12月の技術士二次試験(口頭試験)に向けて、大事なことは周到な準備。試験当日は謙虚に、真摯に、簡潔に。間違っても喧嘩しない。

はじめに

技術士の試験は一次試験と二次試験があり、二次試験は7月の筆記試験と12月口頭試験だ。筆記試験が難関だけど、その合否の発表が10月下旬の予定だ。筆記試験の合格者には、口頭試験の案内が出されるが、それを待ってから準備していては遅い。何事も早め早めに用意をしておきたい。少なくとも10月になったらQ&AのQ出しぐらいはしておきたい。自分自身は、2015年に電気・電子部門、2016年に総合技術監理部門、2017年に経営工学部門の高等試験を受験し、なんとか無事に一発で合格した。合格にあたっては、SukiYaki塾の方を含めて多くの方の応援や示唆、指導を受けたことが大きい。今年、筆記試験を受験している人の合格を祈念するとともに、口頭試験までの合格を確実にするために、今後どのような準備をするべきかについて少し記載しておきたい。

技術士の合格までのステップ

技術士には、一次試験と二次試験がある。日程は次の通りだ。

一次試験(令和3年度の場合)

・申し込み:令和3年6月17日〜6月30日
・筆記試験:令和3年11月28日
・合格発表:令和4年2月下旬

二次試験(令和3年度の場合)

・申し込み:令和3年4月1日〜4月19日
・筆記試験:令和3年7月11日(一般部門)、7月10日(総合技術監理部門)
・口頭試験:令和3年12月上旬から令和4年1月中旬(受験者ごとに通知
・合格発表:筆記試験は令和3年10月下旬。口頭試験は令和4年3月中旬。

口頭試験の合格基準

次の3つの評価項目すべてが60点以上である事。
・経歴及び応用能力
・技術者倫理
・技術士制度の認識その他

口頭試験に合格する秘訣

テキパキと簡潔・明瞭に回答する。

GOOD:技術士の口頭試験は加点方式である。できるだけ簡潔に回答する。

BAD:答えにくい質問に黙ってしまう。誤魔化す。意味不明。
(⇨ 分からない質問は「今後勉強します。ありがとうございます。」などで謙虚かつ誠実に返信する。沈黙は最悪。時間だけ過ぎて、終わってしまう。)

結論をまず返す。

GOOD:質問に対する答えをまず返事する。その上で肉付けする。また、「もっと詳細に説明しましょうか?」と確認するのもコツ。それで十分ですという返事があれば、それでOK。もっと詳しくと言われれば、詳細を簡潔に回答する。

BAD:理由や背景や言い訳が延々と続く。結論が見えない。時間だけが過ぎていく。

肯定的に回答する。

GOOD:学会での発表や特許などに聞かれることがある。実際に発表していれば「はい。発表します。」とか「予定しています」と回答する。予定がなくても、「前向きに検討します。」とか「ぜひ発表したいと思っています。」など肯定的に答える。

BAD:上の質問で「学会には興味がありません。」とか、「そんな時間はないです。」などと否定的な回答は控える。

周到に準備する。

GOOD:筆記試験の再現回答は用意する。想定質問を用意する。模擬面接を何度も何度も行う。想定問答をスマホ等で録音して何度も聞き直す。

BAD:上記のような準備を疎かにする。

高圧的な質問にも謙虚に対応する。

GOOD:口頭試験の試験官は基本的に、受験生を合格させようとしていると考えるべきである。しかし、筆記試験の結果がよくない場合やギリギリで合格の場合などに「不合格」とするための高圧的な質問をするケースがある。これには謙虚な姿勢を忘れず、真摯な態度で粘り強く自分の意見を発表するべき。

BAD:試験官の意見に反論する。非難する。自分の持論を曲げない。もし、試験官と自分の意見が異なる場合にも、「自分はxxと考えますが、ご指摘頂いた点について今後研究します」とか、「貴重なご指摘ありがとうございます。その視点での検討が必要と認識しました」など、試験官の思いを受け止めた上で回答する。間違っても試験官とは喧嘩をしない。

 

口頭試験での想定タイムマネジメント(全体で20分)

1) 業務詳細に関する確認が5分(もしくは3分)
2) 経歴に関する確認が2分
3) 技術士倫理が2分
4) 受験動機・取得後の抱負が1分程度
5) CPDに関する確認が1分
6) 技術士法に関する確認が1分程度
7) 問題IIIに関する確認が1分
8) 過去の失敗例に関する確認が1分程度
9) その他

想定される質問

業務詳細関連

・業務詳細を5分(もしくは3分)で説明してください。(重要!)
・どこが生産管理にふさわしいと感じたのですか?
・具体的にはどのように需給調整をしたのですか?
・技術士らしい工夫はどこですか?

