戦争はなぜ起こるのか。国防費の推移から世界の覇権国の流れを見たら5つの覇権国に日本が含まれていてびっくり。

はじめに

世界の軍事費の推移」という動画がある。1900年から2018年までのトップ15カ国の軍事費のランキングを動画で再生可能となっている。興味のある方はまずはこの動画を視聴されることをお勧めします。

戦争の歴史に関する学術研究

先の動画の出典元を調べると「Correlates of War Project」だった。戦争の原因に関する研究を行うために1963年にミシンガン大学で始まったデータ収集プロジェクトだった。動画は1900年以降だったけど、このプロジェクトでは1816以降のデータを収集している。素晴らしい。サイトは英語のみだけど、英語の勉強をかねてアクセスしてみたい。

(出典:Correlates of War Project

1900年4月時点での世界の軍事費で日本は8位

動画が始まる1900年での世界のトップはダントツでイギリスだった。ついでロシア、フランス、ドイツ、アメリカと続く。1900年といえば、明治33年だ。その前の明治32年は東京と大阪の間での長距離電話が開通した。当然、当時はオペレータにより手動交換だ。1900年といえば、伊藤博文による満韓交換論(まんかんこうかんろん)が提唱されている。これは、朝鮮半島での日本の権利を認めてもらう代わりに、満州でのロシア帝国の権利を認めるという考え方だ。
(出典:YouTube)

日本が軍事費で世界トップに

驚くべきことに、1904年2月にはロシアを抜き、日本が軍事費で世界トップに駆け上がっている。1984年(明治27年)の日清戦争に勝利し、当時の清国から台湾、澎湖諸島、遼東半島を譲り受ける。また、巨額の賠償金も獲得したことから1904年の日露戦争に突き進む。日本が軍事大国だったからロシアに勝利したのか、ロシアに勝利したから軍事大国となったのかはわからない。

(出典:YouTube)

覇権国がイギリスからアメリカへ

1915年10月時点ではイギリスがトップで、ドイツが2位、ロシアが3位、フランスが4位とほぼ欧州勢が占めていた。しかし、その約4年後の1919年2月にはアメリカがダントツの1位となり、2位にロシア、3位にイギリス、4位にフランス、そして5位に日本が浮上している。いったい、この4年間に何があったのか。ヨーロッパからの大量の移民(1840年から1920年までに3700万人)があり、 安い労働力をテコに世界でも有数の工業国に一気に成長した。同時にハワイの併合(1898年)や、キューバの内政干渉(1901年)、ニカラグア占領(1912年)、ハイチ占領(1915年)、ドミニカ共和国占領(1916年)などの領土拡張を図るとともに、第一次対戦にも参入し、ヴァージン諸島購入(1917年)やロシア北西部の都市アルハンゲリスク占領(1918年)などを行った。

(出典:YouTube)

ロシア最強の時代

軍事費ベースでの最強国アメリカの時代は1920年10月に収斂し、トップの躍り出たのはロシアだった。ロシアは1937年2月までの約17年間トップの座を維持した。ロシア(第一)革命が収斂したのが1907年6月だった。ウラジーミル・レーニンが率いたのが1917年から1924年、ヨシフ・スターリンが率いたのが1924年から1953年なので、レーニンの時代は当時のソ連が軍事大国を誇った春の時代と言える。ソビエトという労働者の組織で職場から最高議決単位までを組織した。ソビエト連邦共産党がソビエトを支配する一党独裁の国だった。まさに、現在の中華人民共和国を支配する中国共産党を彷彿とさせる。このロシア一強体制を崩したのがナチス率いるドイツだった。

(出典:YouTube)

アメリカとロシアの攻防の後アメリカ覇権

1943年はアメリカ、1948年はロシア、1952年はアメリカ、1976年はロシアと軍事費トップの国が入れ替わるが、1988年9月にアメリカにトップに立って以来、現在までアメリカが世界の警察として、トップを維持している。1981年から2017年までの主要国の研究開発費総額の推移を示す。名目額ベースでは、トップが米国(2017年で約55.6兆円)、2位が中国(2017年で50.8兆円)と米国に肉薄している。日本は19.1兆円である。同様に、ドイツが13.5兆円、韓国は9.3兆円である。伸び率では、韓国の12.9%増が最高となっており、注意が必要である。フランスは6.6兆円、英国は5.1兆円であり、ほぼ横ばいだ。

(出典:科学技術・学術政策研究所)

急増する中国の公表国防費

2018年1月には、米国の国防費6,488億ドルに対して中国の国防費は2,500億ドルだった。2019年度の中国の国防予算は、すでに約1兆1,899億元だ。これは、2018年度と比較すると約7.5%の増となる。中国の公表国防費は、1989年度から2019年度で約48倍に増加し、2009年度2019年度の10年間で約2.5倍に増加している。習近平政権は2027年を軍創設100年として、対アメリカ戦力強化に位置付け、戦闘能力を高めることを決定してい(出典)。中国は、香港への支配を強化している。同様に、台湾、ミャンマーそして尖閣への圧力強化も懸念される。中国の生産年齢事項は2015年の10億2200万人をピークに減少に転じている。GDPの伸び率が期待できない中でも2027年にはアメリカを抜いて世界トップの国防費国となるのだろうか。

(出典:防衛白書令和元年版)

まとめ

国防費の増大の目的は何か。これまでの歴史を見る限り、それは領土の拡大だ。そして、領土を拡大することでさらに国防費を増大している。これまでロシアやアメリカがたどってきた道を中国がまさに今進もうとしている。戦争のない世界にするには、どうするのか。領土拡大に対して、断固として拒絶することができれば、国防費を増やしても意味はないし、増やすインセンティブがなくなる。これから世界が温暖化に向かう中、人類は快適に住めるところに向かって大移動が始まるのではないだろうか。そのような時に、領土問題として国と国が衝突することは最悪だ。平和的な方法を人々が住居を移動するにはどうすれば良いのだろう。特に現在は寒冷地として住居に適さないとされる北方領土やロシアのシベリア地方、カナダ、グリーンランドなどが人口の受け皿になるのだろうか。このあたりは引き続き研究してみたい。7月18日の投稿で軍事問題を7つの重点課題の一つにあげてしまったので、今回は軍事問題にトライした。門外漢なため、トンチンカンな部分があるかもしれないが、ご容赦願いたいし、指摘いただければ対応します。

以上

最後まで拝読いただきありがとうございます。

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