強い笑顔でマザーハウスの理念を共有すれば将来は期待しかない。新商品は本当に可愛い。

はじめに

マザーハウスをご存知でしょうか?カンブリア宮殿などメディアでも何度も報道されているので、耳にした方も多いのではないかと思う。今回は、そんなマザーハウスの現状とこれまでの決算を見ての将来展望について思いを馳せた。しばし、お付き合いいただけると幸甚だ。

強い笑顔

私自身がマザーハウスのファンだ。4月に薄くて軽いリュック型のバッグを欲しいと思って、色々なお店を見て回って最後に決めたのがミニマトウで、以前も「サボリーマンがMOTHERHOUSEのミニマトウを購入」で投稿した。その後も愛用している。当初はPCの代わりにiPadを購入したので、iPad向けのバッグとして購入したのだが、この薄いバッグにもMacBookAirがすっぽりと入ることに気づいて、最近はこのPCとマザーハウスで買ったお財布(Irodori L Style Long Wallet)と傘などを入れて愛用している。マザーハウスの製品には愛情と優しさと楽しさを感じる。村上龍は、編集後記において代表の山口絵理子とのインタビューを終えて、「強い笑顔」と表現した。山口絵理子代表がバングラデッシュを初めて訪問した時の決意や想いを叶えるには、数多くの試練があったはずだけど、なんとか解決の糸口を見つけて、乗り越えてきた。今回のコロナ禍の影響はマザーハウスにとっても甚大だったことは、後述の決算書の推移でも明確だが、信念を持ってレイオフは一切せずに対応した。これからのマザーハウスの躍進が本当に楽しみだ。

(出典:カンブリア宮殿

拡大する途上国での「ものづくり」

マザーハウスの生産拠点の原点はバングラデッシュだ。マザーハウスのすごいのは、バングラデッシュで成功した革製品を他の生産拠点でも行うのではなく、それぞれの拠点が強みを活かした作品を考えて、それを生産することだ。最近ではチョコレートをインドネシアで作っている。インドネシアは世界で最も多い1万3,466の島から構成される国である。しかし、チョコレートを生産しているスラウェシ島は、首都のあるジャワ島でも、天然資源が豊富なスマトラ島でもない。現地の生態系を守りながら生まれたインドネシアのエネルギーいっぱいのチョコレートだ。

(出典:カンブリア宮殿

銀座店オープン

販売拠点も国内外に広げている。2020年8月7日には銀座店をオープンしている。家賃7万8千円の入谷店から始まった直販が国内外46拠点に広がっている。念願のパリにも予約制のショールームを昨年秋にオープンした。フランスの事業を託すことになった25歳の「ポーリーン」になんでマザーハウスがいいの?を聞いた時の回答が、「マザーハウスの哲学は、パリのファッション界にとってものすごく新しい。背景、生産地、ミッションそれらを含めてブランドを立ち上げる、こんな興奮する挑戦はない!」というものだった。そんな風に想いを共有できる同志の輪が広がるのがマザーハウスの最大の強みだと思う。

マザーハウスの決算の推移

公開されている範囲でマザーハウスの決算状況の推移をまとめてみた。なお、同社は9月末決算であるため、たとえば第15期とは2019年10月から2020年9月までの決算だ。コロナ禍の影響で第16期がどのように推移するかは気になるところだけど、まずは第8期(2012年10月から2013年9月)から第15期の範囲での考察となる。

資産の部

第8期の資産合計に比べると第15期の資産合計は約9.4倍だ。年平均で見ると34%の増加だ。流動資産の比率だけで見ると、第8期の77.4%から第15期には58.7%まで低下している。逆に言えば、固定資産が22.6%から41.3%と急速に増加している。一方、流動比率(=流動資産÷流動負債)を計算すると、第8期の259%から第15期は167%と減少している。しかし、安定的な経営基盤を整える意味では、財務状況の改善が最初の課題だ。

負債の部

資本合計における流動負債の比率は、第8期の29.8%から第15期の35.2%に増加している。一方、固定負債の比率は第14期の12.0%から第15期の35.2%に急増している。これは、コロナ禍の影響で店舗や生産拠点の閉鎖や縮小の影響を受けて、6億円程度の長期借入金で凌いだと想定される。幾たびの苦難を乗り越えてきた山口代表が率いるマザーハウスなので、経済が再開すれば業績も改善するだろう。悩ましいのは、その時に積極経営に向かうのか、財務体質を改善する守りの経営に向かうのかが第2の課題だ。

利益の部

コロナ禍の影響を最も端的にでているのが純利益だろう。第15期は7,933千円と第14期比で93.4%減となった。しかし、マザーハウスの強みは利益剰余金の厚さだ。総資産における利益剰余金の比率は、第8期の25.9%から第14期の46.4%まで堅調に拡大している。残念ながら第15期は34.5%まで低下したが、8億円の利益剰余金は確保している。これは立派だ。第3の課題はマザーハウスの理念を世界中の社員で共有し、さらに素敵なコンセプトの商品群を磨き続けることだ。

今後の検討課題

課題1:流動比率の改善

名古屋に単身赴任していたときは星ヶ丘の店舗によく訪問した。最近は、ミニマトウを購入した渋谷ヒカリエShinQs店を愛用している。どの店も素敵な店だ。来客数も確実に増えている。流動比率を下げることは目的ではなく、順調な販売・生産が回復すれば2-3年後には結果として良好なレベルに改善しているのではないだろうか

課題2:攻めるか守るか

難しいのはこの判断だ。パリは店舗ではなくショールームとしての位置付けだ。ニューヨークとパリへの店舗進出は山口代表の悲願かもしれない。良い物件と縁があれば、早晩実現するだろう。しかし、時間がかかっても無理はしないでほしい。それよりは、アジア諸国とのタイアップや中近東での出店なども面白いのではないか。大事なことはマザーハウスの理念に共感するパートナーを着実に広げることだと思う。どこに出店するかどうかも目的ではなく結果として実現するものと思う。

課題3:デザインを磨き続ける

2021年9月10日に秋冬新作お披露目会をYouTubeで見ることができる。「マザーハウスといえばスケッチブック」とツッコミを受けていたが、数ある新作の中でも特徴的なのが、回収した革製品を再利用して制作した輪廻だ。また、コンセプトが笑顔という「Emy」は外見の可愛さだけではなく、さりげないロック機能を装備している点も魅力だ。また、パンダや亀やウサギなどをモチーフにしたポーチ類は純粋に可愛い。女の子にプレゼントしたら絶対喜ばれると思う。課題と言いながらもう期待しかない。

まとめ

マザーハウスが躍進するストーリーはまだ序章だ。これからも数多くのハードルに直面すると思うけど、山口代表の強い笑顔が全てを解決する姿しかイメージできない。あえて3つの課題を設定してみたけど、どれもマザーハウスの理念をこれからも関係者と共有して、着実に頑張れば結果的に解決するものばかりだ。これからのマザーハウスには楽しみしかない。これからも素敵な作品が広がることを応援しています。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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