はじめに
昨年度より職長・安全衛生責任者研修の講師に対応している。14時間の研修カリキュラムなので2日間の研修となる。今回は、その初日の対応だ。2日目は6月の予定だ。昨年度の職長研修講師から半年以上時間が経過していたので、最初はリズムが悪かったけど、ZOOMのブレイクアウトルームなどを活用しながら受講生との双方向でのやりとりを通じて徐々にリズムが良くなってきたように思う。今回は50人ほどの受講生で、成果と感じることと、今後の検討課題についてまとめておきたい。
成果と感じること
天候との戦い
「無理・無駄・ムラ」の事例とそれへの解決策というテーマでブレイクアウトルームで受講生に議論してもらった時に、いくつかのグループから指摘されたのが天候との関係だった。天気予報に注意していても、天気予報が外れることもある。冬場の工事で豪雪で工事が順延となったような事例だった。これからの季節だと豪雨による工事の遅れ心配なところだ。これに対する解決策はなんだろう。天候に左右されるような工程を優先的に対応する方法や、天気予報の精度を高める方法、KIYOMASAなどのリアルタイムでの局地気象情報を活用する方法などが考えられる。2015年7月4日の朝日新聞夕刊位は、「強度が下がるので雨はコンクリート作業の大敵。ピンポイントの天気予報は頼りになります」とKIYOMASAが取り上げられている。
(出典:建設気象PRO)
若い職人とベテランの職人
「人材の最適配置に悩むこととそれへの解決策」をテーマに受講生にブレイクアウトルームでディスカッションしてもらった。色々なケースが指摘されたが、特に多かったのは経験の少ない若手の職人に仕事を任せきれない。しかし、経験豊かなベテラン職人も高齢化していて仕事を任せられない。職人の仕事はさまざまだけど、特に高所作業の仕事や足場での作業など危険と背中合わせの作業で悩むことが多いようだ。簡単には答えは出ないけど、ベテランに若手の指導や育成の役割を担ってもらって、若手の成長を図ることは一つの方法だろう。また、職人の個人の技能に依存した仕事の進め方を見直して、ICT技術を活用したシステム的な方法に業務を再構築することも有効だろう。作業手順を作成するのは大変だけど、それを十分に活用して若手が頑張ってくれれば良いけど、読んでも分からない、イメージできないようなケースもあるだろう。若い人は、動画撮影や編集をスマホなどで簡単に実施できる。なので、職人的なノウハウや勘所はベテランの職人がチェックしつつも、作業手順などを動画で編集することで、その作成や制作を通じて若手の育成を図るとともに、さらにその先の若手研修にも役立てるという方法があるかもしれない。建設現場での動画手順書の制作を請け負う業務は需要がありそうだし、何より高齢化対策に貢献できるかもしれない。
(出典:千ブログ)
外国人労働者の活用方法
「適材適所」をテーマにした議論の中で、外国人労働者の話を上げるグループもあった。複数のメンバーで連携しながら対応する作業や高度な作業を任せるには時間がかかるし、本人の能力やスキルにも依存する。提案のあった解決策は、一人で完結するような業務を任せるという方法だ。任せる業務は現場によって異なるだろうけど、この仕事なら日本人にも負けないというような自信を持たせることができれば、やる気も高まるだろうし、もっと仕事の幅を広げたいと思うかもしれない。クライアントとの信頼関係が形成できれば、新たな注文も得られるかもしれない。良い方法だと思った。
(出典:WAT REPORT)
ZOOMでの資料の共有(タブレット利用時)
職長・安全衛生責任者研修はZOOMで対応している。パワーポイントで作成した資料をベースに説明し、ブレイクアウトルームでグループディスカッションなどを行う。その中でエクセルで作成したテンプレートを完成させるという演習を実施したところ、多くの受講生は問題なくチャットに貼り付けた資料をダウンロードして編集できたけど、1割程度の受講生からダウンロードできない。アクセスできないという声があった。おかしいと思って個別にヒアリングすると、利用デバイスがPCではなく、iPad等のタブレットだった。どうもタブレットのZOOMではチャットではファイルを共有することできないようだ。iPadやスマホでもコントロールセンター内の「コントロールをカスタマイズ」から「画面収録」機能を使うことで画面の共有はできるようだけど、エクセルファイルの共有は難しいようだ。タブレットを使う受講生に対しては事前にセミナーで使うファイルを送付しておくことが必要のようだ。
(出典:Stores Magazine)
今後の検討課題
前述の成果は課題が明確になったものや解決の方向性や解決策が見えているものだけど、まだ解決方法が見えていない課題も次の通りいくつくかある。
DVD視聴の活用
YouTubeの動画は、パワポに動画の挿入として、ZOOMでその動画を再生すれば問題なくセミナーで利用できる。しかし、DVDの動画をDVDプレーヤで再生して、ZOOMに流そうとすると、画面がグレーになったり、音声が出なかったりする。この解決策は「VLC media player」だ(参考)。実際、DVDの動画ファイルをVLCを介して再生すると、ZOOMでもシェアできる。これで問題解決かと思ったけど、VLCのファイルを一定期間再生していると、なぜか元のDVDの再生が開始する。DVDはZOOMでは画面がグレーになるので、結局使えない。これは困った。次の一手をまた検討することが必要となった。
(出典:LOHAS studio)
双方向ツールの活用
受講生の多くは事務所に出社して、事務所のPCからアクセスしている。なので、座学的なセミナーを単純に視聴するのであれば問題はない。でも、それは片方向でのセミアートなり、講師の自分としては面白くない。このため、ブレイクアウトルームやチャットや反応などの利用を説明し、活用している。しかし、人数が多くなると、なかなか全てのブレイクアウトルームを覗きにいくことも出来ない。リーダシップの話をした後で、自分はどのタイプだと思いますかと質問すると、8割以上がコーチ型だと自己評価されていた。そんな受講生にとって理想の上司のリーダシップタイプを聞くと委任型だった。自分自身は、委任されて自由に活動し、部下に対しては必要なフォローをしながらも必要な指示を下す。そんな職長イメージを持っている人が多いことが分かったのが新鮮だった。アンケート機能とか、もっと双方向でのやり取りができるように工夫したい。
簡易アンケート機能の活用
アンケートは、個人的にはQuestantのサービスを使っている。受講後のアンケートを取ることも簡単だ。でも、ZOOMのアンケートの機能を使ったら持って簡単に参加者に回答をしてもらい、その結果を全員で共有することができる。ちょっと怖くてできないけど、たとえば章などの区切りが終わるたびに、理解度のチェックをするとか、講師の説明の適切度を評価するとか、関心度の高さを確認することも可能だ。ZOOMのアンケートのメリットは、事前にアンケートを用意できること、操作が簡単なこと、リアルタイムに集計結果を共有できることだ。問題は、PROアカウント以上のホストで、かつ最初のホスト(主催者)のみが使える機能である。当初は、自分のアカウントでZOOMを設定していたが、最近は事務方がZOOMを設定するため、もし簡易アカウントを利用するならそれも事務方に依頼する必要がある。こういう問題は簡単そうでなかなか解決が難しいので、悩ましい。
(出典:コンサル進化論)
まとめ
今回は、本日の職長・安全衛生責任者のセミナーを実施する中で感じた成果や課題をまとめてみた。前回よりも今回、今回よりも次回が少しでも良くなるように改善したいし、そのような改善を繰り返すことでセミナーのレベルも受講生の満足度も高まると信じている。
以上
最後まで読んで頂きありがとうございました。
拝