はじめに
腸内細菌のことを調べて投稿していたら、寄生生物に辿り着いた。特にトキソプラズマは猫やネズミに寄生するということだけど、人間にも感染する。特にサッカーの強い国は感染者が多いとか、感染した女性はセクシーになるというのは本当か?新型コロナの感染者に寄生虫感染症の治療薬が効果があるという報道もある。インドのゴア州では、州全土で寄生虫感染症治療薬「イベルメクチン」は、新型コロナの感染を防ぐことはできないけど、重症化の緩和には役立つとして、投与する方針を固めたようだ。FDA(アメリカ食品医薬品局:Food and Drug Administration)では効果がないと反論するなどまだ議論は尽くされていないようだが、興味深い。
寄生生物の巧みな生存戦略
最近、キャスリン・マコーリフが書いた「心を操る寄生生物:感情から文化・社会まで」という力作を拝読した。寄生(Parasitism)とは、共生の一種であり、ある生物が他の生物から栄養やサービスを持続的かつ一方的に収奪することだという。例えば、猫に感染したトキソプラズマという寄生虫は、下の図のように、猫のフンとして体外に放出され、それを食べたネズミの体内で大きくなり、そして猫がそれを食べることで拡散する。
(出典:NIID)
トキソプラズマの生態系
トキソプラズマの巧みな戦略
このトキソプラズマのすごいところは、ネズミの心理を操作して、猫の分泌液を好きにさせる。まさに、ネギカモではないか!猫に捕捉してもらえるように活発に動き回りたくなるという。そして、猫は素早く動くものは無条件に捕まえたくなる。そして、まんまとトキソプラズマはネズミから猫に移動して感染を広げる。
感染率の高い国はサッカーが強い
トキソプラズマに感染するのはネズミだけではない。猫の糞から人間に感染することがある。そして、トキソプラズマに感染した人は世界人口の3分の1程度という。日本は20-30%と低いがガーナでは90%以上だ。スタンフォード大学のパトリック・ハウス博士によるとサッカー強豪国であるブラジル(感染率67%)、アルゼンチン(52%)、フランス(45%)、スペイン(44%)、ドイツ(43%)などは高い。つまり、「サッカーの強さと感染率には相関関係がある」という(出典:カラパイア)。
感染者は交通事故が多い
交通事故で死亡した人の解剖するとトキソプラズマに感染している人が多いという。トキソプラズマに感染すると注意力が散漫になるのだろうか。下のグラフは、2002年にアメリカのプラハの住民592名を対象に調査した結果だ。トキソプラズマ感染者(victims)は、一般集団(controls)に比べて交通事故を起こすリスクが2.6倍も高いという。
(出典:NCBI資料)
感染者は性的な魅力が高い
シドニー工科大学のニッキー・ボルター博士によると、「感染した女性は親しみやすく、社交的になり、またエッチな性格になり、モテる女性になる可能性が高い」という(出典:ナリナリドットコム)。
某暴言議員は間欠性爆発性障害(IED)か
シカゴ大学のエミル・コッカロ博士によると、「間欠性爆発性障害(Intermittent Explosive disoder:IED)の患者は、トキソプラズマ症の原因となるトキソプラズマ原虫の保有率が通常の2倍以上高いことが判明した」という(出典:LIVEDOOR NEWS)。このIEDの患者は衝撃的に暴言や暴力を爆発してしまう。録音された暴言が証拠となった某議員もIEDではないかという説があるほどだ。米国内では1600万人にのぼるという。
IED患者の灰白質は少ない
先のコッカロ博士によると、IED患者の脳は、下の図のように、感情を司る前頭辺縁領域の灰白質が少ない。IED患者は、単に性格が悪いと思われるが、実は病気だ。先の某議員の脳もMRIで診断してみるとIED疾患かどうかを確認できるのだろう。
(出典:不思議と謎の大冒険)
腸内細菌と気持ち
脳は第二の腸
生物的には脳よりも腸の方が古い臓器だ。最近の調査では、脳からの指令で臓器が活動しているのではなく、臓器通しがピアツーピアでネットワークを構成して連携している。いわば体内IoTだ。科学系オンラインジャーナル「Science Alert」によると、人間の腸には100~3000種類の微生物(細菌)が100兆個~1000兆個ほどいる。この「腸内細菌の状態が健康状態だけでなく、感情にも影響を与える」という(出典:TOCANA)。
腸内細菌はフェイクニュースが嫌い
オランダのヒーダ大学ジョン・スタマック教授によると、「人間の腸内細菌はフェイクニュースに対して本能的に嫌悪の反応を示す」という(出典:Wired)。瞑想やクラシック音楽は腸内細菌に良い影響を与えるが、フェイクニュースは悪い影響を与える。自殺に近い動きを取り始める腸内細菌もいたという。2017年1月に行った実験では、被験者の判断に関係なく、フェイクニュースを与えられた人の腸内細菌は例外なく活動が弱まったという。昔から「腹落ちする」とか、「腑に落ちる」とか、「腹の底から笑う」というが、人間の「腹」は驚くほど冷静かつ正確に判断している。自分の気持ちに正直に生きる。他人に嘘を言わない。そう言った倫理的な行動を腸内細菌が人間に求めているということなのだろうか。
ファシリテーションと腹落ち
ファシリテーションとは会議やプロジェクトなどの集団活動がスムーズに進むように、また成果が上がるように支援することをいう。そして、この「ファシリテーションのためには腹落ちが重要だ」という(出典:GLOBIS)。リーダがメンバーに方針を伝えるだけでは十分ではない。メンバーが自分の業務に落とし込み、自分の行動までブレイクダウンする。メンバー自身が納得するまでメンバーに考えさせる。そして、メンバーが腹落ちする状態に持っていくことがファシリテーションの目的ではないか。
まとめ
今回は、寄生生物や腸内細菌と人間の感情や気持ちの関係について考えてみた。毎日のように全国の学校を訪問して、小中高の生徒にお話をしている時期があったが、生徒の中にしっかりと話が入ったと実感できることがある。逆には、上っ面の話や、自分でも納得していない話をすると、あ〜滑ったなあ(涙)と感じることもあった。大切な事は、嘘をつかないこと。子供の目線に立って、やるべき良いことと注意すべき悪いことをバランス良く話をすること。笑いを誘うような明るい話と涙するような真剣な問題を組み合わせること。そんなことが大事だと思う。明日からも頑張ろう。
以上
最後まで読んで頂きありがとうございます。少しでも参考になる点があれば、いいね(ハートマーク)をクリックして頂けると励みになります。
拝