インフラから考える動画配信サービス:放送専用のインフラ拡充は効率的ではない。

はじめに

皆さんは動画配信サービスを利用されていますか?テレビ離れが進む若年層ではYouTubeやNetflex、Huluなどを頼む人も多いだろう。今回は、そんな動画配信サービスを次のように2回に分けてまとめてみた。今回は、動画配信サービスをインフラから考えた。

(その1) インフラから考える動画配信サービス ⇨ 今回の投稿!
(その2) コンテンツから考える動画配信サービス(次回の投稿

通信と放送の融合・連携の可能性

通信サービスと放送サービスは、昭和の時代には明確に分かれていた。前者は電話であり、後者はテレビやラジオだった。しかし、最近は、自分が作った動画をYouTubeやTicTocで不特定多数の人に見てもらうことが可能だ。NHKプラスやGYAO!などを使えばテレビの生放送で見れなかったり、録画を忘れた番組も視聴できる。便利な世の中になったものだ。これを支えているのは、映像の圧縮等のデジタル技術だ。これにより高精細な映像を適切に配信することができる。

(出典:高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)

動画サービスの分類と躍動する動画配信サービス

小学生が将来なりたい職業としてYouTubeが上げられた時には、学校の先生や保護者は驚いたようだ。しかし、一流大学を卒業して一流企業に就職する父親よりも、YouTubeで活躍して稼ぐ人が数十倍の年収を稼ぎ出すためという説明を聞くと、YouTuberを目指す子供達を笑えない。学校も単にYouTuberを目指すなんてと嘆くよりは、稼げるYouTuberになるための方法などを学校で教えれば子供は目を輝かせて勉強すると思う。動画サービスをここではYouTubeやTicTokのような動画共有サービス、AbemaTVのようなライブ配信サービス、見たい時に見たい映像を見れるデマンド型の動画配信サービスに分類する。ここでは、最後の動画配信サービスを主に解説したい。

衰退するレンタル業と急成長する定額制配信サービス

かつては映画を観たい時にはレンタルビデオ店で好きなビデオをレンタルしたり、購入したが、その需要は減少している。動画のレンタルや購入はオンラインでも可能だし、それも伸びている。しかし、劇的に急増しているのは、定額制動画配信サービス(SVOD:Subscription Video on Demand)だ。


(出典:PR Times)

定額動画配信サービスの種類

自分が使っているのはAmazon Prime Videoだ。月額500円なのでコストパフォーマンスは高い。TVerやGYAO!、Hulu、Netflix、U-NEXTなどは名前は聞いたことがあるけど実施に使ったことはない。調べてみると、下の表のように、無料をベースにしたTVerやGYAO!と基本料が必要でかつ有料作品が含まれるサービスに分類できるようだ。下の表は女子部に掲載されていた表を少し編集した。

(出典:女子部)

NHKプラス

ネットを介してNHKの番組を視聴できるNHKプラスが2020年4月より開始した。NHKプラスは難視聴地域などの放送を補完するサービスとしての位置付けもあり、すでにNHKの受信料を払っている人は追加費用なしで視聴できる。しかし、将来は有償化も検討しているのだろう。IDを申請すればNHKの受信料を払っているかどうかを確認して郵便でIDが配達されるようだ。IDがなくても利用はできるけど少し機能が制限されたり、余計な文字を表示するなど軽い意地悪をするようだ。サービス開始後1ヶ月で約33万件の利用登録があり、2020年7月には約84万件、2020年9月26日に累計でやっと100万件を突破。2021年2月時点では122万件、2021年5月には登録申請件数は160万件まで増えたが登録数は130万件ほどという。なんだかアナログな方式で無駄がいっぱいありそうだ。なぜもっとシステム化して簡便に登録できるようにしないのだろう。NHKに個人情報を渡したくないので、しばらくはID登録なしで利用しておこうと思う。

NHKプラスをリリースしたNHKの戦略

NHKの受信料は地上契約の口座振り込みやクレジット払いで月額1,225円だ。2020年10月より、35円だけ料金を値下げしたが、それでもまだ高い。Amazon Prime Videoの月額500円と比べると倍以上だ。消費者の感覚から言えばせめて980円とか、1,000円を切るレベルにして欲しいと思う。

(出典:NHK)

増大する受信料収入と増大する繰越金

NHKは2020年10月に35円の値下げをしたが、繰越金は増加の一途を辿っている。2010年度に1,262億円だった繰越金は2019年には2,974億円と2.3倍以上に増加している。これまでの放送設備の維持・更新は、今後ネット利用が増えればコストを圧縮できる。NHKの受信料を1,000円未満にすることは可能なのではないかと思う。これほどの繰越金をどうするつもりなのか。


(出典:読売新聞オンライン

増大する有価証券資産

増大する繰越金と連動するかのように、有価証券の資産が増加している。2003年度には2000億円弱の水準が、2018年度には6000億円弱の水準に増加している。日本の株式を買い支えるように政府から要請でもあったのだろうか。なぜ消費者に還元しないのだろうか。NHKの番組には素晴らしい番組も多いが、偏った見識からの報道や韓国ドラマなどが多いように感じるのは自分の偏見だろうか。日本人による日本人のための日本の番組を制作してほしいと思う。

(出典:週刊東洋経済

まとめ

NHKは公共放送機関である。高い倫理観を持って、多様な意見をしっかりと中立的な立場から紹介してほしい。政治的な意図を持った報道は今後もしないでほしい。現在のテレビは、HDから4K/8Kと高度化しているが、映像サービスの高度化はこれでは止まらない。しかし、その度に放送関連設備や中継設備を高度化するのは合理的ではない。そうではなく、ネットを通じたNHKプラスをメインサービスとして、4K/8Kだけではなく、その先の16K/32Kなどを含めて高度化を効率的に推進してほしい。利用者にリーチする部分のインフラと、そのインフラに流すコンテンツは今後さらに分離していくと予想する。インフラ整備とコンテンツ拡充を分離することで、NHKは効果的な設備投資ができるだろうし、過剰な利益や増大するキャッシュは料金値下げの形で利用者に還元してほしい。料金を高止まりさせて、既得権を維持したいと願うのはエゴである。思考をそこで停止させるのではなく、大胆に発想の転換をしてNHKを改革すればNHKの将来は明るい。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございます。

(次回)コンテンツから考える動画配信サービス

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