はじめに
技術士の知名度は低いと言われる。気になったので独自にネット調査すると、主要な10の国家資格のうち知名度は10位だった。しかし、関心度は比較的高く、最下位ではなかった。つまり、技術士はあまり知られていないけど、知っている人は高い関心を持っていると言える。MBAは経営学修士(Master of Business Administration)の略だ。しかし、通っていた経営大学院の米倉教授に言わせると「まるでバカでアホ」の略だ(笑)。知名度の低い技術士とまるでバカでアホなMBAの両方を取得する人は少ないが、これって結構面白い相乗効果が発揮されるのではないかと思う。なぜかというと、思考のロジックが近い。技術士は社会の課題を技術で解決しようとし、MBAはビジネスの課題を経営の手法で解決しようとする。違うように見えて同根と感じる。
MBAの入学者、在学者数
文部科学省が発行する「経営系大学院を取り巻く現状・課題について」を見ると、いわゆるMBAには毎年2000人強の入学者がいて、在学者数は6000人弱だ。そのうち9割は社会人学生だ。自分もその一人だ。また、1割ほどは留学生というが、当校ではもう少し多く2割ほどか。
出典:文科省
グローバル経営を担う人材の育成
日本だけではなく、グローバルに活躍できる人材育が急務だという認識はあるが、それに対してどのような人材育成をしているのだろう。人材は、育成するよりも、抜擢して、活用する方が早い気がする。そして、抜擢してもらうには、やはり自己研鑽を積む必要がある。そんなやる気のある社会人にはぜひMBAにチャレンジしてほしいと思う。
出典:経団連「グローバル人材の育成・活用に向けて求められる取り組みに関するアンケート結果」
技術士とMBAの共通点
技術士の二次試験には、筆記試験と口頭試験がある。口頭試験とはいわば面接だ。この中では定番で聞かれることがいくつかあるが、そのうちの一つが失敗例だ。どのような失敗をして、そこからどのようなことを学んだのか。そして、同じ轍を繰り返さないためにどのようなことをしているのか。そんなことを聞きたいようだ。そして、MBAの入学試験でも同じように失敗談を聞かれるようだ。授業でも、小さな失敗を早くして、早く学べと教わる。下の本でも同じようなことを言っている。歳を重ねると昔はこんなことをしたと自慢したくなる。いわば成功例だ。しかし、成功例を話す時には人はどうしても傲慢になる。しかし、失敗例を話す時には、人は謙虚になる。どちらの話を聞きたいかといえば明らかだ。自分の失敗をオープンに話をして、笑い飛ばせるような人はやはり魅力的だろう。逆説的だけど、自分に対して本当に自信がなければ失敗例を話せないし、話したくないだろう。失敗例をオープンにして、共有して、糧にできる技術士なら、MBAを目指すことは可能だし、価値もあるだろう。
出典:アマゾン
課題解決能力
技術士に求められる能力には、専門的技術知識や課題発見能力そして、課題解決能力がある。MBAに求められているのもこの課題発見能力や課題解決能力だ。現在は、経営課題を経理の知識や営業の知識だけで解決できる時代ではない。大局的な技術革新の流れの中で、自社の立場、業界の動き、顧客の動向を全て網羅的に理解した上で、自社の経営課題を明確にして、それに対して短期的な対応策と長期的な対応策を提言し、実現する。全く同じだではないか。自分は技術のことしか分からないと自らの土俵を狭めてはいけない。日本人は、チジミ志向と言われる。どうも深く深く埋没する傾向がある。多分、そのほうが快適だし、気持ちがいいし、やりがいがあるのかもしれない。それは安定成長の時代には機能したかもしれない。しかし、激動の現在においては、やはり俯瞰的な観察力と大胆な発想力が求められるのではないだろうか。
まとめ
これを読んでいる人の多くは技術士もしくは技術士を目指そうとする人かもしれない。「技術士を目指す人のための技術士を目指してよかったと思うこと」にも書いたけど、首尾よく技術士に合格したら、技術士として華やかに活動できるかといえばそうでもない。やはり技術の幅を広げて、技術を深めて、そして交友関係を広げることで徐々にビジネスも増えていく。技術士の先輩から話を聞くと、講演とか、学校の講師とかも勉強にはなるけど収入としてはわずかだ。やはり美味しいのは顧問契約だという。しかし、中小企業の社長の悩みに応えるのであれば、やはりMBAぐらい持っていないとダメだろうと思う。コロナ禍で環境は変化しているが、MBAを目指そうと考えるのであれば、強い意志を持って決めちゃおう。意志があればそこには道ができ、道を歩むことで意志は実現すると本当に思う。
以上
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拝