その2:電動アシスト自転車の新しいチャレンジの動向(回生充電など機能の高度化は続く)

はじめに

前回は電動アシスト自転車の現状と課題について概観した。

その1:電動アシスト自転車の現状と課題(便利だけど危険。事故に注意)

今回は、その2として新しいチャレンジの動向を探ってみた。

その1:電動アシスト自転車の現状や課題(前回
その2:電動アシスト自転車の新しいチャレンジの動向(⇨ 今回の投稿)
その3:モビリティの多様化と将来の可能性(次回

新しいチャレンジの動向

電動バイクと電動アシスト自転車の二刀流

中国では電動バイクが流行っているが、日本で使うと原動機つき自転車として免許が必要だし、ヘルメットを着用して、道路交通法にも従う必要がある。しかし、アシスト自転車なら歩道を走ったり、車道を走ったり、一方通行に関係なく走行したりできて非常に便利だ。そんな良いとこどりをした商品が、glafit(グラフィット)が手がけるハイブリッドバイクGFRだ。モビリティ・カテゴリー・チェンジャーを取り付けると、電動バイクと自転車を切り替えることができる。つまり、アシストモードの時はナンバープレートを自転車のマークにして、電動バイクにするときはナンバープレートを表示するというコンセプトだ。グラフィットは内閣官房日本経済再生総合事務局のサポートを受け、苦労しながらも和歌山市と規制のサンドボックス制度に共同申請し、2019年10月17日に経済産業省、警察庁、国土交通省において実証計画の認定を受けていた。そして、関係省庁や警察庁の最終確認を経て、車両区分の切り替え第1号案件として認められた(2021年7月1日公表)ものだ。

(出典:レスポンス

回生充電のチャレンジ

名古屋で電動アシスト自転車を購入した時に探したのが回生充電機能付きのモデルだが、そのタイミングでは良いのがなかった。しかし、現在は数社から発売されている。例えば、パナソニックの回生充電方法には、2つのモードがあり、ブレーキレバーを握ったタイミングで発電するブレーキ充電モードと平地で普通に走行しながら充電するオートマチックモード(平地充電モード)だ。下り坂で自動的にモータ〜が発電機に切り替わるオートマチックモードでは、パワーモードの約1.3倍の走行距離を走行可能だ。仕組みとしては、前輪はモーター兼発電機であり、後輪は人力による駆動だ。前後輪に駆動力がかかるため、雪道やぬかるみなどでも安定した走りが可能だ。ただし、登り坂では意識的に前傾姿勢をとると良い。問題は、前輪が重くなる点と価格が1.5万円ほど高くなること、押し歩きが重いことだが、押し歩きでもアシスト動作が機能する機種も出ているようだ。

(出典:jiji.com)

高出力タイプの投入

日本ではアシスト最高速度が時速24kmだったりと欧米に比べると規制が厳しいが、一方で欧州では最高出力が250Wと制限しているが、日本では最高出力の規制がない。このため、定格出力1000Wという化け物のようなアシスト自転車も発売されている。価格も18万1,500円と高額だけど、マウンテンバイクとしても楽しめるのは魅力だ。

(出典:Rakuten)

チェーンレス電動アシスト自転車

販売価格195,000円と高額商品だけど、折りたたみ式で、充電可能で、安全性のたかい電子制御のアンチロックブレーキシステム(E-ABS)を搭載したアシスト自転車が企画されている。しかも、チェーンを利用せずにダイレクトに駆動する方式なので、チェーン外れやチェーンの錆などの問題もない。これはすごい。
(出典:Engadget)

電動アシスト自転車の安全強化に向けて

電動アシスト自転車でのマナー違反

下の棒グラフ(左)は電動アシストでマナー違反をしたことがありますか?というアンケートで約37%はマナー違反をしたことがないと答えているが、約31%が歩道を走る、約23%が雨の日に傘さし運転、約16%が信号無視などをしていると答えている。同様に下の円グラフ(右)では、危ない経験をしたことがあるが約36%を占めたという。

(出典:KDDIのニュースリリース)

電動アシスト自転車でのヒヤリハット

同様に電動アシスト自転車でのヒヤリハットをアンケートしたところ、急発進や転倒、よろめきなどが上位を占めた。1,000人への調査で359人(重複あり)がヒヤリハットの回答をしているので、前の円グラフの結果と同様に約36%がヒヤリハットを経験していると言える。

(出典:KDDIの意識調査結果

電動アシスト自転車の盗難防止対策

位置管理での防犯アプリ

交通事故の防止についても検討する必要があるが、ここでは盗難防止について調べた。最近では自転車にGPS機能をつけたり、Wi-Fi機能をつけたり、広域で動作可能なSigFoxを活用して、盗難を防止する仕組みが出ている。下の図は、オルターロックが提供するスポーツ自転車向けのサイクルガードサービスだ。 盗難防止アラームとスマホへの通知で大切な愛車を見守るという育美だ。ここまで本格的なものでなくてもよければ、例えば、appleのair-tagを自転車につけておくで、自転車の場所をスマホで確認できるので盗難などの万一の時には便利かもしれない。

(出典:AlterLock

盗難被害に遭わないための対策

大事な大切な電動アシスト自転車が盗難被害にあったら悲しい。でも、バッテリーの充電等が必要なので、個人的にはあまり盗まれる可能性は少ないかと思うけど、逆にプロ集団は高価なアシスト自転車を狙う可能性もある。定期的に駐輪場所を変えることや、施錠すること、防犯グッズを活用することなどの基本的な対策を複数組み合わせて対応することが必要かもしれない。

(出典:ALSOK)

まとめ

電動アシスト自転車の進化が止まらない。しかし、電動をベースに考えるなら、もっと手軽な電動キックボードも海外では広がっている。日本でも会社や自宅から最寄駅までをキックボードで移動するという人を見かけた。次回はそんなモビリティの多様化について考えてみたい。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございます。

参考:次回のモビリティの多様化
・キックボード
・電動三輪アシスト自転車
・電動シニアカート

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