技術士の二次試験(筆記試験)の合格発表は10月26日だ。12月の口頭試験への戦略を設定しよう。

はじめに

令和3年度の技術士二次試験(筆記試験)の結果発表は10月26日(火)の早朝に文科省および日本技術士会のHPで発表される予定だ。今年の受験生はコロナ禍を戦ってきた。是非合格して、口頭試験に進んで欲しいと思う。それが、12月頃に実施される口頭試験だ。近年筆記試験の合格率の低下と反比例して、口頭試験の合格率が上昇する傾向があるが、油断は禁物だ。1割程度はカットされる可能性がある。その1割に入らない戦略で行くのか、合格の5割に入るための戦略で行くのか、それとも合格の上位に入る戦略で行くのか。どの戦略で臨むかを決めるのは受験者自身でまず設定する必要がある。

合格に向けての戦略設定

不合格の1割に入らないための戦略

必須科目は選択式の問題で60%以上の正解率が合格基準だ。記述式の問題IIと問題IIIの点数は、A判定は60%以上、B判定は40-60%、そしてC判定は40%未満だ。問題IIか問題IIIかのいずれかがB判定でも、トータルで60%以上の場合の総合判定はAとなる。しかし、選択問題の評価がA/BやB/Aの方は要注意だ。特に、口頭試験では、課題解決能力を問う問題IIIも口頭試験の試験官の面接材料として配布される。したがって、もし判定にBがあれば、なぜ評価がBだったのかをしっかりと反省する必要がある。技術士の資質には、「フォローする」という能力が問われる。このため、口頭試験でのツッコミは必然的に厳しくなることを覚悟すべきだ。そして、これに対応するには、やはり入念な準備をするしかないだろう。

合格の5割に入るための戦略

合格の5割に入るということは合格者の平均像を目指すということだ。口頭試験の傾向と対策として、想定される質問を少なくとも50問程度は用意して、それへの回答を用意することが大事だ。模擬面接を最低でも3回程度は実施して、想定問答の見直しをすることだ。忙しい日常の中でも、なんとか時間を捻出して、上司や同僚に面接官を依頼して模擬面接をしよう。致命的なミスをしなければ、合格するだろう。

合格の上位に入るための戦略

記述問題がA/Aの人は、単に合格するだけではなく、今後の後輩の規範になるような受験姿勢と受験勉強をしっかりとしてほしいと思う。想定問題も100個程度は用意し、模擬面接も4-5回を目指そう。もしくは、用意した想定問答をスマホに録音して、隙間時間に何度も何度も繰り返し聴こう。何度も自分の問答の様子を聞いていると、ちょっと流れが悪いなあとか、冗長だなあとか、説明がロジカルではないなあとか気づくことがある。模擬面接を実施するのに加えて、自分自身でも一人ツッコミをして、問答内容をブラッシュアップしよう。上位で合格するには、やはりテクニックも必要だ。特に重要なスキルアップの方法を以下に列挙する。

高得点を得るための心得

人の評価は最初の3つの印象でほぼ決まる

技術士にふさわしいと試験官に感じてもらうことが重要だ。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱するメラビアンの法則によると人は目から入る情報が55%、耳から入る情報が38%、そして話している内容はわずか7%だ。また、スリーセット理論によると、人は最初の印象と二回目の印象と、三回目の印象でほぼ決まる。口頭試験で言えば、書類による印象と入室時の見た印象と、受験者が話す声の印象で受験者の印象=評価はほぼ決まるということだ。入室時の身なりや動き、そして、受験番号や名前を述べた時には、試験官の印象がほぼ決まっていることをよく理解すべきだ。
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出典:メラビアンの法則、3Vに違和感がある人は信用されない

口頭試験は加点主義

口頭試験の試験官は、筆記試験であなたの答案を見て合格と判断してくれた人だ。つまり、あなたを合格させようとしているということだ。その期待に沿った努力をすることは当然の責務ではないだろうか。しかし、本番の口頭試験では、回答に困るような質問や、回答しにくい質問、質問の意味がよくわからない質問があるかもしれない。そのような時にはどうすべきだろうか?適当に答えるのは絶対ダメだ。時間が無駄だけではなく、試験官の印象が非常に悪くなる。必ず質問の主旨を再確認して、相手の意図に合うように回答すべきだ。また、本当に知らないことは「すいません。その点は不勉強でよくわかりません。」「うまく説明できません。この後しっかり調べて勉強します。」などと潔く降参して次の質問に取り組むべきだ。

