辺野古地区への新基地建設とジュゴンの絶滅の危機。1兆円近い予算を投じる価値が本当にあるのだろうか。

はじめに

コロナ禍やオリンピックの話題に隠れて、沖縄の辺野古地区への航空基地の整備問題がどうなっているのかが気になった。キャンプシュワブのある辺野古地区は沖縄の綺麗な海の中でもダントツに海水の透明度が高く、美しい。自分が沖縄に赴任していた時期にも何度かキャンプシュワブを訪問したが、米兵は綺麗な海のダイビングを楽しんでいた。少し丘から海を覗くとマンタが悠々と泳いでいたりした。本当に素晴らしいスポットだった。

(出典:Google Map)

辺野古地区の整備状況

下の写真は2021年4月4日時点での辺野古の状態だ。上の写真と比べると埋立がかなり進んでいることが確認できる。しかし、これは、まだまだ完成形からは程遠い。

(出典:Asahi Shinbun)

71,000本の杭

日米政府が安全保障諮問委員会(SCC)のもと合意している施設は下のものだ。V字滑走路を建設するために湾の大規模な埋立工事と軟弱な土壌を強化するために71,000本の杭が必要という。ワシントンD.C.に本拠を置く戦略国際問題研究所(CSIS)は「これが完了する可能性は低い」述べているという。CSISは前回(2019年10月)に発表された報告書で「沖縄の地元の政治家は米軍駐留の負担が大きすぎると反対するが、移転プロジェクトはゆっくりと前進し続けている」と述べている。

(出典:Okinawa Briefing)

2019年の修正計画では9,300億円(当初計画の2.7倍)

2021年3月8日の英語版の朝日新聞によれば、2019年後半に発表された修正予測では、普天間飛行場の新基地への移転にかかる推定総費用は当初計画の約2.7倍の9,300億円に膨れ上がっているという。これは海底の基盤が軟弱なためだが、それだけの理由ではない。元会計検査院長で日本大学客員教授の有川宏氏は、追加の入札なしで追加の請負工事をすることに疑問を呈している。現状を是正しない限り、コストは増加し続けると警告する。また、政府は2020年3月までにすでに約1,233億円を埋め立てに費やしているが、なんとその30%は敷地周辺の治安費用だ。

セキュリティ費用だけでも1700億円

2014年7月以降抗議者に対応するために警備会社に386億円の契約を結んでいる。これは、1日あたり1,850万円のコストだ。政府は、移転プロジェクトが完了までのセキュリティ費用として、1,700億円を見積もっているという。一方で、米軍はグローバル戦略の見直しにも取り組んでおり、1兆円近い資金を投じて建設しても本当に有効に活用されるのだろうか(出典:朝日新聞)。

ジュゴンと希少サンゴの絶滅の危機

2003年に辺野古湾での新基地建設計画は、ジュゴンのような海洋哺乳類の生息地を破壊するとして、日本人と日米環境協会は米国国防総省を訴えた。北カリフォルニアの米国地方裁判所は、2008年にジュゴンの立場を却下しつつ原告の主張をほぼ同意し、建設開始前に国防総省に適切な影響評価を実施するよう命じた。しかし、2017年4月に日本政府は辺野古湾に護岸の建設を開始している。沖縄政府による反対と、コミュニティグループやグリーンピースジャパンのような活動家の抵抗にもかかわらず、2017年11月6日に2つの防波堤の建設を開始した。絶滅の危機に瀕しているジュゴンに加えて、沖縄のサンゴ礁の70%が白化現象で死んでいた(ジャパンタイムズ2017)。建設地区で発見された希少な絶滅危惧種の珊瑚は移転された。米国の生物多様性センター(the Center for Biological Diversity)は地球上で最も絶滅の危機に瀕している海洋哺乳類の1つである沖縄ジュゴンを保護する必要性を訴える。新基地は、数百エーカーを超える豊かな珊瑚と海草の生息地を埋める。絶滅危惧種や野生の場所の保護に専念する140万人以上のメンバーとオンライン活動家を擁する非営利の保護団体ビンゴ(BINGO)が沖縄の運動を支援している。

(出典:生物多様性センター

本来は長寿なジュゴン

沖縄のジュゴンはスレートグレイからグレーブロンズ色で、他のクジラ類と同じように尾がフワフワしている。穏やかで浅い海の沿岸水域に生息する。海草の牧草地を探して数日で数十マイルから数百マイルを移動することもある。通常は潮の動きに従って遊泳し、夜岸に近づく。雌は10〜17歳のときに最初の子を産み、3〜7年ごとに1頭の子を水中で出産する。ジュゴンは長寿で、73歳の雌が記録されている。ジュゴンは、海草床にはっきりとした餌の道を残す。新基地の建設による生息地の喪失、騒音公害、海洋汚染によって絶滅の危機に瀕している(出典:生物多様性センター)。

まとめ

普天間基地から辺野古への移転問題はなかなか決着せず長期化している。環境問題と希少生物の問題と軍事問題のトレードオフだ。沖縄に生息していたジュゴンは今もどこかで生きているのか、それとも絶滅したのか。まずは事実確認が急務だと思うのだがなぜ進まないのか。沖縄では、緊急事態宣言が発令されるなど環境だけではなく、観光経済にも大打撃を受けている。心優しい沖縄の人々とジュゴンが心穏やかに生きていくにはどうすれば良いのだろうか。問題は根深い。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございます。

最新情報をチェックしよう!