はじめに
わさびは日本食に欠かせない日本固有の嗜好品だと思っていたが、わさびを調べるうちにその起源はギリシャ神話にまで辿り着いた。面白い。今回は次の3点について3回にわたって連載してみたい。
・その1:わさびの効用(⇨今回の投稿)
・その2:わさびの種類と起源
・その3:わさびのリスク
わさびの効用
わさびの効用は数多い。ここでは、次の5つについて簡単に説明しておきたい。
・殺菌作用
・抗酸化作用
・血栓予防
・解毒作用
・ワサビスルフィニル作用
殺菌作用
わさびは和食には欠かせない。特に、お刺身やお寿司には必須だ。タコワサとか、かまぼこもわさび醤油で頂くと美味しい。そんなわさびをなぜ使うのかというと実用的な効果がまずある。それが殺菌作用だ。難しい言葉になるが、わさびに含まれる辛み成分「アリルイソチオシアネート(Isothiocyanate)」に殺菌作用があるという。
(出典:静岡水わさびの伝統栽培)
抗酸化作用
金属が参加すると錆になる。食べ物が酸化すると腐る。生物は、大気中の酸素を活用して生命活動を維持している。細胞伝達や免疫機能を担う活性酸素が過剰になると細胞を傷つける。この活性酸素から細胞を守るのが抗酸化機能だ。ポリフェノールは活性酸素を除去するが、本わさびは活性酸素を発生しないようにする。そもそも有害な活性酸素の発生を抑制するので効率が良い。
(出典:TEIJIN)
血栓予防
血栓とは、血管をつまらせる血小板の塊だ。わさびの辛味の原因となっているイソチオシアネートには、血小板が固まるタンパク質の働きを低下するので、血管内での血栓の予防に役立つ。がん予防にも効果があるようだ。わさびを摂取することで、血液の流れるスピードがアップして、新陳代謝が向上する。高血圧気味の人は、わさびを食生活に取り入れるのも方法だ。
(出典:Ready For)
解毒作用
わさびには、防腐・解毒効果がある。また、胃腸を温める効果や、冷えによる食欲不振、鼻づまりなどにも効果があるという。正、摂りすぎると炎症になったり、胃を痛めたりするのであくまで適量にとどめましょう。具体的には、わさびに含まれる6-MSITC(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)に、肝臓の解毒代謝酵素の活性を上昇させる作用がある。解毒代謝酵素は発がん物質などを無毒の物質に変える。わさびは、解毒代謝酵素の1つGST(グルタチン-S-トランスフェラーゼ)の活性を上昇させる作用が、野菜の中で特に強い。わさびのGST活性力は、芽キャベツの約5倍、大根の約2.5倍という。
(出典:静岡水わさびの伝統栽培)
ワサビスルフィニル作用
前述の6-MSITCは本わさびに含まれる芥子油の一種だ。部位によって含有量が異なる。葉や茎にはほとんど含まれず、根茎にのみ僅かに含まれる大変貴重な成分だ。産学連携で長年研究した「金印」によると、抗酸化作用(大阪市立大学)、解毒作用(名古屋大学・帯広畜産大学)、発がん抑制作用(首都大学東京)、抗炎症作用(鹿児島大学・お茶の水女子大学)、育毛作用(金印研究)、認知機能改善作用(東北大学)などの効果が研究で確認されているという。
(出典:金印わさび)
薬味の毒消し効果
毒消し効果を有する薬味はわさびだけではない。光りものにつける生姜にも解毒作用や冷え対策の効果がある。そうめんやそばにはネギが欠かせないが、ネギには消化を促す効果や解毒作用、冷え対策の効果がある。おにぎりやお弁当には梅干しがよくあうが、その解毒効果は有名だ。美味しく、健康な薬味を適度に活用して、夏を乗り切りたい。
(出典:ウェザーニュース)
まとめ
今回はわさびシリーズのその1として、わさびの効用についてまとめてみた。わさびの効用はここに書いた以外にも、ニキビ・吹き出物の抑止機能や、口臭予防の効果、覚醒効果なども指摘されている。わさびは、そもそも薬草として長らく日本人に愛用されていたものだが、この辺りは、明日に投稿を予定している「その2」で詳しく述べたい。
以上
最後まで読んでいただきありがとうございます。
拝