太古の時代から地球規模で温暖化の流れを考えたら過去5回の大量絶滅期やオールトの雲に行き着いた。

はじめに

現在の人類の最大の課題は温暖化だ。しかし、地球は太古の時代から温暖化と寒冷化をほぼ10万年単位で繰り返している。そして、温暖化が急峻なために温暖な時期は短い。一方、寒冷化は徐々に進み長い。温暖な時期と寒冷な時期のどちらが好きかと聞かれれば、多くの人は温暖な時期と答えるのではないだろうか。2万年前の温度は現在より10度近く低かった。その後温暖化に向かい1万年前にはほぼ現在の温度分布に移行した。縄文人とは寒冷な時期に大陸で繋がっていたのに温暖化とともに海進が進み、大陸と切り離された日本列島で生き残った人類だ。その後も北や南や西からの流民を受け入れて現在の日本人を構成しているのだろう。


(出典:地球環境研究センター

5000年前は現在より14度も温暖だった

もっと時空を広げると、5,000万年前にはなんと現在よりも14度も高かった。これは「日本人の起源」でも言及したが、5,000万年前をピークに気温が低下して、80万年前以降はほぼ10万年周期で温暖化と寒冷化を繰り返し、1万年前にはほぼ現在の温度分布帯に移行した。温暖化をどこまで抑制できるかは人類や地球上の生物にとっては非常にクリティカルな問題だけど、地球にとっては太古の激動の時代に比べれば「細波」程度の変化なのかもしれない。

(出典:Paleoclimatology)

ホットハウス・アース

2100年までの温暖化が2度までに抑制できなければ、さまざまな現象が連鎖的に発生し、地球上の多くの場所が人間の住めない土地となる「ホットハウス・アース」になるとストックホルム・レジリエンス・センターの環境学者ヨハン・ロックストローム所長が警鐘を鳴らす。

(出典:newsweek)

プラネタリー・バウンダリー

ヨハン・ロックストローム博士は、人類が地球システムに与える力を一定の水準を超えると不可逆的な変化が起こるとし、その限界をプラネタリー・バウンダリーと呼んだ。北極の氷が溶けて北極熊が絶滅危惧種に指定されたと聞いてもピンとこないが、今後数十年で世界の昆虫の40%が絶滅する可能性があるという(出典:Science Direct)。かつては年間で100万種の生物のうち1種程度が絶滅していたが、その速度は100倍とも1000倍とも言われるほど加速している。陸上の生物8,300種の動物のうちすでに8%は絶滅し、さらに22%が絶滅の危機にある。この意味から現在は「第6の大量絶滅期」と言われる。


(出典:国際花と緑の博覧館記念協会

第6の大量絶滅期

先に5,000万年前には現在より14度も温暖だったと書いたが、さらに歴史を遡ると、生物が誕生した先カンブリア時代(約5.4億年前)から生物は多様化しながらも、次のような5回の大量絶滅機を迎えている。
① 4億4400万年前:オルドビス紀末の大量絶滅。生物種の85%が絶滅
② 3億7400万年前:デボン紀後期の大量絶滅。生物種の82%が絶滅
③ 2億5100万年前:ペルム紀末の大量絶滅。生物種の90%から95%が絶滅
④ 1億9960万年前:三畳紀末の大量絶滅。生物種の76%が絶滅
⑤ 6550万年前:白亜紀末の大量絶滅。恐竜を含む生物種の70%が絶滅

なぜ大量絶滅が発生しかという原因には諸説あるが、①は海水準の低下、②は寒冷化、③と④は火山、⑤は巨大隕石などの説がある。太陽系を囲むオールトの雲からの大量の彗星が地球に衝突するというネメシス説もあるようだ。

(出典:日本経済新聞

オールトの雲

オールトの雲とは、太陽系の外側、太陽から数万天文単位付近を球殻状に取り囲む氷微惑星の集まりだ。宇宙にはミクロン以下のダスト微粒子が存在し、衝突合体を繰り返して、成長し、kmサイズの微惑星が形成され、さらに衝突・合体を繰り返して千kmサイズの天体となり、その後惑星が完成する。長周期の彗星がある時一斉に大量に地球に衝突したことが原因とするのが前述のネメシス説だ。なんと遠大な発想だろう。

(出典:国立天文台

まとめ

社会的な課題を深掘りしようと時空を広げたら、とんでもないことになった。「人間50年 下天の内をくらぶれば 夢幻のごとくなり」とは、織田信長の言葉として知られているが、この下天とはなんだろう。調べてみると、「仏教における天上世界を、欲望の度合いに応じて六段階に分けた六欲天(ろくよくてん)の最下位世界を差す。」とある(出典)。下天の世界の1日は人間の50年に相当し、下天の住民の寿命は500歳なので、換算すると約912.5万年となる。それでも地球の寿命には遠く及ばない。凡人である自分は、さすがに千万年先のことは想像できないので、まずは100年後の未来を考え、2100年の未来からの逆算にトライしたい。

(出典:マホラ

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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