はじめに
今日は、国際人材創出支援センター(ICB)主催のセミナーだ。講師は元駐米大使の藤崎一郎氏だ。タイトルは、「変わらぬロシア、変わる米国、揺らぐ中国」だ。ICB主催のセミナーを拝聴するのは、2回目だ。前回は、キャッシー松井さんによる講演だった。これも非常に興味深く拝聴したが、今回も大所高所からの話からフランクな話まで興味深かった。
藤崎一郎
元駐米大使の藤崎一郎(1947年7月10日生)さんの話ぶりはざっくばらんだ。物事の本質を見極めて、分かりやすく説明される。一流の政治家の匂いがすると思ったら、伊藤博文の玄孫(やしゃご)であり、父は元オランダ大使の藤﨑萬里氏だった。港区の小学校から米国の中学校に入学する。帰国後は慶應義塾の普通部、高等学校を経て大学へと進み、在学中に外務公務員1種に合格したので、大学を中退して外務省に入省されている。英語の重要性を説かれているけど、中学の時代に渡米されたのは大きいだろう。
(出典:現代ビジネス)
心理と歴史
講演の最初はドローンの話だった。ウクライナでもドローンが活躍しているが、これは双眼鏡と考えれば良いという。また、心理と歴史という軸で講演が進んでいった。
ロシアの心理と中国の心理
ロシアの心理として、「力は使うもの」と「手下は締め上げるもの」を挙げられていた。1978年から1989年のアフガン紛争も、1983年の大韓航空機撃墜も既成事実化を狙ったものという。1956年のハンガリー、1968年のチェコ、1991年から1997年と1999年から2009年のチェチェン、2008年のジョージア、2014年のクリミヤ、そして、2022年のウクライナと旧ソ連の近隣諸国を締め上げている。この既成事実化して、締め上げる心理は中国も同じだ。ロシアはウクライナを攻めあぐねていて、プーチンの失脚は秒読みという評論家の意見には懐疑的だ。じっくりとウクライナを攻める作戦はロシアの得意技なので注意が必要と警鐘を鳴らされる。下は拓殖大学での講演の模様だ。同じように好評だったようだ。
歴史
ロシアによるウクライナ侵攻はNATOの拡大を阻止することが根っこにある。NATOは、西側諸国の助け合い組合のようなものだ。NATOに加盟していれば、どこかの国が攻撃してきたらみんなで対抗することを約束している。2020年に北マケドニアが加盟して30カ国になった。さらにウクライナを含めて4カ国が加盟を希望している。NATAの加盟国の軍事費は、世界全体の70%を占めており、これは強力だ。逆にいえば、ロシアや中国にとっては脅威でしかない。日本はNATOの加盟国ではなくパートナー国だ。NATOは、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国などのパートナー国との緊密な協力は、中国の台頭に対処する上で重要と発言している(出典)。
(出典:講演資料より)
才能x時間±運
京セラを創業した稲盛和夫さんが提唱するフィロソフィーの中で、稲盛さんは、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」だと人生の方程式を説かれている。藤崎さんは、著書「まだ間に合う」の中で人生とは、才能x時間±運だと書かれているらしい。アマゾンでは残念ながら品切れだったけど、東大の図書館で検索するとあったので、早速予約した。この週末にでもしっかり読みたいと思う。コンフォートゾーンを高く持ち、自分の価値を高める。地道に努力する。自分の意見をしっかりと持つことの重要性を強調されていた。
戦争と平和
2019年からの新型コロナの感染拡大が落ち着きつつあると思ったら、ロシアによるウクライナの侵略が進み、大変な事態となっている。戦争と平和については、以前投稿した次のサイトも参照してほしいけど、なぜ戦争が無くならないかといえば、それはそれぞれの国の正義が異なるからだ。国内法であれば暴力は違法だ。しかし、国際法においては抜け道が多い。なぜ、抜け道ができるかといえば、戦勝国が自国の都合の良いように条約や国際法を決めるためだ。クロアチア共和国のゾラン・ミラノヴィッチ大統領が国連におけるロシアの拒否権を見直すべきと発言した。同じ構造は中国にも当てはまる。中国やロシアの拒否権を見直すことはできないものだろうか。
まとめ
元駐米大使の藤崎一郎さんのお話を拝聴した。こんブログでは書ききれないほど幅広いお話を伺った。世界の情勢を数字をもとに客観的に理解しておくことは必要だ。例えば、下の数字の意味は想像できるでしょうか?詳細の前提条件を確認する必要があるが、上段は黒人の比率(%)、中段は移民の人数(百万人)、下段は製造業人口(百万人)だという。数字に強くなれば、客観的な判断の指標を得ることができる。
(出典:講演資料より)
以上
最後まで読んでいただきありがとうございました。
拝