脳型情報処理機械論8-1:認知機能の発達と障害の予測コード化

はじめに

今週の金曜日(26日)に第8回の講座がある。いつも事後投稿なので、今回は事前投稿をしたいと思った。講義の教材もまだ展開されていないので、とりあえずはネットでわかる範囲で調べてみた。予測認知のメカニズムを研究して、ロボット制御などでも成果を上げているようだ。素晴らしい。

講師

今回の講師は、東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構の長井志江特任教授だ。認知発達ロボティクスの研究で最前線をリードされている。研究テーマはAIx社会だ。人の行動を予測学習に基づいて発達するという仮説を提唱し、これを実現するモデルを設計して、実際にロボットなどに実装して評価するというアプローチで独自の世界を広げている注目の女性研究者だ。

(出典:robotics)

講師の略歴

東京と大阪を往復されている。1974年に群馬県で生まれる。1997年に青山学院大学理工学部を卒業し、1999年に同大学大学院理工学研究科博士前期課程を修了する。さらに、2004年には関西に移動して、大阪大学大学院工学研究科で博士(工学)を取得する。その後、奈良に近い京都にある情報通信研究機構けいはんな情報通信融合研究センター(LICR)の専攻研究員に従事した後、ドイツ西部の商業都市ビーレフェルトに赴任して、ビーレフェルト大学にて5年間ポスドク研究員として勤務し、認知ロボティクスの研究に取り組む。幼児の認知研究などドイツでの研究が研究者としての方向性を決めたようだ。帰国後は、大阪大学大学院工学研究科特任准教授に就任し、情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター主任研究員などを経て、2019年4月からは東京大学ニューロインテリジェンス国際研究機構特任教授に着任する。2016年12月よりJST戦略的創造研究推進事業(CREST)において「認知ミラーリング」の研究代表者を務めている。2019年からは東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構主任研究者、2020年からは東京大学次世代知能科学研究センター研究部門研究者、さらに東京大学卓越大学院プログラム「変革を駆動する先端物理・数学プログラム」プログラム担当者を兼任されている。

(出典:derdiedas)

専門分野

脳型情報処理機械論では、人間の脳の仕組みを研究することで次世代の情報処理を研究することを狙いとしているが、長井教授の場合には、特に人間の乳幼児を研究対象としているのがユニークだ。乳幼児の成長は著しい。昨日までできなかったことも今日はできていたりする。進歩がめざましい。この成長の仕組みを解明しようという相談な試みだ。また、同時に本研究で得られた知見を活用して発達障害者のための支援技術の開発にも挑戦されている。素晴らしい。

(出典:弥彦村)

主要論文

多くの論文を発表されているが、目を引くのが、予測学習に関する研究だ。下の図は、初期の認知発達における役割についての研究だ。人間の脳は、何か行動する時には、次の状況を予測しながら活動し、その活動の結果をセンサーで感じて、予測した状況と行動の結果の間の差異を最小化しようとする。しかし、乳幼児は、予測機能が十分でないため、感覚運動を通じて訓練する。また、周りの人間の行動が自分の行動は影響を受けるが、長井教授は「他者の行動に対応する自分の行動を実行することで予測誤差を最小化できる」ことに着目して、乳幼児に見られる発達ダイナミクスを再現されている。まず、自他認識と目標指向型行動の能力があり、ついで模倣と向社会的行動に繋がる。さらに、これが自閉スペクトラム症(autism spectrum condition)のメカニズムの解明に繋がると考えて研究を進められている。

(出典:royal society)

課題

スポーツ行動学への応用

予測した行動と実行した行動の違いを最小化することはスポーツの目的でもある。自分がイメージしているゴルフスウィングと実際に撮影したスウィングのあまりの違いに愕然とすることが多い。特に、初心者ではこの乖離の大きさにすら気づいていない。中級者はこの乖離を意識してどうすれば乖離しないかを練習する。上級者は常に正確に乖離状況を把握し、補正する。以前「ゴルフの精度10%を目指したい」と投稿したが、この10%をクリアするのは簡単ではない。長井教授の理論を活用して少しでも腕前を上げたい。

三つ子の魂百まで

子育てをしていて感じることは人間の子供も3歳ぐらいまでに人格が形成し、その性格はなかなか変わらないということだ。爬虫類が脱皮するように人間も一皮剥けて成長する時期が人生において何度かあるが、3歳前後はその最初ではないだろうか。3歳ぐらいまでの乳幼児は、保護を受けながら、愛情を受けながら、さまざまな経験を通じて自分の世界を少しずつ広げていくようだ。脳科学の研究対象としては、3歳までの乳幼児と園児レベルなのか、小学生レベルなのかによって研究のアプローチが異なるような気がするが、このあたりはどのように対応されているのか聞いてみたいものだ。

まとめ

まだ受けていない講義の講師やその講師の研究テーマなどを調べてみた。当日がどんな授業になるのか、今から楽しみである。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました

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