はじめに
「金継ぎ」のことを知り興味を覚えた。壊れた食器などを捨てるわけでもなく、割れたまま使うのでもなく、別の用途に転用するのでもなく、新しい食器に昇華する点が素晴らしいと思った。同様に古民家の再生も日本人の技術と知恵が凝縮されていると思った。今回はこの2つについて投稿したい。
3Rの先にある再生(rebirth)
限りある資源を有効利用しようと3R=Reduce, Reuse, Recycleなどが叫ばれている。また、これ以外にもいろいろなRが提唱されている。ここでは、再創造という意味でRebirthを提案したい。
Refuse:ごみになるものを拒否する。
Repair:壊れても直せるものは修理して使う
Remix:新たな創造のために既にある資源を再編集する
Refine:廃棄するときには分別する
Rethink:再考する。自分に本当に必要なものかどうか考える
Rental:個人として所有せずに借りて済ます
Return:戻す。携帯電話など使用後は購入先に戻す
Reform:着なくなった服などを作り直す
Reconvert to Energy:ゴミを燃やす時の熱を利用する
Rebuy:リサイクルされたものやリユース品を積極的に購入する
Regeneration:再生品の使用を心がける
Reasonable management:正しく、環境にそった処分をする。
Recreat:環境保全型余暇や自然保全型余暇を満喫することは、潜在的な自然体験欲求の充足のみならず自然環境の保全にも役立つ
React:自然をわかち合う事によって環境共育に働きかける
Restore:再植林する。自然環境の復元や生態系サービスの持続的利用は人類が生きながらえる為の重要な要素である
金継ぎ
金継ぎ(きんつぎ)とは、金や銀、プラチナなどの粉をまぶした漆で割れた陶磁器を補修する技術である。損傷や破損の時点でその使用を終了させるのではなく、その物の歴史における亀裂や修理の出来事を逆に強調する手法である。金継ぎの哲学は「勿体無い」という感覚と「無心」という哲学に関連付いている。無心とは起きたことを運命として受け入れる概念だ。このような切なさや美学を日本では「もののあわれ」と呼ぶ。「馬公藩早王記」によれば、壊れたものの美しさを意味するものとして感動的で禅的である。日本の侘び寂びの美学は、精神的価値、道徳的教訓、物質的品質に及び、茶道にも表現される。このように不完全であることを理解することがこの考え方の核心だ。
(出典:kintsugi)
古民家
全国には空き家古民家が21万件以上あり、その修繕やリフォームなどの潜在的な市場規模は約1.8兆円と試算されている(参考)。
(出典:RBBToday)
空き家数及び空き家率の推移(全国)
昭和38年当時では、空き家率は2.5%だったが、平成5年には9.8%に増加し、平成25年には13.5%まで増加している。空き家数も同様に一貫して増加している。2021年の空き家率は13.%にまで増加している(出典)。今後も少子高齢化が進むと、空き家率はさらに増加するものと懸念される。NRIの予測では2033年(令和15年)では30.2%まで増加する。3軒に1軒がほぼ空き家というのは寂しい状況だし、町や村の活性化の観点からは深刻な事態と懸念される。
(出典:粉もん研究)
1950年以前に建てられた木造住宅
古民家には日本特有の建築技術や日本人の居住習慣が息づいている。地域の歴史を感じるような文化的価値の高い建築物である。現存する世界最古の木造建築法隆寺などの神社仏閣建築を軸に日本の木造建築は高度な発展を遂げてきた。古民家建築は日本の木造建築の奥深さを感じることのできる貴重な文化財であるといえる。日本の文化としての古民家は、外国人はもとより、日本人にとっても、新鮮である。「古民家」の明確な定義は不明だが、国の文化財登録制度の対象となるのが築50年以上の建築物であることから、ここでは住宅・土地統計調査での分類における1950年以前に建てられた木造住宅”を古民家と考えると、下の図に示すように、平成15年から平成25年にかけて56 万軒もの古民家が解体されている。日本の貴重な文化が消滅する前に、再利用や保全といった保護体制が急務である。
(出典:横浜国立大学)
岩手県野田村の古民家活用
囲炉裏(いろり)にお魚を串で刺して、じっくりと炙る。シンプルだけど、とても貴重な体験ができるのが岩手県の野田村にある古民家を活用した「南部曲がり家」と呼ばれる苫屋(とまや)さんだ。茅葺き屋根は、白川郷と同様だ。蚕を飼ったり家畜を飼育する場所をリフォームして客間としている。便利ではなく不便。豪華ではなく質素。でも、そこには、「時が止まった感」がある。何もないがある。こういうところでのんびりとした時を過ごすと心が表れると思う。
(出典:story)
奈良・桜井の田舎茶屋 千恵
奈良の桜井にも風情のある古民家を楽しめる。築160年の古民家は滋賀県から移築し、今は大和平野を一望できる。掘り炬燵式の「囲炉裏の間」は掘り炬燵になっていて、落ち着いた雰囲気。昼の解析風コース料理を楽しむのも一興だ。旬の野菜を練り込んだ松風など10品前後からなる前菜は繊細な味わい。吉野本葛のお造りは出来立ての風味を楽しめる。朝摘み野草の天ぷらの効用を聞きながら揚げたてを持ってきてくれる。最後は、かまど炊きご飯の登場だ。かまどに羽釜を据え、火吹き竹で火加減を調節する昔ながらの方法でご飯を炊いてくれるので美味しさも格別だ。
まとめ
日本人の感性は世界に誇れるものだ。日本人はもっと自信を持って、自己肯定感を高くしたい。自国の誇りある歴史を子供達に伝え、子どもたちはそれを受け継ぎ発展していく。かつての日本もそうだった。寺子屋では、まず村の歴史や村の地理を教え、その周辺を教え、国を教え、世界を教えた。今の日本に必要なことは、自分達のホームタウンに対する愛着や誇りを持つことではないだろうか。日本国がどのようにしてできたのか、縄文時代や、それ以前の旧石器時代を含めて、日本には世界に誇れる歴史がある。協力し、助けあう高い民族性がある。職業を極める巧みさがある。日本の良いところにもっと目を向けて、明るい日本にするにはどうすれば良いのだろう。
以上
最後まで読んで頂きありがとうございました。
拝