心臓ペースメーカーは小型化、長寿命化が進む。心拍で発電する方式も検討されている。

はじめに

93歳になる母親は健康だったのだけど、心臓が一度止まってしまったことは以前投稿した。現在は、ペースメーカーを装着してすっかり元気になった。顔色も良くなり、一人で近所を散歩までしている。母親の兄(伯父)も100歳を超えている。長寿を楽しんで生活してほしいと思う。今日は、感謝の意味を込めてペースメーカーについて少しまとめてみた。

登録患者数の推移

日本における心臓ペースメーカーの患者登録数は年間約6万件と言う。ペースメーカーは1974年に保険償還された徐脈性不整脈に対する治療法である。ヒトの脈拍は通常50〜100拍/分程度であるが、これを下回っている場合を徐脈、多い場合を頻脈と呼ぶ。つまり、徐脈性不整脈は、脈が遅くなる不整脈だ。ペースメーカは、心筋に電気刺激を与えることで脈を調整し、平常の脈拍数に戻す。J-MACSとは、補助人工心臓に関連する学会や企業の患者登録事業(レジストリ事業)であり、下の図はその患者登録件数の累計だ。

(出典:pmda

心臓ペースメーカーの起源

ペースメーカーはジェネレーターと呼ばれる本体とリードと呼ばれる導線で構成する。基本的な機能は心筋の刺激と自己心拍の感知だ。1958年にスウェーデンのソルナにあるカロリンスカ研究所で,発明者のエルムクビスト(Rune Elmqvist)と外科医のセニング(Åke Senning)が設計したペースメーカーが初めて人体に植え込まれた。初期の装置は、3時間で故障し、二台目は2日間使用された。その後、改善が加えられて水銀電池を用いて1960年には患者は18ヶ月生存した。そもそもは、1889年にアバディーン大学の生理学者であったジョン・アレクサンダー・マクウィリアム(1857年7月から1937年1月)は無気力状態の人間の心臓に電気パルスを印加すると心室収縮が起こり、60~70/分の間隔でパルスを印加すると60~70/分の心拍リズムが誘発されるという実験結果を報告された。ペースメーカーという用語は、1932年にアメリカの生理学者アルバート・ハイマンが開発したゼンマイ式の手回しモーターを動力源とした電気機械式の装置を発表し、これを「人工ペースメーカー」と呼んだのが始まりだ。

(出典:pacemaker)

トップ10は欧米企業

医療機器をリードするのは欧米企業だ。医療機器売上高で世界第1位は、米国のジョンソン・エンド・ジョンソン(以下、J&J)の287億ドル(約3.43兆円)だ。2位がGE、3位がメドトロニックだ。 メドトロニックは、心臓ペースメーカーを中心とした医療機器の開発・製造・販売を行う株式会社であり、アイルランド・ダブリンに本社を置き、オペレーション本部をアメリカ合衆国・ミネソタ州・ミネアポリスに置く。

(出典:ビジネスIT

進化する心臓ペースメーカー

1958年に体外式ペースメーカーが開発され、1960年には世界初の心臓埋込型、1986年には心拍応答型ペースメーカーが開発された。現在使用されている多くの植込み型心臓ペースメーカーはリチウム電池が使用されており、電池寿命が約6~8年となるものが多い。2011年には条件付きだが、MRI対応のペースメーカーが開発され、今日では世界最小のリードレスペースメーカーが開発されている。

(出典:岐阜新聞

リードレスペースメーカー

通常のペースメーカーは、下の図(左)のように右心房と右心室に留置するリードが取り付けられている。最近は、下の図(右)に示すような「リードレスペースメーカー」が開発されている。リードレスペースメーカーはカプセル型で、小さなフックで右心室の壁に取り付けられ、先端の電極を通じて心室へ電気刺激を送り、ペーシングを行います。従来のペースメーカーと同様の機能で、重さ1.75g、1ccにまで小型軽量化され、電池寿命は最長12年だ。MRI検査も可能という。右心室しか刺激することができないため、適応となる不整脈は限られているが、胸にジェネレーターを入れないために胸に傷跡は残らない。


(出典:九州医療センター

電池交換不要な未来のペースメーカー

ペースメーカーの寿命は長くなっているが、それでも定期的な交換が必要だった。これを解決するのが、アドバンスト・マテリアル・テクノロジーズが開発するポリマーだ。このポリマーは心拍の運動エネルギーを電気に変換して電池に充電する仕組みだ。まだ、最初のステップとなる動物実験を終えたばかりだが、今後の実用化に期待が高まる。

(出典:MIT Technology Review)

まとめ

人体に人工物を挿入することには抵抗感を感じる人も多い。しかし、徐脈性不整脈で心臓が止まってもペースメーカーがあれば元気にまた生きることができる。これを止めることはできない。腕や脚を事故でなくしても、脳から筋肉に伝達される信号を活用して操作する筋電義手が開発されている。2019年の日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳だ。サザエさんのお父さん波平は永遠の54歳だ。サザエさんの舞台は1950年頃の東京であり、当時の男性の平均寿命は65歳だった。日銀金融研究所長の関根敏隆さんは「生物学的には現在の74歳に相当する」指摘する。高齢者が増えるというとネガティブなイメージがあるが、本来長寿を実現することは望ましいこと。そして大切なことは、健康寿命を伸ばすこと。いつまでも元気で生き生きと社会の役に立ちながら生きていきたいものだ。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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