はじめに
経営大学院に通っていた時に受講した「ロジカルシンキング」の授業での講義内容をベースに修士論文をまとめるときの注意点等についてまとめてみたい。
良い論文とは
誰が読み手なのかを考えて、読み手の立場にたって書くことが鉄則だと教わった。普通は書き手が書き手の思いに基づいて、書きたいように書いてしまう。このブログだって、誰が読んでいるのかをイメージして書いているつもりだが、ついつい自己満足に走ってしまうことが多い。反省。
長い論文と短い論文
問題は論文の内容だ。しかし、もし、内容が同じだとしたら、長い論文と短い論文のどちらが良いか? 書き手の論理であれば、これだけの力作だと長いほうが自己満足が大きい。しかし、問題は読み手がどう感じるかだとしたら、答えは明確だ。短い方が良いに決まっている。
わかりやすい論文とわかりにくい論文
どちらが良いかは論を待たない。しかし、往々にして後者になりがちだ。なぜ、分かりにくいのかといえば、結論が明確でないためだ。もっと言えば、結論と呼べる成果がないためだ。したがって、分かりやすい論文にするには、成果を上げることだ。成果がいくつか上がれば、その中で最も重要なものをまとめて簡潔に示せば良い。
起承転結とPREP法
技術士受験の指導を受けた時に、よく5W1Hとか、起承転結になっていないと指導された。しかし、起承転結だと最後まで読まないと結論がわからない。一方、PREPはリズムが良い。まずpoint(結論)を述べる。そのReason(理由)を述べて、Example(事例や根拠)を示す。最後にもう一度Point(結論)を述べる。これは論文全体の構成だけでなく、講演で話す時も有効だ。最初に結論を言って、興味を持ってもらう。その後で、その詳細を説明する。これは利き手にとっては嬉しい構成だと言える。
演算法と帰納法と第三の方法
演算法(Deduction)
有名なのは、ソクラテスの論法だ。人は死ぬ。自分は人だ。だから自分は死ぬ。そんな風に論理を積み上げる。先生によれば、30年前の人工知能はこのようなルールベースで処理した。しかし、ルールを入れるのが大変だし、入力したルールが間違っているとダメだ。広辞苑を全て入力したって人工知能が正常な判断をする訳が無い。下の表は、演算法と帰納法のメリットとデメリットをわかりやすく比較している。
出典:推論の基本「演繹法」と「帰納法」を使い分けて考える力を身につけよう
帰納法(Induction)
17世紀の英国思想家フランシス・ベーコンが経験則を理論的に解釈するための仮説として導入した。複数の結果や事実からルールを見つけて、論理展開する。現在の人工知能の機械学習には、教師あり学習と教師なし学習があるが、この帰納法はいわば教師なし学習だ。膨大なデータから傾向を見つけて、それをルールとするものだ。
出典:https://www.ashita-lab.jp/special/5414/
第三の方法
演算法を英語でDeductionという。帰納法は英語でInductionだ。そして、第三の方法は、Abductionという。abとは反対という意味だ。適当な日本語がなく、カタカナで「アブダクション」という。強いて言えば逆演算法だ。多くの仮説を検証することで結論を得る。20-30年後の人工知能がこのアブダクション方式に対応すると、人間と同等かそれ以上のロジカルシンキングができるということになるかもしれない。
参考文献を見ると完成度がわかる
論文を作成して、最後の最後に作成するのに苦労するのは参考文献だ。普段から整理しておけば良いのだけど、なかなかそうもいかない。勢いやっつけ仕事になる。しかし、識者はそれをよく知っているので、この参考文献の完成度やお作法に沿っているかを見るだけで、論文自体の完成度がほぼほぼわかるという。ただし、参考文献の書き方のお作法には、理系と文系があるという。どちらでもOKだけど、統一感は必要だし、重要だ。
はじめには最後に書く
論文を書くときに、「はじめに」から書き始めがちだ。しかし、最初に考えるのは目次だ。全体の構成を考えて、章立てを決めて、各章で記載したいことをサブタイトルとして、ブレイクダウンしていく。必要に応じて図表を追加する。最後にタイトルやサブタイトル、図表をリファーしながら一気に描く。まとめを書く。そして、最後に「はじめに」を書く。なぜ最後に書くのかというと、読者の立場ではじめにを書こうとすると、論文全体を外観して、その上で伝えるべきことを考える。このために論文ができていないと書けない。
余分な資料は付録に回す
論文を書くときは、最初はあまりページ数とか考えずに、書きやすいところから書いていって、不足する点を研究、検証、調査して膨らませていく。そして、結論=成果が見えたら、それを中心にぎゅっと圧縮する。余計なところは全てカットする。しかし、単純に削除するのではなく参考資料のような本論以外の資料に回す方法がある。こんな方法もあるのではとか、この視点では検討したのかと聞かれた時に、参考資料で解説すると評価が上がるという。そのようにしたけど、想定通りの質問は全くなかった。残念。。
パワーポイント10枚にプロジェクトの内容をまとめる
今回、最後の宿題は重い。プロジェクトの内容を10枚のパワーポイントにまとめて提出しろという。例えば、表紙と、エグゼクティブサマリー、目標、ターゲット市場と将来性、サービス・製品、ベネフィット、競合先、マーケット戦略、財務、まとめでちょうど10枚だ。
まとめ
授業が終わってから、すぐに宿題をすれば良いのかもしれないが、やはり早く自宅に戻って、風呂にでも入って、ビールでも飲んでゆっくりしたい。このブログは、学校から自宅までの電車内で座れた時に、チャチャっと書いている。書いただけで、推敲しないと誤字脱字だらけにになってしまって、恥をかくことになる。それでも、限られた時間でまとめないと、記憶はどこかに消えていってしまう。そんな走り書きしたブログが意外と読まれているのに驚く(笑)。
以上
最後まで読んで頂きありがとうございました。
拝