東洋医学その3:5つの元素を臓器、感情、色との関係を体系化した五行色体表は知恵の塊だ。

はじめに

東洋医学について3回に分けて投稿している。すでにその1で東洋医学の基本的な考え方と4つの気について解説し、その2で気・血・水と薬膳理論についての投稿した。陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)については以前投稿したが、今回は、東洋医学の根本の思想とも言える五行理論について深掘りしてみたいと思う。

その1:東洋医学の考え方と4つの気(初回
その2:気・血・水と薬膳理論(次回
その3:五行理論の相生と相克(⇨ 今回)

五行理論

西洋ではこの世の物質は火、空気、水、土の四元素から成り立つという思想があり、古代ギリシャ・ローマ時代からヨーロッパで支持されていた。しかし、東洋では、これに金を加えた5種類の元素からこの世が構成していると考えた。古代より日本は火山国であり、金銀が豊富に発掘され、黄金の国ジパングなどとも呼ばれたが、そのせいなのか(笑)。五行の起源は複数の説がある。一つは、書経(しょきょう)の甘誓の篇では5つの星の運行を示すという説だ。同じく書経の洪範(こうはん)の篇では木・火・土・金・水が五元素と示すと言う説だ。五行思想は、陰陽家の騶衍(すうおう、紀元前305年頃から紀元前240年頃)が創始したと言われている。

(出典:illust

五行と臓腑

五行理論の興味深いところは、世の中の元素を5つと考え、それらをあらゆるものと関係づけている点だ。例えば、下の図に示すような5つの臓器と関連づけている。尿を濾過する腎臓と水の対応は直接的に理解しやすい。血を生成する肝臓と木を対応させたり、空気を濾過する肺と金を対応させたり、造血やリンパを生成する器官である脾臓(ひぞう)を土と対応するのも理解できる。火の温熱作用と心はちょっと苦しい気がするがどうだろうか。五行理論の面白い点は、この5つの元素に対して2つの関係性を定義している点だ。相生(そうせい)と相克(そうこく)だ。


(出典:aqua medical clinic

相生と相克

相生とは、下の図(左)のように、木から火が生じ、火が燃えると土が生じ、土から金属類が産出し、金の表面に水が生じ、水により木が生じるというサイクルだ。世の中のあらゆる物質は実は変化するのだと言うことを直感的に理解していたのだろう。一方、相克とは、木は土に根を張り、土は水を吸収し、水は火を消し、火は金(属)を溶かし、金は木を切り倒すというグーチョキパーのような関係性を示している。つまり、5つの元素はどれか一つが重要だと言うことではなく、5つの元素が関係性を保ちながらバランスを保っていることが重要だという考え方だ。

(出典:aqua medical clinic)

五行色体表

五行理論では、あらゆるものを5つの元素と関係つけたと述べた。五行と五臓の関係はすでに述べたとおりだ。五行は下の表のように、眼、舌、口、鼻、耳という五感との関係性も定義している。酸味、苦味、甘味、辛味、塩味などだ。日本食の味付けは「さしすせそ」と投稿したことがあるが、味との関係性も定義している。それ以外に、感情、色、季節、方角などとも関係つけている。季節は通常は四季と呼び、4つに分類するが、五行では土用として、年に4回訪れる立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間を加えて5つに定義している。なかなか面白い。

(出典:and room

五行と五臓

五行と関連する部位や、五臓に変調を招くもの、五臓が変調したときの症状、さらには五臓を補う食べ物まで定義している。例えば、木に着目すると、春は花粉の季節だ。春の風が舞うと涙が出てくる。このような時はチキンや麦、ニラを食べると良さそうだ。夏は暑く、汗をかいて血脈が低下しがちだ。そのような時は杏を食すると良いのかも。冬は寒いて耳が冷たく、髪も痛みがち。豆や豚でも食べて栄養を受けて休むのが良いのだろうか。適当に組み合わせて解読してみたが、どうだろう。また、五神は五臓に宿る精神という。例えば、肝は判断力、計画性などの精神活動、心は全ての精神活動を統率・制御し、脾は思考・推測・記憶の機能、肺は感覚・運動・情志の機能そして、腎は思考や記憶の保存・維持の機能を司る。ここまで体系化するのはすごいと思う。

(出典:sedona

三焦弁証

三焦弁証(さんしょうべんしょう)は、人体を上焦、中焦、下焦の3つに分類している。一般に、病は上から下へ浅から深へと進む。上焦は気の海と呼び、中焦は水穀の海とも呼ぶ。上焦は胸部、中焦は上腹部、下焦は下腹部に相当する。

(出典:ハル薬局

まとめ

東洋医学では五元理論は中核的思想だ。MBAの同級生で中国人の方だけど、中国で西洋医学を学び、日本で東洋医学を学び、MBAで経営を学び、現在都内で鍼灸師として活躍されている。東洋医学と西洋医学は病気を治し、健康に生きるための学問だが、アプローチが少し違っている。健康に生きていくにはどちらも大事だ。本当に緊急の対応が必要となった場合には西洋医学に頼ることになるが、健康を維持する上では東洋医学を参考するのも良いと思う。素人の投稿のため、理解が浅く、不勉強なため誤解している部分もあるかもしれないが、もし気づく点があればご指摘頂ければ嬉しい。健康に長寿を全うしましょう。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

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