GCL情報理工学特別講義I(メディアコンテンツ)の第3回:世界を変えるLive to earn

はじめに

メディアコンテンツ特別講義の第3回は、株式会社LATEGRA取締役の杉本誠司さんからの「世界を変えるLive to earn」をテーマにした新しいライブの動向や課題を考える講義だった。前回と同様に、この投稿は講義メモではなく、講義を受けて感じたことをネットや図書で調べて理解したことをまとめたものだ。今回は、特に、講義で使われた内容と投稿している内容にズレが多い。投稿した内容にもし問題があれば、その文責は自分にある。逆に、内容がわかりやすいのであれば、それは講義が素晴らしかったからだ。

ゲスト講師の杉本誠司さん

杉本講師は、このメディアコンテンツ特別講義の最多講師の一人だ。杉本さん自身は、インターネット動画サービス「ニコニコ動画」の運営会社であるニワンゴ代表取締役社長を2005年から2015年までの激動の10年間を対応された。2015年にニコニコ動画の登録会員5000万人、有料課金会員250万人をと言う国内でも有数のWEBサービ杉本さん自身は、インターネット動画サービス「ニコニコ動画」の運営会社であるニワンゴ代表取締役社長を2005年から2015年までの激動の10年間を対応された。2015年にニコニコ動画の登録会員5000万人、有料課金会員250万人をと言う国内でも有数のWEBサービスに育て上げられている。ネットを通じたコミュニティやネットにおける著作権問題にも精通されている。株式会社LATEGRAは2017年5月26日に設立され、杉本誠司さんが取締役、山形龍司さんが代表取締役を務めている。ライブ・イベントの企画制作やデジタルプロモーションの企画制作を中心に新しい事業に幅広くチャレンジされている。
(出典:桜美林大学大学院

コロナ禍で飛躍するオンラインライブ市場

新型コロナの感染拡大に伴いリアルなライブなどは一斉に自粛を強いられた。2020年の市場規模は、ぴあ総研によると前年比70.8%の1,836億円と試算されていて壊滅的な状況だ。しかし、座して死ぬわけにもいかない。ライブを楽しみしている視聴者も演じたいアーティストも、それを開催したプロモーションも元気だ。ではどうするか。やはり対策案として注目されているのはデジタルライブエンターテインメントだ。」。国内デジタルライブエンターテインメント市場に関する市場動向調査では、下の図に示すように2020年では140億円程度の規模感だったが、倍々ペースで増加し、2024年には約1000億円規模まで拡大すると期待されている。

(出典:BCN+R)

浸透するライブ配信

講義では触れられなかったけど、ライブ配信がどの程度浸透しているのかが気になった。2019年の記事だが、当時は2020年には7442億円の市場規模まで拡大すると予想していた。特に、ライブ配信アプリとしては、台湾発祥のライブストリーミングサービス「17LIVE(イチナナ)」でのユーザ数は4500万人を超えているという。ただ、17LIVEはTikTokと同様に個人によるライブ配信の登竜門のような存在となっていて、視聴回数に応じた分配金、ライブ配信中の投げ銭(ギフト)、限定イベントによるボーナスギフトなどがライバーの収益となる。そして下の図に示すように週に1回以上ライブ配信を視聴する人が約7割と言う。

(出典:東洋経済ONLINE

オンラインラインライブ市場の爆発力

オンラインライブでは、ステージ上の音楽ライブや演劇をライブ配信する。単に配信するだけではあれば、テレビ中継と同じだ。オンラインライブ配信では、先の17LiveやTicTokのように、オーディエンスが投げ銭をギフトして、アーティストはこれに反応するような双方向のライブが実現している。つまり、ライブの主導権がアーティスト側にあったけど、オンラインライブではその主導権はオーディエンス側にも一部委ねられることなる。これはオーディエンス側にもアーティスト側にもメリットのある新しい仕組みだと言える。

(出典:YouTube

リアルなライブを遥かに超えるオンラインライブの動員力

嵐のラストコンサートとなった「アラフェス2020 at 国立競技場」が2020年11月3日にオンライン配信され、500万人以上が視聴し、その売り上げは300億円と鬼滅の刃を超えた。16時半からのPart1と19時半からPar2の2部構成(合計9時間半)の長丁場だけど、これはリアルではなく、事前収録型ライブ配信だった。選曲はファンクラブの投票によって決まるなどの双方向性がファンを魅了する。チケット料金は、嵐ファンクラブ会員だと4,800円(一般だと5,800円)と料金もリーゾナブルだ。チケットは確実にゲットできるけど、見逃し配信なしという希少性を確保しているあたりは商売が上手だ(参考)。
(出典:Tower Records

