ソーラその1:太陽光発電の現状と傾向、メガソーラは環境破壊と大規模人災の誘因になりかねない。

はじめに

エネルギー問題については、これまでも何度か投稿してきた。CO2を排出する火力発電やリスクの大きな原子力発電の利用を抑えながら需要に対応するのは簡単ではないが、その対策の一つが太陽光発電の活用だ。そんな太陽光発電をキーワードとして2回連続で投稿することにした。まずその1は、太陽光発電の現状と傾向だ。そして、明日はその2としてプロブスカイト太陽電池の可能性について解説したい。
その1:太陽光発電の現状と傾向    ⇨ 今回の投稿
その2:ペロブスカイト太陽電池の可能性(次回の投稿

メガソーラの弊害

2021年7月3日に熱海市において大規模な土石流が発生した。これについては以前も投稿した。土石流の発生とメガソーラとの直接的な関係はないとされている。しかし、間接的な要因までないとは言い切れない。実際、断層面はメガソーラを結ぶ道路に沿っている。メガソーラで発電した電力を送電するための電柱も道路に沿って設置されていた。これらとの関係を含めて調査が進むことを期待する。メガソーラの問題は熱海だけではない。奈良県の平群町でも生駒山の山林48haを伐採し、甲子園球場12個分を事業面積とするメガソーラー建設計画が進められている。ふもとには椿台地区があり、熱海市と同じ構図だ(出典)。同じ災害を再発させてはいけない。

(出典:毎日新聞

太陽光発電の累積導入量(発電容量)

太陽光発電は1993年には2.4万kWだったが、1999年には20.9万kW、2009年には284万kW、2014年には2,688万kWを達成した。2018年には5,337万kWの発電量(累積)を達成した。これは全世界の約11%相当だ。

(出典:エネ百科)

国土面積あたりの太陽光設備容量(発電量/面積)

日本の国土には急峻な山岳が多い。わずかな平野にメガソーラを建設するのも問題だし、山岳を台地にしてメガソーラを無理やり建設しても、前述のような土石流災害を誘発する。さらには、豊な森がコンクリート化される。これが自然に優しいと言えるのだろうか。自然破壊にほかならない。一度破壊された大地は砂漠化する懸念がある。日本以外の古代文明のエリアの多くは砂漠化している。古代文明のエリアは全て肥沃な土地だったが、文明が環境を壊し、砂漠となった。日本は、これまで山林を育て、守ってきたので、豊かな大地がある。これを破壊することは国土を破壊することと同じだと思う。

(出典:外務省

地上設置と屋根設置のソーラ発電(申請・認定数)

太陽光発電には、大規模なメガソーラと、住宅の屋根等に建設する小規模なソーラがある。下は、10kW未満の太陽光発電の申請件数と認定件数だ。ここでは、認定件数の累計で見ると屋根設置は55万件と全体の99%を占める。住宅の屋根であれば、ゼロエミッションハウスやゼロエミッションシティを目指すこともできる。日本においては、大規模なメガソーラを建設するのではなく、個々の住宅やビルにソーラ発電のパネルや屋根を装備していく方が望ましいのではないか。

(出典:IT Media)

住宅向けと非住宅向けソーラ(発電量)

太陽光発電システムの市場規模は2019年度見込みで2,365億円だが、2030年度には7,694億円まで拡大すると富士経済は予測している。2030年度の出力ベースの予測では、住宅が1,350MW、非住宅が3,450MWを見込んでいる。

(出典:IT Media)

都道府県別の住宅用太陽光発電補助金(件数)

2009年から2013年において住居用の太陽光発電の設置件数が最も多いのは、なぜか愛知県(87,981件)だ。2位が埼玉県(65,820件)、3位が東京都(55,099件)となっている。なお、日当たりの1m²あたりの日射量のランキングを調べると、1位が山梨県の4.44kWh、2位が高知県の4.40kWh、3位が宮崎県の4.36kWh、4位が静岡県の4.30kWh、そして5位が愛知県の4.21kWhとなっている。今後の太陽光発電住宅の上位予想エリアでは、1位が埼玉県、2位が千葉県、3位が愛知県となっている(出典)
(出典:一般社団法人太陽光発電協会太陽光発電普及拡大センター

モジュール単価の低減傾向(円/発電容量)

太陽光発電のパネルのモジュール単価も低下している。ワットピーク(Wp)あたりの単価では、1992年当時では1000円弱だったものが、2000年には500円を切り、2010年には400円を切っている。2004年頃は世界の約半分の太陽電池を生産していたが、2010年にはシェアは9%に低下した。現在は格安の中国産がほとんどのシェアを占めている。日本メーカーの存在感は低下している。

(出典:太陽光発電

太陽光発電の将来予測(億円)

しかし、日本メーカーもただ手をこまねいていたわけではない。詳細は次回に回すが、ペロブスカイト太陽電池の開発を東芝や理研が戦略的に実施している。曲面での設置も可能だ。2025年の実用化を目標に開発が進められている。

(出典:IT Media)

まとめ

山間部の多い日本では、平地を求める大規模な太陽光パネルを設置するメガソーラを主力電源とする戦略には無理がある。田畑や耕作放棄地を活用したメガソーラも、山間部を切り開いて大地にするメガソーラも、海面を活用するメガソーラも環境を破壊し、豊かな大地が再起不能となる懸念がある。日本では台風、地震、大雨、土砂崩れなどの災害が頻発する。これらの災害にもメガソーラは弱いだけではなく、災害を引き起こす誘因になりかねない。もし、この構図を見てみないふりをするなら、それは人災だ。失われた人名は戻ってこないし、その責任は一体誰が負えるのだろうか。日本人の叡智を結集して、日本の狭い国土でも無理なくソーラーを活用できる技術を開拓していきたい。これについては、次回に詳しく解説したい。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

次回:ペロブスカイト太陽電池の可能性
・東芝がリードするペロブスカイト太陽電池
・ペロブスカイト構造
・鉛を使わないペロブスカイト太陽電池
・今後の太陽光発電の可能性

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