はじめに
日本人はなぜか、安全と安心をセットで用いることが多い。Google Trendで検索すると、安全の検索件数は安心の検索件数の五倍程度と多い。英語では安全をSafetyとSecurityに分けて論じていて、安心を敢えて言えばPeace of Mindとなる。
安心安全
安全と安心は似ているけど違う言葉だ。安全とは、物理的な概念であり、安心とは精神的な概念だと思う。安全かどうかは明確な基準があり、数値で検証でき、客観的なものだ。しかし、安心かどうかは主観的な考えであるのでそれぞれが判断するものだ。
(出典:MOTTO!食品衛生)
安全
安全に関しては国際標準(ISO/IECガイド51」において明確な記載がある。つまり、安全とは、受け入れ不可能なリスクから解放されていることとある。英語では、「Freedom from anacceptable risk」だ。もっと簡単に言えば、危険がないことだ。安全とは特定のハザードをコントロールして、リスクを一定の許容レベルいかに抑えることで、人を守ることもあれば、あらゆるものを守ることもある。
(出典:ISO/IECガイド51)
安心
安全は客観的なものと前述したが、安心は主観的なものだ。新型コロナが治まり、もう安全だと安心する人もいれば、まだまだ安全ではないと不安に感じる人もいる。感染者が1万人を割ったから大丈夫と安心する国があれば、感染者が100人を割っても安心と考えない国もある。安心かどうかは人による。安心とは、気掛かりなことがなく、心が落ち着き安んじることだ。本来の読み方は「あんじん」だったが、江戸時代から「あんしん」と読むようになったという。仏教では、達磨が初めて安心という言葉を用いたとされ、心の安らぎを得て主体性を確立することという意味で用いる。安心の語源は、「安心立命」であり、これは儒教において天命を知り、心を平安に保つことまたは、その身を天命に任せいつも落ち着いていることだ。
安心安全を英語でなんというか?
SafetyとSecurity
英語では、SaftyとSecurityという用語を使うが、この2つは異なる概念だ。Saftyは、事故や事件、それによる損害、健康への影響などのリスクを減らすことなので、安全に近い概念と言える。一方のSecurityは、外部の脅威から個人を守る高い壁のような存在である。
(出典:safety assessment)
Peace of Mind
Saftyは守られている状態であり、Securityは守る手段と言える。外部の脅威から守られている高いSecurityと、これによるリスクの少ない状況であるSafetyが維持されていると安心(Peace of Mind)となる。
(出典:アマゾン)
FreedomとLiberty
SafetyとSecurityの違いを考えるときに、FreedomとLibertyの違いに似ていると感じる。つまり、「freedom」は自由な状況であることを示す。一方、「liberty」は、さまざまな困難を乗り越えて獲得した自由という意味がある。つまり、SafetyやFreedomは状況であり、受動的なものだけど、SecurityやLibertyは能動的で獲得する手段や状況をいう。
(出典:英語の違い)
まとめ
Safetyはリスクが少なく安全な状態。Securityは外部からの危害を排除する手段。そして、外部からの脅威は隔離され、有意なリスクがないのが、Safety and Securityの状態で、精神的に穏やかな状況(=Pease of Mind)が安心となるのだろうか。
以上
最後まで読んで頂きありがとうございました。
拝