バーチャルなリアルライブ

これも講義とは関係ないけど、調べていて、オンラインライブと真逆なイベントで面白いと思った。つまり、これは実際に幕張メッセに集まるライブだけど、そこで演じるのは人間ではなくバーチャルなアーティストというか、初音ミクだ。2022年1月に3日間で7公演行い、チケット料金はッs席が13,000円、S席が9,500円、A席が8,000円で1月の売り上げだけで20億円超えだと言う。初音ミク恐るべし。

(出典:PR Times)

自律的なエコサイクル

講義に戻る。杉本さんは単なる視聴ではなく、ちゃんと体感できるオンラインライブサービスが重要と説明されていた。これを実現するには、オーガナイズユーザとしてのアーティストやライバーと、エンドユーザとしてのオーディエンスやファンと、このイベントを企画するクリエイティブユーザとしてのエンジニアやデザイナがそれぞれ連携して対応する必要があり、プラットフォームではなくて、NFTのようなポイントをシェアするソリューションを志向すべきと考えられている。つまり、自律分散型で非中央集権なWEB3.0のようなイメージだ。

3つのモヤモヤ

Web3.0というバズワードを広めたのはEthereum共同設立者のGavin James Wood(1980年4月生)氏だ。彼は2002年にイギリスのヨーク大学で工学修士を取得し、2005年に「音楽オーディオの共通ナビゲーションを支援するコンテンツベースの視覚化」と題する博士課程を修了した(参考)。本文155ページの論文の中で可視化技術を提案している。彼は中央集権的な構造ではなく、非中央集権的な構造でないと社会的に長期間維持できないと主張している。杉本講師は、この非中央集権的な対応を含め、3つのモヤモヤを説明頂いた。

NFTのモヤモヤ

Web3.0はブロックチェーンやNFTとセットで議論されることが多いNFTでは、アイテムに英数字のコードが書き込まれて編集不可能であり、アイテムの所有者情報などの記録が残る。特に、驚いたのは、下の絵はデジタルアーティストのMike Winkelmannが「Everydays:The First 5000 Days」という作品だが、なんと6900万ドル(約76億円)で取引された。まるでオランダでチューリップに高値がついたような、バブリーな雰囲気もあり、このようなクリップアートにそれだけの価値はないと個人的には思う。
(出典:TC

非集中型のモヤモヤ

ネットワークの世界は、集中化と分散化を繰り返している。電話が発明された頃は電話機と電話機で文字通り回線で接続するピアツーピアだったが、この接続作業を自動化するために交換機が開発された。インターネットでは、クリティカルな場所をなくし、どこかの設備が故障したり、攻撃を受けてもネットワークとして生き残るように分散化した。しかし、ネットが普及するとやはり効率化のためにハブやルータで集線化が進んだ。杉本さんは、今後は集中化と非集中化が組み合わさったハイブリッド型になるのではないかと指摘される。全く異論はない。

(出典:FinTech)

Metaverseのモヤモヤ

メタバースとは、デジタルリアリティだ。メタバースではユーザーが新しい経験をバーチャルな空間の中でさまざまな人と交流できる仮想空間の集まりだ。遊び、買い物、学習、仕事などさまざまな仮想空間である。一方、マルチバースとは、異なる宇宙の仮想的な集合体だ。これらの宇宙は、空間、時間、物質、エネルギー、情報、およびそれらを記述する物理法則と定数のすべてから構成され、集合して存在する。マルチバースが初めてこの文脈で使われたのは、イギリスのSF作家マイケル・ジョン・ムーアコック(1939年12月18日)が1963年に発表したSF冒険小説「The Sundered Worlds」だ。マルチバースに基づく仮想世界は、将来的には新しい国のように機能する可能性も指摘されている。エストニアは電子国民(e-Residency)を提供しているが、これも興味深い動きと言える。

(出典:101 Blockchains)

まとめ

受講生からも多くの質問がチャットに投稿され、杉本講師が丁寧に一つずつ解説されていた。当日は、担当顧客の衛星設備(BGAN)の設置工事作業が予定通り17時には完了したけど、その後細かなトラブルがあった。これらに対応していたらもう18時を過ぎていたので、青山一丁目で下車してカフェテリアで視聴していたら、20時に閉店ですと追い出されてしまった。なんとか最後まで視聴したけど、質問は最後の最後にレガシーなメディアであるテレビに関する杉本さんの見解を伺った。確かに、縮小均衡だけではなく、さまざまな発展系の可能性があることも理解した。レガシーなメディアと新しいメディアは単純に競合するのではなくそれぞれの良い点を補完しながら社会に貢献できるような姿が望ましいと改めて感じた。今回は貴重な講演本当にありがとうございました。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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