心の3要素は欲求と感情と言語。記憶は感情やエピソードと連携すると長期保存される。なるほど!と感心するのは優れた記憶術だ。

はじめに

技術士の二次試験(筆記試験)も7月10日、11日に実施された(参考)。10月の合格発表までは落ち着かない人も多いだろう。そんな時に気になるのは記憶術だ。あれもこれももっと覚えておきたかったと感じる人もいるだろう。記憶を定着するには、Aだけを記憶するのではなく、AとBの関係、AとCの関係、BとCの関係などできるだけ多面的に理解すると記憶が定着するし、思い出しやすくなる。また、感情との連携も効果的だ。大袈裟に感情をむき出しにするのもテクニックだ。確かに、「なるほど!」と深く感心したことは忘れにくい。ストーリーやエピソードで記憶するのも効果的だ。そんな記憶術の有効性を理解するには、心と気持ちと感情と記憶のメカニズムを理解しておきたい。これであなたも記憶術の天才か?

心の三要素

意識したり、記憶したり、想像するのは頭脳の働きだ。では、心はどこにあるのだろう。下の図によると心には、求める心(欲求)と、感じる心(感情)と、考え話す心(言語)がある。つまり、欲求、感情、言葉が心の三要素という。心の構造を知ることは自分自身を知ることに通じる。


(出典:人間存在研究所

人間の3つの脳

人間は生物であり、人間の脳には、生物の進化の名残が色濃く残っている。下の図によると、人間の脳には爬虫類の脳と、哺乳類の脳と人の脳の三層構造となっている。そして、爬虫類の脳(脳幹)は、食欲や性欲などの各種生存欲求を受け持っている。哺乳類の脳は、快適とか不快とか不安とか、怒りなどの感情を担っている。そして、人の脳は、理解する、考える、注意する、認識するなどの言語を担っている。爬虫類の脳は生きる機能、哺乳類の脳は感じる機能、人の脳は考える機能と言える。ゴルフが上達しないのは、人の脳を使いすぎるからだ。もっと哺乳類の脳や爬虫類の脳を使うべきななのかもしれない。


(出典:海馬の我楽多箱より

脳の構造

爬虫類の脳と呼ばれる脳幹は脳の下にあり、骨髄につながっている。脳は第二の腸と呼ばれるが、脳内で神経伝達物質であるセロトニンの約95%は腸で作られるという。哺乳類の脳(馬の脳ともいう)と呼ばれる大脳辺縁系はこの脳幹の上につながっている。運動を司る小脳は脳幹の後ろにつながっている。アントニオ猪木が考案した延髄蹴りはこの小脳にショックを与えるものだ。危ないのでやめてほしい。人の脳として言語を司るのは大脳だ。1963年にジョナス・ソークが創設した生物医学系のソーク研究所では、海馬の脳組織のシナプス結合の大きさを研究し、シナプスが大きいほどそのニューロンが隣のニューロンに信号を送る可能性が高くなることと、シナプスには26の異なるサイズがあることを発見し、これまで考えられていたよりも10倍大きな1ペタバイトの容量があることを示した。英語になるけどこの辺りのメカニズムを動画で紹介している。


(出典:海馬の我楽多箱より

大脳辺縁系

大脳辺縁系には扁桃体と海馬体があり、海馬体とは海馬、海馬台、歯状回の集合と言う。大脳辺縁系は感情を司っており、大脳辺縁系を刺激することは記憶や記憶の連想を活性化する。したがって、例えばスターバックスでコーヒーを飲みながら勉強したり、おせんべいを食べながら勉強したりすると、味覚や食感や匂いや音とともに記憶されるので思い出しやすくなる。子供の頃、お小遣いの10円を持って駄菓子屋に行って、1枚1円に塩煎餅を購入して、算数のドリルを1枚終わったらお煎餅を1枚食べるという報酬系を自ら考案したが、これは脳幹と大脳辺縁系と大脳をダイナミックに連携させているので非常に理にかなった勉強法だったと言える。非常に嬉しい時や悲しい時のことは記憶が鮮明になることが多いので、冷静に勉強するよりは、感情をむき出しにして、やたら感動しながら、勉強する方が効率が良いと言える(笑)。

(出典:高橋医院

小脳の3つの機能

小脳は下の表のように、前庭小脳(古小脳)と、脊髄小脳(旧小脳)と大脳小脳に分かれる。前庭小脳は体幹筋等を支配し、身体の平衡機能を担う。脊髄小脳は体幹等を支配し、姿勢制御を担う。最後の大脳小脳は身体の随意運動を司る。東京五輪が盛り上がっているが、アスリートは、バランス感覚に優れてている。その意味では前庭小脳や脊髄小脳の機能が非常に優れているのだろう。

