TED視聴:ナルシストの語源となるギリシャ神話は人間模様に溢れている。

はじめに

TED-Edの動画を色々視聴している。神話(Myth)という単語が気になって、次の動画を選んだ。

(出典:YouTube)

ナルシスト

ナルシストとは、自分の外見に過剰な関心を持ち、しばしば他人を犠牲にしてまで自分の欲求に過剰にこだわることを特徴とする自己中心的な性格の人を指す。そのような性格の様式をナルシシズム(Narzissmus)あるいは自己愛と呼び、ナルシシズムを呈する人をナルシシスト(narcissist)というが、日本ではナルシストやナルシズムが使われる。

(出典:マイナビウーマン

ギリシャ神話

このナルシストは、今回の動画のテーマであるギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソス(Narcissus)が水面に映る自らの姿に恋をしたというエピソードに由来している。なお、ナルシズムは、一次性と二次性があり、一次性のナルシズムは6ヶ月から6歳の人格形成期に見られるが、多くは成長と共に失われる。二次性のナルシシズムは思春期から成年にみられるという。

キーワードの解説

神話をモチーフにしているためもあり、今回の動画では難解な用語があるので、あらかじめ解説しておきたい。

nymphs 

山や川や森に住む美少女の姿をした精霊・ニンフのことだ。バルト三国を旅した時も妖精のような10代の少女がいた。ちなみに、木の精はdryad、地の精はgnome、水の精はnaiad、山の精はoreadとそれぞれに名前がある。これ以外にも、火の精のsalamanderや、空気の精のsylphなどの言葉があるのは興味深い。

adultery

カタカナ読みだとアダルタリーだ。大人を意味するAdultの派生語だ。婚姻して配偶者のある者が、他の者と姦通することにより成立する犯罪のことであり、辞書では姦通罪(adultery, criminal conversation)とされているが、現在の用語で言えば不倫だ。これに近い用語に姦淫(かんいん)があり、これはFornicationの訳であり、性に関わる不道徳の事である。現代の用語では情事とかエッチになるのだろうか。

duplicity

2つを示すduが含まれた言葉なのでなんとなく類推もつくかもしれないが、言動に表裏のあること,二心,二枚舌,不誠実という意味だ。英語で言えば、「dishonest talk or behaviour, especially by saying different things to two people」となる。人によって違うことを言う人は信用できない。

enrapture

うっとりさせる。恍惚とさせる。魅する。有頂天にするという意味だ。これに類する表現は英語では多い。enchant(魅了する)や、transport(夢中にさせる)、enthrall(魅する)、delight(喜ばせる)、enthral(魅する)、ravish(犯す)などがある。「enrapture the heart of~」と言えば「~の心をとりこにする」と言う意味になる(参考)。女性を口説くときにはこのような語彙の豊富さがあると強力な武器になるだろう。

8つの質問

Q1) While Zeus frolicked with other nymphs, Echo distracted Hera by

ギリシャ神話の全治全能の神ゼウスが他のニンフと戯れている間、ゼウスの妻ヘラに対してエコーは何をしたかと言えば、得意のおしゃべりを使って物語をヘラの気を引くために物語を話していた(Telling stories)。

Q2) Echo’s punishment left her:

エコがゼウスの不倫を隠すためにヘラの注意を引くように物語を話したことにヘラが気づき、その二枚舌を懲らしめるために、誰かが言った最後の言葉を繰り返すことしかできないようにした。英語では「 Only able to repeat the last words anyone said to her.」だろうか。

Q3) Narcissus rejected Echo because:

ナルキッソスはなぜエコーを拒否したのか。まともに話のできない女性が言い寄ってきたらちょっと拒否したくなる気持ちも分からないでもないけど、これは選択肢があり、「He was selfish and vain.」つまり、ナルキッソスが我儘で見栄っ張りだったが正解のようだ。

Q4) Which Goddess selected a punishment for Narcissus?

ナルキッソスに拒否されたアメイニアスは復讐の女神ネメシスに「いつか愛の苦しみを知ることができるように」と祈り、ネメシスはこの願いを叶えることを決意した。つまり、「Nemesis」だ。ネメシスは、人間が神に働く無礼に対する、神の憤りと罰の擬人化だ。ネメシスの語元は復讐ではなく、義憤だ。

Q5) Eventually, Narcissus was transformed into:

最終的にナルキッソスは何に返信するのかという設問だ。彼は水辺に咲く白と黄色の花、水仙(Narcissus)になるので、答えはflowerだ。「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」という中国の古典に由来し、水仙は水辺に育ち、仙人のように寿命が長く、清らかなという意味から名付けられたものだ。

Q6) What prophecy was made about Narcissus?

ナルキッソスが産まれた時にある占い師はある予言をした。それは、自分自身を知ることがない限りナルキッソスは長寿を全うすると言うものであった。英語だと次のような感じだろうか。

After Narcissus’ birth, he received an inexplicable prophecy after his birth, which stated that he would live a long life only if he never knew himself.

Q7) What happened to Echo after Narcissus rejected her?

ナルキッソスに憧れを抱いたエコーは、ナルキッソスに相手にされず、その結果洞窟に迷い込み、彼女の声だけが洞窟にこだました。英語だと次のような感じだろうか。

She lost in the cave, her heart grew heavy and her body frail, until all that was left of her was her voice, which the wind carried to vast, empty places. 

Q8) Who was Ameinias?

ギリシャ神話のアメイニアス(Ameinus)は、ベオト族の美しい狩人ナルキッソスと恋に落ちた青年である。そして、ナルキッソスに拒絶され、復讐の女神ネメシスに愛の苦しみを味わうように祈る。英語だとこんな感じか。

Arminius was a young man who was cruelly rejected by Narcissus. Before dying, he prayed to Nemesis, the goddess of vengeance, that he might know the pain of love.

まとめ

ギリシャ神話に出てくる神々の行動は非常に人間臭い。不倫したり、虐めたり、復習したり、自分勝手な行動をしたり。そんな反面教師としての役割が神話にはあるのだろうか。神話の世界に比べると民の世界は一般には穏やかで平和な気がする。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考:英文スクリプト

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