子どもの安全研究会の例会に久しぶりに参加した。子ども安全確保は大事だけど難しい。

はじめに

日本技術士会の認定団体である「子どもの安全研究グループ」に参加しているが、なかなかタイミングが合わなかった。今日6月7日(火)の18時から20時まで開催されるので、オフィスへの出勤日を7日(火)から6日(月)に変更した。なので、今日はテレワークを17時で終えたので、18時からの例会に参加できた。技術士の先生だけではなく、NPO団体の方々や医師の先生、また報道関係の方々も参加されるというヘテロな集まりだ。

マグネットによる幼児の事故

最初の話題はマグネットを幼児が飲み込む事故だ。マグネットを1つ飲み込むだけであれば重篤な事態にはなりにくいが、二個とか、それ以上を飲み込むとかなり危ない。どのように危ないのかというと、下の動画を見てもらう方が早いけど、胃に残ったマグネットと腸に回ったマグネットが引っ付くとこれはやばい。報道されたケースでは腸に穴が空き、取り出すには開腹手術が必要だという。磁石を飲み込んだということを認識できる年代であれば、比較的速やかに病院に言って診察してもらい、取り出すことになる。問題は、0歳から2歳ぐらいの幼児だ。お兄ちゃんやお姉ちゃんが自社で遊んでいる横で幼児が誤って飲み込んでも最悪誰も気が付かないかもしれない。そして、突然泣き出すが、原因がわからない。これは大変だ。

(出典:国民生活センター

手すり事故の防止

2018年までの5年間で、9歳以下の子どもがマンションのベランダなど建物から転落して死亡する事故は37件にのぼっているという。このような事件をなくすにはどうするかを考えるために、なぜ幼児が塀に登ろうとするのか、年齢と塀の高さの関係や、塀の上を回転するようにしたらどうかなどの対策の効果検証を行った。実験当初は思惑通りの結果だったが、途中から要領の良い子供が塀の登り方を見つけると、それを見ていた子供たちもどんどん塀を登るのが上手になる。できなかったことができるようになるのは素晴らしいことだけど、危険とも背中合わせだ。対策が合理的か、経済的か、現実的かなど課題は多い。個人的にはメカ的な対策をするよりは、子供たちが触りたくなくなるような細工を施す方法もあるような気がする。例えば、ネバネバした素材を塀の丈夫に取り付けるとか、逆にぬるぬるとした素材にするとかだ。でも、その結果、思わぬ副作用があるかもしれない。大胆なアイデアと慎重な検証が求められる。

(出典:NHK

事故防止のための建物チェック

ベランダの塀をよじ登って転落する事故の物件で多いのが、エアコンの室外機が塀に横付けされているようなケースだ。これだと室外機を踏み台にして塀に登ることが可能になる。しかし、なぜ子供は塀に登りたいのか。「子供は小さな大人ではない」というのが「子どもの安全研究グループ」の基本的な考え方だ。子どもも千差万別だし、年齢によっても違うし、個人差も大きいけど、好奇心の塊である点は共通している。そこに塀があるから登りたいのかもしれない。

(出典:SAKURA

キッズデザイン

湯沸かしのケトルのコードを引っ掛けて幼児が火傷をするケースもあるという。特定非営利法人キッズデザイン協議会は、子どもたちの安全・安心に貢献するデザインや、創造性と未来を拓くデザイン、そして子どもたちを産み育てやすいデザイン」などの理念のもと、この理念に合致したデザインにキッズデザイン賞を授与して、表彰する活動を進めている。子どもの安全研究グループとアプローチは異なるけど、想いは同じだと思った。

(出典:キッズデザイン

体育館のリスク

学校には体育館がある。そして、体育館にはリスクが多い。例えば、キャットウォークから飛び降りたくなったり、ハシゴから転落したり、支柱に衝突したり、さまざまなケースが想定されるし、実際にも事故は発生している。このため、リストから子どもたちを守るにはどのようなことを考えるべきあかを2022年3月26日のシンポジウム「これで防げる 学校体育・スポーツ事故〜体育館に関わる事故から子どもを守る〜」で議論された。

(出典:Yahoo! News

コミュニテイ・スクール

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)とは、学校と地域でつくる学びの未来だ。コミュニティ・スクールは、学校と保護者や地域の皆さんがともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、一緒に協働しながら子供たちの豊かな成長を支え「地域とともにある学校づくり」を進める法律(地教行法第47条の5)に基づいた仕組みです。動機は善だけど、これがうまく軌道に乗るのかどうか、行政と学校と地域の協力関係を維持できるかに依存する。横浜の某中学では、校長先生が40歳代と若く、コミュニティ・スクールでもある。これからの活動に期待したい。

(出典:文科省

まとめ

今回は子どもの安全研究グループの例会に参加して、そこで気になったキーワードを中心にまとめてみた。子どもが安全・安心に生活できるようにするには、リスクを明確にすることがまずは重要だ。その上で、それぞれのリスクの可能性と影響度を検討し、そのリスクの影響度に応じた対策を検討する。これがリスクマネジメントの基本的な考え方だといえる。死に直結するようなリスクは絶対に避けるべきだけど、教育の場では小さな失敗を数多く、早め早めに体験させることが重要という指摘もある。重篤なリスクは解消すべきだけど、全てのリスクを解消することはできない。7月1日に安全工学シンポジウムがあり、グループからも発表がある。時間的に厳しいけど、できるだけウォッチしておきたい。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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