脳型情報処理機械論#11-3:クオリアの深掘りにトライ。

はじめに

第11回目の脳型情報処理機械論では、東京大学の大泉准教授が意識を数学的理論化する統合情報理論について講義された。キーワードは統合情報理論(IIT)とクオリアだった。まだまだ不十分ではあるが、前回の投稿でIITについて投稿したので、今回はクオリアについて投稿したい。なお、クオリアについては予習の意味で調べた投稿でもリファーしている。

その1:意識の数学的理論の予習(前々回
その2:意識の数学的理論IITを紐解く(前回
その3:クオリアについて紐解く(⇨ 今回)

クオリアとは

クオリアを一言で説明するとどうなるのだろう。個々の体験が持つ主観的な性質と言われる。哲学的にはクオリアは主観的、意識的な経験の個々のインスタンスと定義される。抽象的な概念だ。

クオリア(単数形:quale、複数形がqualia)とは、ラテン語の構成されたものを意味する「qualis」を語源とし感覚的な意識や経験などの感覚質を意味する。感覚的な体験の特性は体験がなければ認識論的に知ることはできない。1929年に米国の哲学者クラレンス・アーヴィング・ルイスは「心と世界秩序」において現在の心の哲学の観点からクオリアを「認識可能な与件の特性であり、したがって一種の普遍性である」と定義した。クオリアとは哲学の用語であり、意識的な精神体験の主観的な性質を定義する。

クオリアの研究領域の概要

クオリアの理論は、イタリア出身の米国の精神科医ジュリオ・トノーニが統合情報理論(IIT)を提唱し、その中でニューロン同士の階層的な因果関係がクオリアと対応する仮説設定した。日本でもクオリアについて研究されている。 放射線医学総合研究所脳機能イメージング研究部 グループリーダーの山田真希子博士(京都大学)は精神症状に関わる認知機能と神経機能に関する研究を進めている。今回の第11回の講義を担当頂いた大泉匡史准教授はIITやクオリアを用いて情報構造を研究している。さらに「クオリアはどこからくるのか?: 統合情報理論のその先へ:岩波科学ライブラリー」の著者神経科学者で豪モナシュ大学の土谷尚嗣教授もクオリア構造の研究を進めている。

(出典:東京大学

クオリアの構造

クオリアの意味を1体1だと定義し難い時にも、似たものとの関係からその構造を定義することは可能かもしれない。ただ、友達の友達は必ずしも友達ではないかもしれない。

(出典:クオリア構造

意識の理論を構築する5つのステップ

ステップ1:本質を見極める。
ステップ2:仮説を導き出す
ステップ3:仮説を導き出す
ステップ4:予測の検証
ステップ5:意識を評価する。


(出典:講義テキスト)

クオリアについて陥りやすい誤解

クオリアを分かりやすく定義することは難しいが、調べていると次のような投稿があった(参考)。虹の色の数は確かに民族によって異なる。虹については別に投稿した。

①視野の中に「青い」ものが見えていたとしても、そのものを認識し、言葉にすることによって初めて「青」を見たと言える。
②「赤」と言っても、文化によって色の分類は異なる。だから虹の中に何種類の色を見るかということも、文化によって異なってくる。「赤」というクオリアも、文化という関係性の中で考えなくてはならない。
③「快感」は、その刺激が生存に適しているからこそ、「快感」のクオリアを持つのである。同様に、「苦痛」は、その刺激が生存を脅かすからこそ、「苦痛」のクオリアを持つのである。

まとめ

クオリアを深掘りしようと試みたが、正直まだクオリアの実態が見えない。調べれば調べるほど分かりにくくなるのは、クオリアを論じる観点によって定義が異なるからかもしれない。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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