GPSトラッキングの課題と対応の方向性を考える。課題は電池と測位精度と可用性か。

はじめに

トラッキングにはさまざまな意味がある。現在、勉強している労働安全コンサルタントの分野で言えば、電気のコンセント口になどに埃が溜まると漏電する意味がある。UIデザインではテキストの間隔を一律で変更することだし、録音・録画時に記憶トラックに対してヘッドを追従させる仕組みでもある。ここで考えたいのは、これらではなく、足跡などの手がかり使って追跡する技術としてのトラッキングだ。

トラッキングサービス

WEBトラッキング

例えば、WEBトラッキングといえば、インターネットの様々なサイトを訪問した訪問している行動を分析するWebマーケティングにとって重要な技術である。Webサイトのユーザーの情報を収集するのに活用されているがCookieだ。CookieはWebサイトの閲覧時に生成されるデータで、閲覧者のブラウザやPCなどのデバイスに保存される。新たなサイトにアクセスするとCookieを利用するかどうか確認を求めてくる場合がある。Cookieを利用すれば、サイトを再び訪問するときにも情報を入力する必要がないというメリットもある

(出典:IT Trend)

スポーツ選手の動きのトラッキング

運動選手の活動履歴をトレースするトラッキングもある。例えば、下の図ではバスケットボールのコートの周りに八台のカメラを設置して選手とボールの動きをトレースする。アマゾンGOでは店に入ってきた顧客の行動をカメラで分析して、自動精算する仕組みだが、それと同様だ。選手一人一人を認識し、どの選手がどのように活動したかをトレースすることで選手のスキルアップやチームの戦力向上を図る目的で活用されている。

(出典:Telescope Magazine

ドローンのトラッキング

ドローンの活用の場は広がっている。下の図は建設現場での測量をする場合に、以前は検証点と評定点を用意したが、下の図(右)の黄色の3脚のようなトータルステーションユニットを活用すると、従来法に比べて六倍程度の作業効率の向上を図ることができるという。なお、標定点とは、撮影時のカメラの位置や姿勢、隣り合う写真の相互関係、写真と撮影地域の3次元座標系との対応を求めるために用いる、地上に設置した基準点のことである。
(出典:topcon

さまざまなGPS発信機

人間や動物、自動車、バイク、自転車、ドローン、船などの動きの軌跡を記録するための機器は様々なものが開発されている。例えば、下の図の最も左にあるのは、Trackimoが提供するGPSトラッカーだ。カード型のものもあれば、グローバルに活用できるものもある。

(出典:my best

製品比較

現在、よく売れているIoTデバイスを調べてみると、ヨドバシのサイトでは一位がAppleのAitTagだった。自分も鍵の紛失防止のために使っている。もう1年以上になるため、電池を交換してくださいと警告があり、一度電池を取り替えた。鍵の居場所がわからずに2回ほど使って、重宝している。同様の小型デバイスのTileが二位、三位はAirTagの4個セット、四位はmixiが提供する迷子防止のためのみてねみまもりGPSだ。そいて、五位にはTrackimoの大容量タイプTrack Proモデルがランキングしていた。

(出典:ヨドバシより編集)

今後の課題

トラッキングしたいの言うニーズは法人において個人においても様々なものがある。また、Wi-Fiに特化したものもあれば、3G/4Gにも対応するものもある。ここではどちらかといえば法人市場において3G/4Gを活用してグローバルに位置情報をトラッキングするケースを想定して課題を抽出したい。

長時間利用への対応

やはり最初の課題は長時間利用への対応だ。バッテリーで駆動できる時間は位置情報の更新頻度とのトレードオフだ。つまり、位置情報を1分とか5分といった短い時間で頻繁に送信するとどうして利用時間が短くなる。逆に、30分間隔とか1時間、2時間間隔で送信すると利用時間を長くできる。しかし、根本的には、バッテリーを大容量にする方法と発電機能を追加する方法がある。

大容量バッテリー

通常のTrackimo GPSトラッキングデバイスには600mAhのバッテリーが装着されているが、これの代わりに3,500mAhの大容量バッテリーに切り替える方法がある。マグネットで車両等に簡単に装着することもできる。トラッキングの頻度を1日1回にすれば半年から1年程度利用することも可能だという。

(出典:アマゾン)

発電機能の追加

アシスト自転車や電動キックボードなどであれば、本体の大型バッテリーからの給電も有効だろう。車両の走行速度などの情報を取得するときに電力も供給してもらう方法もある。最近では体温を活用して発電する腕時計が登場しているが、かつての腕時計のようにモーションや振動により発電する仕組みを付加することができれば、そこから給電してもらうことも可能かもしれない。

位置測位精度の向上

Wi-Fi Certified Location

スマホでは位置測位の精度を高める方法としてWi-Fiの情報をもとに位置情報を補正する仕組みがある。例えば、下の図は、GPSを取得できないような屋内などでもWi-Fiから取得したMACアドレスをもとに位置情報を照会する仕組みだ。

(出典:Digital Cross

準天頂衛星(みちびき)への対応

人工衛星には、様々な高度で運用されている。例えば、通信衛星や放送衛星に活用されている静止軌道は、地上3.6万kmの高度だ。GPS衛星は約20,000kmの高度を一周約12時間で動く準同期衛星だ。イーロンマスクが提唱するスターリンクでは1万2千基の衛星が地上約540~570kmを周回する計画だ。一方、日本およびアジア太平洋むけの準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System、QZSS)は、縦に8の字状に周回する。2010年9月11日に最初のみちびき(QZS-1)を打ち上げ、2017年に衛星3機を追加して、4機体制でシステムの運用を開始し、さらに2020年に初号機後継衛星1機を追加した。2023年にも衛星3機を追加して合計7機体制で運用する予定だ。みちびきを活用すれば位置測位の精度は格段に向上する。みちびきでは、位置測位の補強サービスが予定されていて、誤差が1-2mもしくは、誤差12〜24cm(移動体)と改善する見込みだ(出典)。
(出典:SoftBank)

可用性の向上

3G/4Gへの対応

先のソフトバンクのマルチNGSS端末ではLTE(900Mhz,2.1GHz)に対応しているので、Wi-Fiのエリア外でも携帯の電波が合えば通信は可能だ。LPWAやローカル5Gなどのメディアも出ているがまだまだグローバルに安心して利用可能とはいえない。

衛星との通信

また、スターリンク関連では、2GHz帯の利用をFCCに申請していることが報道されている(出典)。これが実現すれば、グローバルな通信方法としてはいわゆるGSM端末に代わって、スターリンクがデフォルトになる可能性もある。イーロンマスクの戦略恐るべき。

まとめ

今日はトラッキングについて考えてみた。IoTの有効性が叫ばれて久しいが、正しい目的で様々な活動をトレースすることができれば世の中の安全・安心の向上に寄与することはできるだろう。ただ、諸刃の刃ではないが、何事もメリットがあればデメリットもある。トラッキングをして正確な位置情報を把握したと言う要望もあれば、把握されたくないという要望もあるだろう。世の中の動くものは様々だ。いわゆる陸海空でいえば、陸の移動、水面・水中の移動、空中での移動がある。それらの位置情報を正確に管理することは事故の未然防止や効率的な運行管理には欠かせない。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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