業務経歴関連

・自分の略歴を3分(もしくは2分)で説明してください。(重要!)
・xx部門の技術士にふさわしい経験について述べてください。
・xx部門の技術士としてふさわしいと考える点を説明してください。
・xx部門の専門家としてどのようなトラブルをどのように防止しましたか?
・現在はどのような業務をしているのですか?
・xx部門の技術力をいかに高めてきたかという観点から説明しなさい。

 技術士倫理関連

・公益確保の責務に違反しそうな事例はありましたか?(重要!)
・現在の仕事と技術者倫理との関わりはどのように考えているか?
・最近の事例で、信用失墜した事例を取り上げ、あなたの考えを示しなさい。
・信用失墜行為はあなたの周りでありましたか?
・公益の確保をあなたは意識していますか?
・倫理違反の具体的な事例があれば教えてください。
・利益相反の事例はありますか?

受験動機・取得後の抱負が1分程度

・技術士試験を受験した動機を教えてください。(重要!)
・どのような技術士を目指したいのですか?
・解決したい社会的課題とはどういうものですか?
・xx部門の技術士としてどのような活動を進めていきますか?
・職場には技術士はいますか?
・周囲の技術を見てどのように感じますか?
・技術士のことはいつ知りましたか?
・技術士としてどのように活用していますか?
・技術士とはどのような人を指しますか?
・技術士としての方法を聞かせてください。
・合格したらこの資格をどのように活用しますか。

CPDに関する確認が1分

・CPDについて説明してください。(重要!)
・CPDを実践していますか?
・参加している学会はありますか?
・昨年のCPDは何時間でしたか?
・APECの総合認定制度について説明してください。
・APECとIEAの違いについて説明してください。

技術士法に関する確認が1分程度

・技術士法の3義務2責務について説明してください。(重要!)
→ 信秘名公資(しんぴめいこうし)と覚える方法もある。
・技術士の3義務2責務で最も重要なものを2つあげてください。
・どのようにそれを実践しているかを説明してください。
・技術士法にある義務違反の罰則にはどのようなものがありますか?
・技術士法第36条に定める名称使用の停止期間は何年ですか?
・秘密保持は誰に対してですか?例外はありますか?
・技術士法にある義務違反の罰則を説明してください。
・公益に反する行為を強制されたらどうしますか?

問題IIIに関する確認が1分

・筆記試験答案で何か補足したいことはありますか?(重要!)
・あなたは実際の業務でX-R管理図を活用していますか?

過去の失敗例に関する確認が1分程度

・最近の失敗例を取り上げて説明してください。(重要!)

知識問題

・xxの専門家としての気になる出来事はありますか?
・yyの観点で注意していることを説明してください。

試験官からの反応例

試験官との言葉のキャッチボールで心を通わそう。

肯定的反応

・なるほど。
・そういう意味ですか。
・分かりました。

否定的反応

・え〜、そうかなあ。
・意味がわからない。
・どういう意味ですか?
・わかっているの?

キラークエスチョン

・その提案の欠点はなんですか?
・それはあなたの功績ですか?
・どこがxx部門の技術士としてふさわしいの?
・何か補足はありますか?(特に筆記試験がB判定の場合)

まとめ

想定質問はリストアップした。今後、これらに対する回答を考えて、口に出して、できればスマホ等に録音して、何度も聞きなおしながら、不適切な部分を直していく。上司や同僚にお願いして模擬試験を何度も行おう。それが難しい場合には、有料の模擬試験も有効だ。二次試験の申込書に記載した小論文関連の情報を整理しておくこと。筆記試験の再現論文を用意しておくこともぜひトライしておきたい。多くの受験生は合格発表を確認してから準備を始める。しかし、他の受験生よりも一歩先を行きたいなら、10月中にはQ&AのQ出しぐらいは整理しておこう。今回の投稿が参考になれば幸いだ。口頭試験が近づいたら、口頭試験のコツを別途投稿したい。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

P.S.アイキャッチ画像は、徳島県技術士会のHPから借用しました。

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