はじめに
時間ができたので本棚からしばらく読んでいなかった図書を読んでみようと思って手にしたのが、究極の身体という文庫本だった。著者は高岡英夫さんだ。
高岡英夫
著者は、研究者であり、経営者であり、武術家である。まさに文武両道だ。1948年に生まれ、東京大学卒業後、大学院に進み運動科学の研究を進む。現在は、NPO法人日本ゆる協会の理事長を務めるとともに、株式会社運動科学総合研究所の所長でもある。テーマはゆる体操だ。すでに73歳ほどのはずだけど、若い。
(出典:講談社)
ゆる体操
高岡英夫さんが提唱するのが「ゆる体操」だ。人の身体は骨格と筋肉がある。そして、それぞれに役割がある。しかし、現代人では不自然な姿勢を長時間維持することで筋肉が骨格化しているという。本来、身体を支えるのは骨格の役割だ。無駄な力を抜いて自然なポーズで立てば最小50kgぐらいの力で立てるけど、姿勢が悪いと無駄な力が入り、トータルで60kgや70kgの力が必要となる。例えば膝と足首の間には、太い脛骨(けいこつ)と細い腓骨(ひこつ)がある。腓骨は脛骨の4分の1から5分の1の太さしかない。本来は太い脛骨で身体を支えるべきなのに、姿勢が悪いと細い腓骨とその周りに筋肉を総動員して身体を支えることになる。パフォーマンスが低下する理由はここにあると指摘する。
(出典:運動科学総合研究所)
トカゲの動き
人類は陸に揚がった動物だけど、陸に上がる前には爬虫類の時代や魚類の時代があった。そして、脊椎動物の進化は魚類で始まった。この魚類の脊椎の動きにこそ高いパフォーマンスを発揮する秘訣があるという。ちなみに、魚類は元々は硬い骨がなく、軟骨だけでできていた。しかし、硬い骨をもつ魚類が出現し、軟骨だけの魚類を駆逐したという歴史がある。例外的に生き残った軟骨だけの魚類がサメであり、エイだ。中華料理のフカヒレのスープは美味しいけど、これはフカ(鮫)のヒレが軟骨でできているからだ。
(出典:utlimatebody)
ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト
ヒトの身体には内なる魚がいると提唱するのは、米国の進化生物学者であり、シカゴ大学の教授であるニール・シュービン(1960年12月22日生)だ。水生動物から陸生動物への移行する時期の「ティクターリク」の発見者でもある。古生物学者は、鮫や魚や爬虫類の構造を研究するが、これらの素材は人体の構造をより単純化したものなので、医学部で人体解剖を教えるのに有利だという。ヒトが進化した過程を遡ることで生物としてのヒトのメカニズムを深く理解することができるという。
(出典:早川書店)
ゴルフへの応用
ウサインボルトもマイケルジョーダンもタイガーウッズも超一流のスポーツ選手は魚類のように背骨を上手に使っている。ゴルフも軸を意識しろという指導がある一方で、背骨は右に左にダイナミックに曲がるけど、結果的に軸は安定する。背骨をまっすぐにする意識があると、結果は左右にスウェイする。スポーツの難しさは、どこに意識を持つかだ。この辺りは、この図書を含めて、関連図書を東大の図書館で取り寄せしたので、週末にまた通読してみたい。
(出典:アマゾン)
まとめ
東京大学大学院の科目履修生として脳型情報処理機械論を履修した。その中で意識の問題をかなり掘り下げた。何を意識するかが大事だ。今回の図書にも「言葉が身体を縛る」という記述がある。言葉が意識を定義し、その意識が身体を縛る。この著書には甲腕一致と表現もある。詳しくは割愛するが、大事なことは骨格の動きを理解して、正しい動きをさせることだ。ねじるべき時に伸びていると、その反作用が予期せぬミスを誘発することになる。まだまだ修行が必要だ。
以上
最後まで読んで頂きありがとうございます。
拝