バイオミメティクスとは自然の生物は進化の中で生まれた叡智に学ぶ工学的アプローチだ。

はじめに

バイオで始まる言葉は色々ある。バイオハザード(BIOHAZARD)といえば、カプコンが開発したテレビゲームだ。バイオテクノロジー、バイオミメティクス、バイオニクス、バイオメトリックスとバイオが頭につくカタカナ用語は世の中に氾濫しているが、その意味を少し整理してみたい。その上で、バイオメティクスの実用例をレビューしたい。調べるほどに自然の叡智に畏敬の念を感じるばかりだ。

バイオで始まる用語例

バイオテクノロジー

バイオテクノロジーは、生物学を意味するバイオロジーと技術を意味するテクノロジーの合成語で、生物の持っている働きを人々の暮らしに役立てる技術である。専門用語というよりは一般用語と言える。最近はバイオといえば、遺伝子が連想される。遺伝子を人工的に操作する技術を遺伝子工学(genetic engineering)という。生物の自然な生育過程では起こらない人為的な型式で行うような、遺伝子導入や遺伝子組換えなどの技術で生物に遺伝子操作を行う事を指す。コロナ禍では、mRNAワクチンを接種することが有効とされ、多くの人がこれを接種した。mRNAとは、ウィルスの外側のタンパク質の設計図であり、これを摂取するとその設計図をもとにウィルスの外側のタンパクを自分の体内で作成し、それを身体が異物と認識することで免疫反応が働くという仕組みだ。でも、本当にそんなに設計通りにうまくいくのか。仮に深刻な副反応が1万人に一人でも、一億人が摂取すると1万人が被害者となりうる。より慎重な研究が必要だ。mRNAはDNAの情報をコピーしたものだけであり、mRNAからDNAは作られないことになっている。しかし、本当に逆がないと言い切れるのかといえば100%の保証はできないだろう。99.99%保証できる場合でも1万人に一人は犠牲者だ。一億人に一人以下の精度で保証できるとは思えない。大事なことは、ワクチンの接種による死亡者数が新型コロナによる死亡者数よりもどれだけ少なく抑えられるかだと思う。しかし、現状では、前者は申告ベースであり、全数ではないため実体より少ない。また、後者は事故死でも陽性ならコロナによる死者とするため過剰だ。どちらも正しい数字をカウントできないという構造的な問題があるため、効果を検証できないのが残念だ。
(出典:中外製薬

バイオニクス

バイオニクスとは,自然界に存在する生物学的手法やシステムを,工学システムや現代技術の研究・設計に応用する生体工学(Bionics)だ。バイオニックという言葉は、1958年8月に米国の医師ジャック・E・スティール(Jack E. Steele: 1924年1月から2009年1月)が作った生物学(Biology)と電子工学(Electronics)の合成語である。概念的には後述するバイオミティクスと同じ概念のように理解する。

バイオミメティクス

バイオミメティクス(biomimetics)は、生命(Bio)とパントマイム(mime)と模倣(mimic)を組み合わせた造語である。生物の構造や機能、生産プロセスを観察、分析し、そこから着想を得て新しい技術の開発や物造りに活かす科学技術の意味とされる。この考え方は1950年代後半に神経生理学者のオットー・シュミット博士によって提唱された。シュミット博士は、シュミット・トリガーという、ノイズ除去用電気回路を発明しました。これは、イカの神経をつかった神経系の研究によって生み出された成果の一つだ。日本語表記では生物模倣技術、生物模倣と呼ばれることもある。

バイオミミクリー

サイエンスライターのジャニン・ベニヤス(Janine M. Benyus、1958年生)はバイオミメティクスの考え方を拡張し、環境問題の解決と生態系の保全を加えたより大きな概念としてバイオミミクリー(biomimicry)を提唱している。1997年に『自然と生体に学ぶバイオミミクリー』で提唱し、2009年にはTEDでも素晴らしい発表をしている。ベニヤスは、「人間は自然の天才的なデザインを意識的に模倣するべき」だという基本的なテーゼを展開している。1998年には、デイナ・ボマイスター博士と共同でバイオミミックリー・ギルドを設立し、イノベーション・コンサルタント会社を設立した。この会社は、イノベーターが自然のモデルから学び、それを模倣することで、生命に適した環境を作り出す持続可能な製品、プロセス、政策をデザインすることを支援している。また、生物学から持続可能な人間のシステムデザインへのアイデア、デザイン、戦略の移転を促進することにより、バイオミミックリーを文化の中で自然化することを目的とした非営利団体バイオミミックリー・インスティテュートの代表も務めています。2006年には、ベニヤスは非営利団体を共同で設立し、2008年にはAskNature.orgを立ち上げました。2010年には、非営利団体と営利団体を統合し、Biomimicry 3.8を立ち上げている。

