技術士試験に合格した2,415名への祝福と涙を飲んだ人へのエール

はじめに

2020年度はコロナ禍の影響もあり、技術士の最終合格発表が本日だった。受験申込が25,603人で、受験者が20,365人、そして合格者が2,415人なので、対受験者合格率は11.9%だ。ここ3年ほど10%以下だったので、少し合格率が増加した。コロナ禍で頑張った受験生は少し報われたかもしれない。しかし、ほぼ9割が不合格だ。また、最悪なのは、筆記試験で合格だったのに、口頭試験で不合格だった受験生だ。

2021年度の受験申込み

技術士二次試験では筆記試験が難関だけど、筆記試験に合格しても口頭試験がある。これが例年だと合格率が9割だ。つまり、1割は不合格となる。筆記試験で不合格だった人は、残念だし、悔しいけど、2021年度の受験モードに心を切り替えれば、受験申請が可能だ。しかし、筆記試験で合格だったのに、口頭試験で不合格だった人はショックだ。

口頭試験で不合格だった受験生の救済措置

受験申込は2021年4月5日から4月19日となっている(参考)。最終合格発表が4月30日だ。不合格の人は今年の試験にチャレンジできないではないかと思ったけど、心配ご無用だった(笑)。2020年度の筆記試験合格者は、2021年度の受験申込が5月13日までという特例措置が講じられていた。2020年度に合格できなかったのは残念だけど、その教訓を活かしてぜひ2021年度にリベンジしてほしいし、少なくともその機会は提供できていた。

2020年度の受験者数と合格率

総合技術監理部門を含めて21の部門での受験生と合格率でマッピングしたものを図表1に示す。ここでの特異点は次の3つだ。
1) 建設部門の受験生は11,763名とダントツに多く、合格率は10.3%だ。
2) 船舶・海洋の受験生はわずか6名で合格率も高い。
3) 総合技術監理部門は受験生が2,582名で合格率は12.5%だ。
図表1:2020年度の技術士試験の受験者数と合格率

出典:日本技術士会のHPで公表されている数字から筆者が作成

マッピング(その2)

上記3部門を除いたマッピングしたものを図表2に示す。これで見てわかるのは衛生工学部門と情報工学部門の合格率が7.6%と低いことだ。2019年度の部門別合格率を見ると、衛生工学が8.1%だったのでさらに厳しくなり、情報工学が7.4%だったのでほぼ横ばい。特に、情報工学部門では、コンピュータ工学の合格率が2.9%、情報基盤が4.9%と禁止的に厳しい。
図表2:2020年度の技術士試験の受験者数と合格率(抜粋)

出典:図表1と同様

情報工学部門は禁止的に厳しい

2015年度に電気電子部門に合格し、2016年度は総合技術監理部門、さらに2017年度は経営工学部門にチャレンジして、奇跡的に合格した。2018年度は、挑戦するかどうか思案したけど、結局情報工学(情報ネットワーク)にチャレンジした。自分的にはそれなりに回答できたと手応えを感じたが評価Aはなく、評価Bとまさかの評価Cだった。その2018年度では84名受験して合格は3名だった。2019年度は科目が再編されたが、情報工学部門(情報基盤)では90名受験して合格は3名、2020年度では61名受験して合格は3名。3名しか合格させるつもりはないように見える。再受験しなくてよかった(涙)。

農業・森林・水産は狙い目か

技術士は、建設部門の合格者は4桁と圧倒的に多い。上下水道部門や機械部門や電気電子部門も3桁です。これらに比べると受験者数も合格者数も少ないけど、農林水産は意外と狙い目です。この分野の業務をしている人は、戦略をねって、技術士試験にトライすることを考えてほしいと思う。例えば、農業部門(植物保護)の合格率は31.6%、森林部門(林業・林産)の合格率は33.3%、水産部門(水産資源および水域環境)は26.3%と比較的高い。その道の専門家が頑張れば3人のうちの一人になることはできると思う。また、金属部門(合格率35.8%)や化学部門(24.4%)も技術士を求めているように感じる。

まとめ

技術士試験は難関だけど、技術士になることが目的ではいけない。やはり技術士を取得してから活躍することを目標とすべきだ。経営大学院ではそのような観点で技術士について研究した。詳細はまた別の機会に投稿したい。まずは、難関の試験に合格した方々本当におめでとうございます。また、筆記試験に合格しながら口頭試験で合格をもらえなかった方々はぜひ、謙虚に反省した上で、気持ちを切り替えてぜひまたチャレンジしてほしい。技術士は、聞いたり、読んだりして研鑽しながら、難しいことを平易に話したり、書いたりすることを求められる。技術士の試験はそのための訓練という意味もあると思う。ぜひ、自らの能力を高めるため、リベンジしてほしいと思う。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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