TED視聴:深層海流は海流の9割を占める。日本海には大和堆があり、神秘とリスクを感じる。

はじめに

先に波力発電について投稿した。海は優しくも強く厳しい聖なる母である。海洋のことをもっと知りたいと思って、目に止まったのが、海流(Ocean Currents)についての動画だった。地球の海流のうち表層の海流は1割ほどで残り9割は深層海流だということを初めて知った。興味のある方は下の動画にトライして欲しい。

(出典:YouTube

日本の沿岸の海流

日本は、世界でも珍しく暖流と寒流が交差するスポットだ。例えば、若狭湾に面した京都の伊根の海は、対馬海流(暖流)とリマン海流(寒流)が交差するスポットで、古くからブリの漁場だ。また、青森県の八戸市から岩手県陸前高田市までの総延長600kmあまりの三陸海岸に面した三陸の海は、世界3大漁業の一つだ。巨大な防波堤の影響が心配されるところだが、三陸の森のミネラルが海に流れ込み、世界有数の植物プランクトンの発生地となっていた。津軽海峡では、日本海からの津島暖流が太平洋に通り抜ける津軽暖流と北太平洋からの親潮(寒流)が交差するスポットで青魚が豊富であり、これに釣られてマグロを一本釣りする大間は有名だ。このように考えると、日本の沿岸での漁獲高は年々減少傾向にはあるが、暖流と寒流がさまざまなところで交差し、世界でもまれにみる豊富な漁場だと言える。


(出典:Slow Surf Style

世界の海流

世界の海流とは、プラスチックゴミに絡んで以前も投稿した通り、世界規模で起きる海水の流れだ。月の引力で発生する潮汐(ちょうせき)流は時間とともに流れが変わるが、海流はほぼ一定方向に安定して流れる。海流には寒流(青字の矢印)と暖流(赤字の矢印)がある。この暖流は下の図のように世界には5つある。この巨大な海流はジャイア(Gyre)と呼ばれ、プラスチックゴミはこの海流の渦の中心に集まる。
(出典:世界の海流

世界の海の98%は深海

地球の表面の約7割は海だ。アマゾン創業者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏は2021年7月に宇宙を旅行し、地球の儚さを感じたという。その5ヶ月後の12月にはZOZOの創業者前澤友作が宇宙に12日間滞在した。宇宙から見る地球は神秘的なブルーの惑星だっただろう。地球を覆う海面は球体だけど、海底は、地上以上に起伏がある。例えば、世界で一番深い海はマリアナ海溝で深度は約11,000mだ。世界一高い山であるエベレストの8,849mの1.24倍だ。地球全体の海の深さの平均約3,800mなので、3,776mの富士山のレベルだ。海面から200mまでの海底を表層と呼ぶがこれは、全海洋のわずか2%に過ぎない。海底は3,000mから6,000mの深さの深海層が全海洋の70%を占めている。なので、宇宙から見ると神秘のブルーに見えるのだろう。

(出典:HADEEP

世界の深層海流

海岸で感じるのは表層での海流だが、深海底を移動する海流がある。この深層海流(deep-water currents)は下の図のように世界中の海を循環する海洋コンベアと呼ばれる。この地球規模の循環を生み出すパワーは、大西洋と太平洋の塩分濃度の差と海中温度の差である。約500万年前に、南米とカリブ海の各プレートが収束し始め、中米海峡が徐々に浅くなると、太平洋と大西洋各海域の塩分濃度が異なるようになった。大西洋とカリブ海の熱帯域では、蒸発によって海水が塩分濃度を増し、新鮮な水蒸気が大気中に放出される。この水蒸気は、貿易風によって低地のパナマ地峡を東から西に運ばれ、降雨によって太平洋に降り注く。太平洋は比較的塩分濃度が低く、逆に大西洋は塩分濃度が高くなった。北大西洋北部のグリーンランド沖と南極海で冷やされた海水が沈みこみ、冷たく重い深層水になります。深海底を移動した深層水は、インド洋北部と北太平洋でわき上がり、海流の一部となって出発点に約2000年かけて戻る。海水の移動時には海水中の栄養分も運ばれて海洋の生物を育てている(出典)。