(出典:TED)

バイオメトリックス

バイオメトリックス(Biometric)とは、人間の人間の身体的特徴や行動的特徴情報を用いて個人認証を行う技術やプロセスである。例えば、身体的特徴としては、顔、虹彩、指紋、掌紋、手のひら静脈、指静脈、指関節、耳介などがある。行動的特徴としては、音声、署名、歩容などがある。指紋認証や顔認証はスマホの認証方式としても実用化されている。

(出典:バイオメトリクス

バイオミメティクスの実用例

マジックテープ

生体は、自然淘汰のなかで地質的に長い時間をかけてうまく適合するようにその構造や物質を進化させてきた。バイオミメティクスは巨大なものから、ナノ単位のものまでの生体的な解決法によってひらめきを得る新しい技術を生み出してきた。人間は我々が存在している間の問題の答えとして、自然をずっと研究してきた。自己回復能力、環境暴露、疎水性、自己集合、太陽光の利用などは自然によってヒントを得た工学的問題の例である。


(出典:バイオメティクス

ハス効果

生物と製造物の間で技術が移転するのは望ましいことだという。なぜならば、進化の圧力によって、生物(動植物)は通常、最適化された効率的なものにならざるを得ないからである。例えば、汚れや水をはじく塗料(コーティング)は、ハスの花の表面にはほとんど何もつかないという観察結果(ハス効果)から発展したものである[要出典]。自然界では、生体高分子(酵素や核酸など)が関与しており、その化学反応をはるかに小さな分子を用いて試験管内で再現することができる反応など、化学反応を指す場合には「バイオミメティック」という言葉が好まれる[要出典]。


(出典:ハス効果

ファーストスキン

サメの皮膚を模倣することで水の抵抗を低減できるのではないかというコンセプトで開発が進められたのが、SPEEDOだ。2000年のシドニー五輪では、小型化からスイムスーツに方向転換された。選手の負担にならず、かつ体の凹凸を抑え、水中での姿勢をサポートするものがスイムスーツだ。2004年のアテネ五輪では北島康介が「ファーストスキンFS2」を用いて平泳ぎ2冠を達成した。Speedoの表面には撥水プリントを部分加工する。選手が泳ぐ際には親水部分と撥水部分の組み合わせでスムーズな縦渦が発生する。水となじみ、かつ水を抵抗なく流す。「マーリンコンプ」と名づけられた新素材は従来比で8%の抵抗削減に成功した。

(出典:Speedo)

マイクロニードル

関西大学システム理工学部の教授である青柳誠司は、蚊を模倣して痛みの少ない注射針「マイクロニードル」を開発した。実際に製造したのは米山金型製作所だ。マイクロニードルは美容や医療、半導体などに使用される直径1㎜以下の針の集合体だ。米山金型では直径0.5㎜以下の微細マイクロニードルの製造が可能だ。例えば、薬剤を体内に送り届ける方法では注射があるが、注射針が苦手な人も多い。幼児は泣き出すので大変だ。世界保健機関(WHO)によれば、針の不適切な取り扱いのために毎年約130万人がなくなっているという。注射に代わる手段として、細かい針が植えられたマイクロニードルパッチを皮膚に貼り付けて、薬剤を体内に送り込む方法も開発されている。マイクロニードルパッチの多くは針と基盤が同じ素材で作られており、張りやすい基盤にすると針が皮膚に刺さりにくくなる。逆に、刺さりやすい丈夫な針にすると、パッチを皮膚に貼った時に違和感があるなど、耐久性と使い勝手のバランスに問題があるが、今後さらなる改善に期待が高まる。

(出典(左):米山金型製作所、出典(右):Telescope)

まとめ

バース大学機械工学科でバイオミメティクスを研究しているジュリアン・ヴィンセント教授によると、現在、生物学とテクノロジーの間には、使用されているメカニズムの点で12%しか重複していないという。フナクイムシをヒントにしたシールド工法や、蓮の葉をヒントにした超撥水加工、鳥のくちばしをヒントにした新幹線のロングノーズなどが有名だ。生物は、長い年月をかけて進化している。そこには人間の想像を超えた叡智が潜んでいる。先述のジャニン・ベニヤスは2008年にasknature.orgを設立し、そのホームページには数多くの事例を掲載している。これらを一つ一つ研究していくだけでも、数多くの画期的な改善につながるヒントが満載だ。まさに謙虚な気持ちで自然に学ぶべきかもしれない。
(出典:
asknature.org)

 

以上

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