はじめに
日本の起源は神秘なことが多い。そのような観点から今日は麺の期限について調べてみた。麺の文化は世界で多様だけど、日本はその中でも多彩だし、食文化として昇華されているように思う。ワインの起源は以前投稿したが、麺の歴史は小麦の歴史でもあった。
主な作物の起源と伝播経路
講談社の「世界全地図」によると、世界の主な作物の起源池とその伝播経路が示されている。ここでは、小麦が中近東、大豆はアジア、さつまいもは中米、トマトは南米、、稲はアジア、ゴマはアフリカとそれぞれの起源地が異なっていて興味深い。日本人は納豆とか豆腐とか、きな粉とか好きだが、大豆との付き合いは紀元前4-5世紀からと長いためなのだろう。
(出典:世界全地図講談社)
小麦粉の起源と伝播
下の図は小麦に特化したものだ。小麦は、現在、世界で最も広く栽培されている穀類だ。その次が稲やトウモロコシ、そして大麦という。人類が初めて麦類を栽培するようになったのは、紀元前8000~7000年ごろで西アジアのイラン西南部からアナトリア高原、レバノン山麓を結ぶ地域だという(参考)。パンや麺の原料となるパン小麦は、紀元前5000~4000年ごろにはドナウ川とライン側流域、南ロシア一帯、そして紀元前3000年ごろには北アフリカやヨーロッパ全域に広まり、東方へは、紀元前2000年にインドや中国、4世紀に朝鮮半島、そして日本へは4~5世紀に伝わったという。
(出典:コトバンク)
麺の起源
日本経済新聞の私の履歴書に連載中の文化人類学者石毛直道先生も、紙面の中で記載されていたが、日清食品と麺の起源について研究されている。その結果、ラグヌムを起源してラザニヤやマカロニに発展して系と、湯餅を起源にして切り麺、手延べ麺、索麺、押し出し麺等に分化した系があるという。下の図は、湯餅の系のみを切り出している。日本の麺で言えば、切り出し系はうどんやそば、手延べ麺はラーメンや索麺は素麺等に進化した。
(出典:日清製粉)
中国からの麺文化の伝播
香港に赴任していた時は、朝食代わりに屋台の麺類を頂くことがあった。その時には、麺の種類を選んで、スープの味を選んで、トッピングを選んで、それで100円するかどうかなのに、めちゃうまい!あまりに感激してしばらく鬼のように通ってしまったことがある。細い麺や太い麺、平らな麺と色々と選べて楽しかった。下の図によるとうどんはブトンというところから伝播し、手延べ麺と湯麺は福建省から伝播したらしい。
(出典:中国4千年の反応)
まとめ
小麦の伝播が麺類の伝播の基礎となって、日本に伝わったのがわかった。ヨーロッパでは、パスタ、ペーストに発展したが、アジアでは餅として発展した。餅は加熱方法で変化する。例えば、蒸すと蒸餅(じようへい),焼くと、焼餅(しようへい),茹でると湯餅(とうへい),油で揚げると油餅(ゆへい)となる。焼売は蒸餅、煎餅は焼餅、麺類は湯餅、チキンヌードルは油餅といったところだろうか。そして湯餅が麺類の祖先だとわかった。ただ、民族的見地から調べると、正月行事の中で餅ではなく、サトイモやヤマイモを食べるエリアが東日本にあるという。水田稲作は西日本を中心に広がったが、東日本のエリアはかつては焼畑による生活圏だったという調査結果がある(参考)。これは、つまり、縄文時代の文化は焼畑文化であり、弥生時代に大陸から水田稲作が持ち込まれたということを意味しているのではないか。お正月はお雑煮を頂くのが当たり前と考えがちだが、白味噌と赤味噌とか、丸いお餅と四角いお餅とか、具の違いとか、狭い日本でも多種多様だ。それぞれの地域にはそれぞれの歴史があるということだろう。
以上
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拝