(出典:note

記憶のメカニズム

記憶は大脳新皮質と大脳辺縁系が連携して担う。どういうことか言えば、短期的な記憶は大脳新皮質が担う。でも、あまり必要ないと判断すると忘却する。自分は忘却の天才だと思う。忘却することで新しいことも記憶できる。一方、大脳辺縁系は本能や情動と連携して長期的に記憶する。生命の安全を脅かすようなことは一生忘れない。小学生の時に自転車で飛び出してタクシーと衝突しそうになったが、その時の数秒は今でもスローモーションのように覚えている。同様に、感情との連携しているので、すごく嬉しかったことや、悔しかったこと、悲しかったことは忘れない。これは生物の本能として必要な機能なのだろう。従って、短期記憶ではなく、長期記憶にするには感情に訴えるエピソードやストーリーと組み合わせることが有効となる。

(出典:00ストーリ

エビングハウスの忘却曲線

人が思い出せないというときには、本当に記憶が薄れて忘れた時と、そもそも覚えていない時がある。下の図は有名なエビングハウスの忘却曲線だ。心理学者のヘルマン・エビングハウスの中期記憶に関する実験結果に基づいている。学習曲線と忘却曲線の関係を示したものだ。このような実験の場合には、心静かに感情を抑えて実験しているが、前述の通り大脳だけでなく、大脳辺縁系や小脳、脳幹までを総動員すると効率的に記憶でき、忘れにくくなる。散歩しながら考え事をしたり、ブツブツ言いながら記憶するのも効率的だ。記憶の失敗には、そもそも記憶していないという失敗、覚えたけど忘れたとう失敗、覚えているけど思い出せないという失敗がある。また、多面的に理解したものと、表面的に理解したものでは、後者の方が忘れやすい。

(出典:GOING EXTRA MILE

記憶の二重貯蔵モデル

人は見たり、聞いたり、触ったものを全て覚えているわけではない。興味がなければ、短期の記憶(ワーキングメモリ)に保持されるのはわずか1-2秒だ。興味があると、20秒程度は保持する。美人だなあとか、美味しいなあとか、気持ち悪いなあといった感情や経験に基づいて長期の記憶になったり、一連の意味を理解して長期の記憶になる。記憶のメカニズムを短期と長期に分けて考えるのが二重貯蔵モデルだ。


(出典:近畿大学

記憶の種類

下の図は、感覚記憶は1-2秒で消滅するが、その感覚が必要と感じると作動記憶となり、20秒程度は維持する。お!美人だ!とか感じると20秒ぐらいは覚えているということか。そして、その意味や背景を理解すると短期記憶に保存されるが通常は2-3分で消滅するが、意味を持たせると海馬に記憶されて24時間程度は残る。例えば、勉強であれば、その意味を繰り返し反復することで中期の記憶になり、さらに理解が深まると長期の記憶として側頭葉に保存される。


(出典:海馬の我楽多箱

長期記憶の種類

記憶には短期の記憶と長期の記憶があり長期の記憶には次の図のように4種類の記憶がある。左のプライミング記憶は以前から知っている情報が後の情報に影響を与えるような記憶であり、先入観とか思い込みとか勘違いが生じるのもこの記憶だ。手続き記憶とは、自転車に乗るとか、スキーをするとか身体で覚えた記憶で無意識に対応できる記憶だ。そして、意味記憶には九九とか年代とかを覚える言語記憶と絵画とか音楽等の非言語記憶がある。最後のエピソード記憶は、体験や出来事などの言語記憶と風景とか、音とか風の感覚と言った非言語記憶がある。効率的に記憶したければ、イメージとか、体験とか、意味とか、感覚とか感情を総動員した方が長期記憶になりやすいし、思い出しやすいと言えるのではないか。


(出典:たかが英語されど英語

まとめ

以前男女による脳の違いを投稿した。今回は、心と感情と記憶の関係を考えてみた。勉強をすることは何かを理解して、記憶することであり、冷静な作業の方が効率的と思いがちだが、実は感情や感覚やイメージや想像力を総動員して、感情や頭脳を大きく揺さぶりながら繰り返すことで効率的に長期記憶になる。好きこそものの上手なれというが、ちょっとしたことにも「へえ〜!!」とか、「すっごい♪♪」というふうに感動しながら勉強したり、話をする方が記憶にも定着する。つまり、効果的に勉強がはかどるということなのかもしれない。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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