労働安全衛生法:監理技術者の役割から電気をきる、アースをとるまで

はじめに

2022年度の労働安全コンサルタントを受験することにした。過去に投稿した内容の再利用だけど、復習の意味を込めておさらいしておきたい。今回は監理技術者の役割や、安全管理者、研修といった内容だ。

監理技術者の役割

工事も現場監督もしないで監理技術者は何をやるのか。建設業法の第26条では下のように、当該工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理、技術指導を行うと規定されている。まあ平たくいえば、何があっても建設工事を「適正かつ適切に完遂する」というところだろう。技術的な問題や、工程上の問題などは発生するものだ。それを関係者と一緒に考え、総力を結集して解決することが求められることだ。だから、監理技術者が暇なことは良いことだけど、それに甘えていてもいけない。
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出典:http://www.mlit.go.jp/common/001130685.pdf

専任の規制緩

下請けへの発注金額が4千万円以上の案件では、監理技術者の専任が求められる。つまり、他の仕事をしてはいけないということだ。しかし、これでは生産性が低く、監理技術者の費用を賄うことが困難なケースも出てくる。このため、例えば下の図のように工事が複数の期間に渡って実施される場合にはその期間は当然専任だが、工事と工事の間の期間は他の専任工事を実施できるようになっている。しかし、これには発注者の了解等が必要という条件がついている。
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出典:http://www.mlit.go.jp/common/001149079.pdf

安全教育

社員の研修を実施するのは会社だ。例えば、大きなプロジェクトで元請け会社があって、その下に複数の会社がそれぞれの業務を請け負っているとする。そして建設業では高所作業があったり、クレーン作業(玉掛け)があったり、ガスバーナ等での溶接作業があったりと危険がいっぱいだ。そして危険な作業には全て法律で規制がかかっている。労働安全衛生法では、元請け会社には総括安全衛生管理者を、下請け会社には安全管理者のアサインを義務付けている。
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出典:https://www.tokubetu.or.jp/text_shokuan/part1/text_shokuan1-1.html

総括安全管理者

話題が硬いがご容赦ください。総括安全衛生管理者は例えば建設業であればある事業所の労働者が100人以上だと、選任が必要だ。事業を統括する工場長等が任命される。そして、労働者の危険防止や健康障害の防止、さらには安全や衛生の教育の実施を統括管理する。
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出典:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/a-kanri.html

新規入場者研修

労働災害は、労働者が工事作業に携わってから7日以内に約61%が発生するという。つまり、労働者が不慣れな段階で事故が発生する。このために新しく工事を始めるときには、新規入場者のための教育を行う。途中で参加する人にも、教育をしてから参加してもらう。その中では、作業書の概要と編成や作業所の案内などを示す。確かに、どこが危険なのか。どのような指揮命令系統で作業を実施するのかを最初に教わらないとわからない。健康状態などのチェックも同時に実施する。今回は監理技術者としては初めての業務なので、自分自身が不慣れなことだが、自分で調べて対応するしかないのが辛いところだ。
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出典:https://www.tokubetu.or.jp/text_shokuan/part2/text_shokuan2-2.html

電気を切る・アースをとる

新規入場者研修を実施して欲しいと言われ、教材を作って、講師を務めた。「耳だこ」の話ばかりでも退屈なので、少し最近のトピックを入れたり、少し深掘りして解説したり、興味の湧きそうな話などを混ぜて対応した。興味を持って聞いてもらえたらようでちょっと安心した。その時に使った小ネタが、表記だ。上司(職長等)が電源を切ってくれと部下(労働者)に指示をした。当然ながら電源スイッチをオフにするという意味だ。しかし、それを聞いた部下は電源ケーブルを文字通り切断した。しかも、その電線は電圧が掛かっていたのでショートしてブレーカーが落ちて、目的通りに電源は切れた。しかし、上司が望む結果ではなかった。部下は幸い怪我はしなかったが、利用したニッパーはもう使えない。ニッパーの絶縁部分が不足していたら部下は感電して死傷したかもしれない。別の上司は、部下にアースをとっておくように支持した。部下は上司に「了解しました」と気持ちの良い返事をした。そして、アース棒を抜いてしまった。その結果、せっかく苦労して実施した接地工事は無駄になる。万一の事故が起きなかったのが不幸中の幸いだが、万一漏電でも起きてアースが必要なケースなのにアースされていないと漏電による感電事故が発生したかもしれない。言葉の誤解は恐ろしい。口頭だけの指示も信用できない。
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出典:https://www.chiko.co.jp/setti/faq/001-2.html

まとめ

監理技術者とか、安全教育とかはトピックとして硬い。しかし、モノづくりの現場である工場や建設現場ではリスクと紙一重だ。さまざまなリスクに対して、予防を行い、事故を未然に防止することが求められている。また、労働災害などを起こした企業に対しては、安全に対する診断を行い、改善点があればそれを指導するのが労働安全コンサルタントの仕事となる。どこまでできるかは別にして、安全・安心をライフワークとするという意味では、どストライクの仕事かもしれない。ただ、性格的におっちょこちょいの自分に向いているのだろうかには不安が残る(笑)。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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