教育改革は永遠のテーマ。戦前の五修や四修のような飛び級や飛び入学を可能にできないものか。

はじめに

今回は「飛び級」と言うキーワードを中心に考えてみた。現在の日本でも高校を卒業しなくても大学に入学する飛び入学が可能だけど、中退扱いになるなどリスクが大きい。戦前の日本では小学校や中学校の年代から飛び級が可能だった。田中角栄も幼少時に飛び級を実践したと何かで読んだ。海外では才能を幼少期から発掘しようと「ギフテッド」認定をして、育成に努めている。昨日から2020東京パラリンピックが始まった。感動的だけど、高校生も科学オリンピックを目指して頑張っている。メダリストになるより、日本代表になることの方が難しいと言う環境は改善が必要だけど、素晴らしい取り組みだと思う。日本も多様性と個性を尊重するような社会をぜひ目指したい。

飛び級とは

飛び級を許さない現代の日本

日本にも飛び級制度はある。学校教育法第90条において、高校に一定年数在籍した者に加えて、非常に厳しい条件をクリアすれば、高校を卒業しなくても中退扱いで大学に入学できる。しかし、義務教育段階では、飛び級もなければ落第もない。これで優秀な日本人への教育が可能なのだろうか。

第九十条 大学に入学することのできる者は、高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。
② 前項の規定にかかわらず、次の各号に該当する大学は、文部科学大臣の定めるところにより、高等学校に文部科学大臣の定める年数以上在学した者(これに準ずる者として文部科学大臣が定める者を含む。)であつて、当該大学の定める分野において特に優れた資質を有すると認めるものを、当該大学に入学させることができる。
一 当該分野に関する教育研究が行われている大学院が置かれていること。
二 当該分野における特に優れた資質を有する者の育成を図るのにふさわしい教育研究上の実績及び指導体制を有すること。

下の図は、内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(2013年)」の結果だ。13から15歳の在籍学校の内訳を確認するとに日本ではほぼ100%が中学生か高校生だ。しかし、海外では一定数がすでに大学や大学院に籍を置いている。アメリカでは4.1%で、韓国では7.8%だ。

(出典:News Week)

GHQの占領政策に基づく学制改革で飛び級が廃止

戦前には、日本でも飛び級や飛び入学があった。いわゆる五修や四修だ。五修とは、本来6年制の尋常小学校を5年修了で旧制中学校に入学出来る仕組だ。四修とは、本来は5年制の旧制中学校から4年修了で旧制高等学校に入学する仕組みだ。また尋常科を併設した7年制の旧制高等学校は、自動的に飛び級する存在だ。このため優秀な人は、旧制高校を目指し、通常11年かけるのを最短9年で帝国大学に進んだ。また、旧制小学校を五年で卒業(五修)し、高等小学校経由で師範学校に進むコースなどもあった。

(出典:旧制高等学校

高等教育進学率の国際比較

日本の大学進学率は、1995年に31%、2000年に40%、2011年に52%と上昇しているが、OECD平均の60%には及ばない。また、短大、高専、専門学校を含めた日大学型高等教育では日本の高等教育進学率は81%であり、OECDの79%よりも若干高い。海外の大学は入学よりも卒業が大変だが、日本の大学は入学は大変だけど卒業は難しくないと言われる。しかし、卒業しても正規社員に採用されないケースや学費の借金が膨らむケースなどの問題も指摘されている。優秀な日本人をいかに育てるのか。現在、純民間で高専を設立するプロジェクトが進んでいる。詳しくは、「神山まるごと高専プロジェクトの応援」で投稿したが、起業家精神あふれる若い学生を柔軟に育てる風土をもっと広げたいものだ。

(出典:教育再生実行会議

身体・頭脳ともに約2歳早期成長

下の図の左は男子、右は女子。上が身長で下が体重だ。それぞれ昭和23年(1948年)と平成25年(2013年)の年代別の推移を比較したものであるが、いずれのグラフをみても2歳程度成長が早いという結果だ。成長の早期化は身体だけではない。国立国語研究所の調査によれば、昭和42年(1967年)と平成17年(2005年)と比較すると、カナ文字の読みは半世紀で約2歳早くなっている。さらに現在の子供達はスマホネイティブ世代だ。二歳の幼児が早親のスマホを操作して好きなYouTube番組を見るなんてことは普通に起きている。日本人だけではないが、子供達の知能は早期かつ急速に進化している。問題は日本の教育制度が子供達の知能や心身の発達の足枷になっているのではないかという懸念だ。

(出典:教育再生実行会議

海外で飛び級した大川翔くん

1999年生まれの大川翔くんは、5歳のときカナダへ家族とともに移り住む。周りの人たちの刺激を受けながら9歳の時にカナダ政府からギフテッドと認定されるほど頭角を表す。12歳で日本に戻るかどうか悩んだようだが、12歳でカナダの公立高校に飛び級進学する。さらに、14歳で高校を卒業すると、トロント大など有名5大学に合格し、UBCサイエンス学部に入学。17歳でハーバード大学で研究発表し、18歳でブリティッシュコロンビア大学を卒業した。その後、東京大学先端科学技術研究センターで研究しながら、19歳で慶應義塾大学大学院・先端生命科学部に入学している。国内に留まっていたら、このようなプロセスはとても実現しなかっただろう。素晴らしい。

