そんなことに興味ある人はネットで検索して、アクセスしてみると良いと思う。最近、お薦めだと思うのはランサーズや、BizLinkだ。ランサーズでは、仕事を受注したいフリーランスの方にWeb・モバイルアプリ開発案件を中心にご紹介している。また、BizLinkではフリーランスエンジニアの働き方にマッチしたお仕事が見つかる。まずは登録して、自分の相場観を知ることから始めるのも良いかもしれない。

まとめ

華為が知の共有を図り、社員の教育に注力しているのは驚きだった。OJTで部下や後輩を育てるのは日本企業のお家芸だと思っていたが、最近は委託社員や派遣社員が増えて、そのような文化が喪失している企業も増えているのではないだろうか。なぜなら、業務に対応する能力を有する人材を求めているので、社員を育てるという局面が絶対的に減少しているような気がする。日本企業が元気を取り戻すには、社員が元気に自発的に能動的に考えて行動するような環境を整備することが大事だと思う。ISMSやSDGsの指導に熱心なのは悪いことではないけど、それ以上に社員の活性化は重要だ。2022年は企業も社員も国民も国も元気で笑顔が弾ける1年になりますように!

以上

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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