(出典:HADEEP

日本海の海底地形

氷河期には海退が進む。海面が今より100mも低い時代には、日本海は内海だった。確かに下の図を見ると、日本海盆と呼ばれるエリアを中心に深い海となっている。一方、日本海盆と大和海盆の間に水深の浅い部分を確認できる。これが北大和堆(たい)と大和堆だ。この大和堆が発見したのは東京水産大学(現在の東京海洋大学)の木製汽船の天鴎丸(てんおうまる)で、1924年(大正13年)のことだ。日本は1977年(昭和52年)に『漁業水域に関する暫定措置法』施行し、独自の漁業専管水域を設定して国内外に宣言したことにより、大和堆は日本が管理下に置く漁業水域となった。経済水域や漁業水域など管理水域についての多国間条約の統合は1982年に国際連合で採択された『海洋法に関する国際連合条約』に基づく。いわゆる大陸棚の概念と明確に統合された「排他的経済水域(EEZ:exclusive economic zone)という国際的共通概念が成立し日本は2年後の1996年(平成8年)にこの条約を批准した。大和堆は日本の排他的経済水域に属すことになった一方で、北大和堆は属していないというのは理解できない点だ。北朝鮮や中国の漁船を装った船舶がこの海域を違法操業しており、引き続き注意を払う必要がある。例えば、対馬海盆に関しても、韓国語版のWikiでは韓国と日本がそれぞれ主張する海域というスタンスを明確に示していて看過すべきではない。

概要 「鬱陵」という名称は大韓民国の鬱陵島で借用したもので、この名称を通じて鬱陵盆地の位置を容易に把握することができる。 この海域は大韓民国と日本がそれぞれ主張する排他的経済水域が一部重なっている。1978年、日本が国際水路機構に対馬盆地(日本語:対馬海盆、英語:Tsushima Basin)という名称で登載した。しかし、これは正式公認手続きを経ていないことが確認された。 大韓民国では、2002年に発足した海洋水産部(現国土海洋部)傘下の海洋指名委員会が2005年11月、鬱陵盆地という名称を付けた。 制定海洋地名:鬱陵盆地 代表位置(WGS-84):37-00N 130-50E 範囲:鬱陵島南側に形成された水深約2000mの海底盆地として、南北の長さが約100km、東西間の長さが約150kmで、西段は36-52N、130-00E、南端は36-27N、131-00E、東端は37-00N、131-50E、北端は37-22N、130-54E(個位)地点だ(出典:Wikiからの和訳)。


(出典:海の相談室

7つの質問

TED-Edの動画を視聴すると、理解度確認のために7つの質問が用意されていた。参考に記載しておきたい。

Q1) What drives the ocean currents?

海流は動かすものは何かという設問だ。風(Wind)と潮流(Tidal currents)と水の密度変化(Changes in the density of water)と地球の時点(Earth’s rotation)が書かれているが、正解は最後の以上全てだ。

Q2) What are the main types of ocean currents?

海流には2種類ある。一つが表層海流(Surface currents)であり、もう一つが深層海流(Deep ocean currents)だ。

Q3) Deep ocean currents mobilize only 10% of the water on Earth.

深層海流は地球上の水の10%しか動員していないかという設問だが、深層海流が全体の9割なので誤りだ。

(Q4) Water at a depth of ____ is still affected by surface winds.

表層風の影響を受けるのは推進何メートルかという設問なので、400mが正解だ。

(Q5) How fast is the conveyor belt on Earth moving?

地球上のベルトコンベアーは、どのくらいの速さで動いているかという設問だ。秒速数センチメートル(Centimetres per second)が正解なので、仮に1秒で4cmとすると時速では144メートルだ。ガラパゴスゾウガメが時速270メートルほどで、ノドジロミユビナマケモノが時速100~140メートルなので、ナマケモノと競争する程度の速度だ。

Q6) What would happen to ocean currents if the Earth did not rotate?

地球が自転していなかったら、海流はどうなるかと言う設問だ。地球が自転していなかったら、海流は動かず、暑いところは暑くなり、寒いところは寒くなるかもしれないので、次のように回答したが、これは難しい。

If the earth did not rotate, the ocean currents would not move, making hot areas hotter and cold areas colder.

(Q7) How would a container with 28 000 ducks have helped to map the distribution of the ocean currents?

2万8千羽のアヒルのオモチャが入ったコンテナは海流の分布の把握にどのように役立ったかと言う設問だ。アヒルのオモチャは、海流に乗っていろいろな場所に流されて、海流の分布を確認することができたので、次のように回答した。

Ducks can float or drift with the ocean currents to different places.

まとめ

これまで海流と読んでいたものは正確には表層海流だった。しかも、海流の9割は深層海流が閉めていると言うことにも驚いた。また、日本海に大和堆や北大和堆と呼ばれる水深の浅い部分があることも今回初めて認識した。氷河時代の海面が低下した時代には、陸地だった可能性もある。水源資源が豊富で海底資源も未知数だけ、天然ガスなどが確認できていて、日中間の争議のターゲットの一つになりそうだ。平和な世の中であって欲しいけど、そのために平和主義者が強い力を持つ必要がある。ロシアによるウクライナの侵攻に先立っては、サイバー攻撃が盛んに仕掛けられていた。現在の日本も中国やロシア、北朝鮮からのサイバー攻撃にさらされている。平和を維持するには、他国を圧倒する力を見せつける必要があるのではないかと思うが、力を持つと暴走すると言うことを心配したり、牽制する精力もある。争いのない世界はどのようにすれば形成できるのだろう。簡単には解決できない問題だ。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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