試験官との論争は禁物

優秀な受験者ほど、自分の知見や意見に自信を持っていることが多い。試験官が理不尽なことを言うこともある。そのような時に試験官と論争するのは厳禁だ。これは議論の場ではない。あなたは評価されている立場だと言うことを理解すべきだ。「へりくだる」必要はないし、自分の意見を曲げる必要もないが、試験官に対する攻撃は最低だ。そのような場合にも、「そのような見方があるのですね。勉強になりました。」とか、「この件は議論の余地がないと考えていましたが、そのような解決法もあると気づくことができました。ご指摘ありがとうございます。」などと相手の立場を理解し、試験官の意見を尊重する姿勢を崩さないことが肝要だ。

PREP

プレゼンテーションでは、SDS法やPREP法が有効だ。SDS法とはSummary、Details、Summary、つまり、まず結論を述べ、その詳細を説明し、最後にまた結論を述べる方法だ。また、PREP法では、最初に結論を述べ、その理由を述べ、その例を示し、最後に結論をもう一度述べる。人は、抽象的な一般論と具体的な各論を繰り返すと理解の幅が広がり、納得しやすい。起承転結を推奨する人もいるが、背景→条件→考慮事項→理由→結論は時間を浪費するリスクもある。公務員が陥りやすいパターンだ。口頭試験では時間の制限がある。まず結論を述べたら、試験官の顔を見て、「理由をもっと詳しく説明した方がいいですか?」「この内容をもっと説明した方がよろしいでしょうか?」とか聞いてから次に進むのがベストだ。試験官によっては、最初の結論だけで「次の質問に移ります」と言ってくれることがある。その場合には最初の結論だけで回答になる。貴重な時間の節約以上に加点を増やせるという効果がある。
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出典:https://matome.naver.jp/odai/2139882028615496101

イメージとロジックで人は納得する

人は物事をイメージして、ロジックを理解できると納得できたと感じる。これは人間の脳が左脳と右脳に分かれていることに起因する。口頭試験の特に小論文の説明のときに意識すべきだ。つまり、例えば「橋梁」の改善を説明するなら、どんな橋かを試験官にイメージしてもらうことが必要だ。幅員10mの橋なのか、100mの橋か、それとももっと巨大な橋なのか。どんな橋なのかのイメージがずれていたらこれは悲劇だ。何を説明しても質疑が食い違ってしまう。手振りをまじえなが試験官との間で同じイメージを共有できたら、次は冷静に端的にロジックを説明する。課題は3点。目的はこれ。解決策は3つあり、私はA案が最適と判断した。その理由は3つ。このようにマジックナンバー(=3)をうまく活用しながら説明すると、人は納得した気になるものだ。
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出典:http://kayumi.jp/archives/1813155.html

まとめ

口頭試験の目的は合格することだ。そのためには、不合格の1割に入らないという戦略でも、合格者の5割、つまり平均的な合格者の戦略でも良い。しかし、本当に合格して、技術士として活躍したいと考えるのであれば、合格の上位者を目指して欲しい。技術士試験に合格するのはゴールではなく、スタートだ。技術士として活躍するには、物を書いたり、講演で話をしたり、経営者の相談に乗ったりすることが多い。そのようなことに対応できる能力を有するのかどうかを試す試験だが、同時にそのような能力を伸ばすチャンスでもある。単に合格するのではなく、上位者での合格を是非目指して欲しい。サッカーに例えて言えば、1点差で勝利するのではなく、2点差で勝利を確実にするのではなく、3点差をつけて、圧倒的な勝利を目指して欲しい。そうすることで、相手に1点を取られても、2点を取られても、勝利=合格できる。口頭試験まであと最後の一踏ん張りだ。栄冠をゲットすることを鮮明にイメージして栄冠に向けて頑張ろう。

口頭試験に向けての心構えや想定質問などはこちらにも投稿しているので参考にしてください。

12月の技術士二次試験(口頭試験)に向けて、大事なことは周到な準備。試験当日は謙虚に、真摯に、簡潔に。間違っても喧嘩しない。

以上

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