技術士の電気電子部門、総合技術監理部門に続いて、経営工学部門にトライ。筆記試験の問題を選ぶ時が一番ドキドキした気がする。

はじめに

7月の技術士試験を目指す人に向けて少しでも参考になればと、2017年に技術士の経営工学部門にチャレンジした時のことを少し書いておきたい。当時は名古屋に単身赴任していた。試験日は、2017年7月17日(月)だった。7月というと学校は夏休みに入る前なので、出前授業を設定することが多く、安全モラル教室の需要は年間でピークとなる時期だ。15日は岐阜の女子校、18日は岐阜県恵那市の高校、19日は山梨県立吉田高校での講演が決まっていた。しかし、講演といっても1時間ほどなので、1日23時間は自由になると居直って、講演する時間以外は受験モードに切り替えていた。

経営工学部門へのチャレンジ

当時の経営工学部門には金融工学やロジスティックなどを含めて5科目あり、自分は生産マネジメントで受験した。現在は生産・物流マネジメントと、サービスマネジメントの2科目に統合されている。名古屋ではSukiYaki塾手羽先の会に参加していて、その中に経営工学の技術士の方が一人いらした。一次試験は経営工学で受験したという話をすると、二次試験への挑戦を勧められた。他律的な側面のある自分は、誰かから勧められるとすぐにその気になる癖がある。今回は、それが良い方向に左右した。当時のサービスマネジメントを受験するか、生産マネジメントを受験するか悩んだ。サービスマネジメントはプロジェクト管理的な経験を求められ、生産マネジメントは品質管理的な素養を求められる傾向があった。品質管理の方により興味があったので、生産マネジメントとした。それは試験問題にも明確に現れた。

X bar-R管理図

筆記試験では、現在は3枚ものを3回、それぞれ2時間だが、当時は選択式の必須問題と600字の原稿用紙x1枚の問題が2つ、2枚の問題が一つ、3枚の問題が一つなので、合計7枚の記述式問題だった。記述式は複数の出題があり、選択することができる。選択した出題の内容から課題を抽出し、その対策を検討し、さらにはその対策の留意点を解説する。その時は工場の海外進出の問題と、X bar-R管理図による品質管理の問題だった。学生時代のアルバイトを除き、工場勤務の経験がないため、前者はちょっと書きにくい。X bar-R管理図も基礎データが表に示されていて、なんだかとっつきにくい。これは困ったと思ったが、品質管理でトライするしかないと腹をくくった。

7つの連

X-R管理図とは下の図のように中心線(CL)と上方管理限界線(UCL)と下方管理限界線(LCL)を引いて、サンプルのプロットがUCLとLCLの間から外れないかどうかで品質をチェックするものだ。しかし、UCLとLCLの間にあっても、例えば7つの連続プロットがCLの上方(もしくは下方)に続くと、これは異常事態が発生していると判断し、すぐに原因を調査して対処する必要がある。今回の出題はまさにその点を突いたものだった。出題者の意図が見えたので、その意図にそった回答にしたら見事に合格していた。よかった。

(出典:MONOist)

中小企業診断士

30歳の頃に海外のグループ会社の増資を担当する部署に異動したことがあった。しかし、自慢ではないが、日本の経理も知らない。英国の会社の出資案件に対応するため、英国式の財務会計を勉強した。そのあとは米国の会社の出資案件に対応するために米国式の財務会計を勉強した。でも、どうも本質的なことが理解できていないので、これではいかんと中小企業診断士の勉強をし始めた。そうするとマーケット分析や人材管理など技術者にとっては初めて聞く話ばかりで面白い!すっかりハマってしまった。しかし、最初の一次試験では、ダメだなという実感だったのだが、なぜかまぐれで合格していた。すっかり調子に乗って2次試験を受けるが、あえなく不合格。一念発起して1年間ミッチリと勉強して、それなりの手応えがあり、これは合格したなと思ったら、悲しい不合格。中小企業の支援施策の説明のところが多分間違ったと思う。そうこうしているうちに、希望のソリューション部門に異動になった。当時の中小企業診断士は一次試験に合格すると永年有効だったので、まあまたの機会に二次試験を受ければいいかと後回しにしたのが失敗だった。ソリューション部門の仕事は希望した仕事だったので、これはこれで面白くハマってしまった(笑)

中小企業診断士と技術士(経営工学)

中小企業診断士は財務分析をベースに企業の問題点を抽出し、その経営課題を解決するための方策を検討して提案するというパターンだ。技術士(経営工学)は財務分析というよりは、技術的な問題、効率性の問題、品質管理の問題、物流の問題等を抽出し、それに対する解決策をアドバイスするというパターンだ。似ているが違うものだ。中小企業診断士にもリベンジしたいという想いは燻っていて、それが経営大学院に入学するきっかけになるが、これは別に記事で投稿したので割愛する。

日本経営工学会

経営大学院を卒業した時に、日本経営工学会に入会した。この日本経営工学会では、経営工学を次のように定義している。チャンスがあれば、投稿や発表にもチャレンジしたいと思う。

(出典:日本経営工学会

まとめ

企業をコンサルする場合には、多面的な分析が有効だ。分析のアプローチは、技術士と、中小企業診断士と、ITコーディネータなどによって異なる。中小企業診断士は、主に財務分析やマーケット分析から企業をコンサルするが、技術士は品質管理や、安全管理から企業の課題を抽出してコンサルすることが多い。いずれも、本来のあるべき姿を示し、現状を分析し、そのギャップをいかに解消するかというアプローチと言える。技術士の試験に合格したらすぐにコンサルできるわけではないけど、自らの専門分野を深め、広げるためのスタートラインには立てるだろう。今年の7月の受験を受験を目指している人もぜひ合格後の自分の姿を活き活きと具体的に想像して、ニヤつきながら、頑張って欲しい。

以上

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