(出典:KIDSNA)

高校二年で京都大学医学部に入学した林璃菜子さん

2021年5月時点で17歳の林璃菜子さんは、名古屋の名門校南山高校の2年生から京都大学医学部医学科に飛び級で入学した。京都大学では、国際科学オリンピックの日本代表として活躍するなど目覚ましい成果を挙げた人の飛び入学を2016年度の入学試験から宣言していたが、ついに飛び入学生が実現した。

(出典:朝日新聞デジタル

検討したい可能性

ギフティッド認定

先に紹介した大川翔くんは、カナダでギフテッド認定されたことが契機となっている。ギフテッド(Gifted)とは、先天的に顕著に高い知性と共感的理解、倫理観、正義感、博愛精神を持っている人のことを言う。生まれながらに優秀な子供、天才はいるものだ。フォン・ノイマンは、幼少より数学の才能を見出されたようだ。アインシュタインも天才だけど、3歳まで言葉を発せなかった。脳神経の研究者スティーブン・ピンカーは、天才的才能と言葉の遅れの共存は発達上本来あるべき形なのかもしれないという理論まで打ち出している。しかし、一般人を超越した特殊な才能を有する人は、一般人が普通に行うことができなかったりする(笑)。高い知能を認定する機関として有名なのはMENSAだろう。メンサには人口上位2%のIQ保持者が入会できる。20歳代の時に一度試験を受けた。図を見て回答するものが多かった気がするが、1回で入会した。例会にも参加したが、IQの良さと成績や社会的地位の高さには相関がないことに気づいてそのままにしていている。多分、今受験したらうからないだろう(笑)。優秀な子供は7歳ぐらいで見極めがつくだろう。日本でも優秀な児童が世界で活躍できる社会になって欲しいと思う。

(出典:MENSA)

科学オリンピック

日本でも大学への早期入学は可能だけど条件が厳しい。カナダのように14歳で大学に入学するなどとても無理だ。自分自身小学校の4-5年の頃が一番賢かった気がする。「鉄は熱いうちに打て」と言う格言があるが、まさにその通りだと思う。現在の優秀な児童は、塾で勉強し、学校はリラックスする場と考えているようだ。中高一貫校を目指して、小学生三年生ぐらいからSAPIXに通わせ、中高一貫校に合格したら、その足で鉄緑会に入会し、東大などの難関大学を目指す。どれだけ若い頭脳を無駄にしているのかと思う。先の林璃菜子さんは国際科学オリンピックでも活躍した。2015年の科学オリンピックの予選に参加した人は男女で合計19,016人に対して、日本代表となるのはそのわずか0.16%にあたる31人のみだ。しかも、その31名全員がメダリストに輝いている。メダリストになるよりも、日本代表になることが難しい。日本代表の枠をもっと増やせないものだろうか。そして、世界の優秀な子供たちとの切磋琢磨を重ねる中でビジョンも見えてくるのではないだろうか。


(出典:文部科学省

コンカレント・エンカレッジメント

日本語でなんと言うのだろう。現在、日本で可能となっているのは高校を卒業せず中退して大学に入学する制度だ。大学の途中で大学院にも入学できるが、大学院を卒業しないと学歴では中学卒となる。これをリスクと考える人はいるだろう。そうではなく、中学や高校に在籍しながら、大学に入学して卒業できる制度ならリスクは少ないだろ。

天才フォン・ノイマンを育てられるか

ハンガリー出身の数学者ジョン・フォン・ノイマン(1903年12月28日-1957年2月8日)は間違いなくギフテッドだ。幼少より数学の才が認めらていた。6歳で8桁の掛け算を筆算で行い、8歳で微分積分をマスターした。17歳のギムナジウム時代(1920年)に最初の数学論文を書き、1922年にドイツ数学会雑誌に掲載される。ブダペスト大学大学院で数学を学び、ベルリン大学とチューリッヒ工科大学でも学び、23歳で数学・物理・化学の博士号を授与された。日本の硬直的な仕組みではこんな天才は育たない。先の見えない世界をリードし、かつ日本人のよき倫理観を持ったようなギフテッドを養成することはできないものだろうか。神山まるごと高専プロジェクトを応援しているのもそんな危機感からだ。

まとめ

日本でも飛び入学は可能だ。しかし、戦前の教育制度では6年の旧制小学校を5年で卒業する五修や、5年の旧制中学を4年で卒業する四修という制度が根付いていた。海外でも飛び級や飛び入学制度が広がっている。運動でも、美術でも、音楽でも良い。科学でも文学でも良い。子供たち一人一人にはそれぞれ得意なことと得意でないことがある。これまでは、底上げが重要な目的だった。しかし、AIやロボットが実用化し、普及する社会では、飛び抜けた才能をもつ人材こそが必要となるのではないだろうか。その意味では、幼少の頃からギフテッドを発掘して、本人の能力と興味を満足させられるような環境を用意することで、その才能が開花するのではないだろうか。難しいのは、そのような爆発力のある才能と倫理観が両立するのかという課題だ。日本人としての人格教育のためには、日本人としての誇りを持たせることだ。そのためには、日本人の起源を遡って考えることが不可欠だと個人的に思っている。論理が飛躍しているだろうか。

以上

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