コロナ禍に対する4つの懸念と3つの希望、世の中の変化に柔軟に適応したい。

はじめに

コロナ禍が始まったときに、当時通学していた大学院の教授から生徒へ「どの程度で鎮静すると考えるか?」と質問があった。1年と答える人も3年と答える人もいた。自分は過去のペストの事例を踏まえて1年半ほどで沈静化すると予想すると回答した。1年半で多くの知見も得られたけど少なくとも日本ではまだまだ緊急事態を宣言中だ。国民の多くはそろそろ終結させたいと願っているだろう。コロナ禍をさらに深刻にしかけない4つの懸念と、解決に向かう3つの希望をまとめてみた。大事なことは世の中の変化をしっかりと受け止め、それに対してどれだけ能動的に、適切に対応するかだと思う。

4つの懸念

懸念事項は多いが、ここでは、4つの懸念を示す。最初は、2021年の死亡者数が2020年に比べてすでに約3万人も増加し、さらに増加する懸念を示す。2番目はYouTubeのガイドラインが非常に厳しく表現規制が強化されていて、イベルメクチンにも否定的なこと。3番目は医療崩壊を防ぐには2類から5類への変更が有効と思われるがその議論がなぜか黙殺されていること。最後は経済的な影響が慢性化していて深刻化していることだ。経済の影響は特に経済的な弱者に厳しいため、適切な支援や助成が求められる。

懸念1:令和3年の死亡者数が増加傾向

厚生労働省が発行する人口動態統計によれば、2020年は前年の2019年に比べて9,373人も死亡者が少なかった。これは11年ぶりの快挙だった。しかし、コロナ禍の危機感を薄れると懸念する人がいるためだろうか、2020年の死亡者数の減少はマスメディアではほとんど報道されていない。しかし、今年の1月から5月の死亡者数の合計は620,210人だ。これは前年の同期(1月から5月)の590,535人に比べて29,675人に増加している。昨年との月別の乖離は、1月で8,222人、2月で1,974人、3月で4,418人、5月で4,807人、6月で10,254人となっている。この死者の増加の要因はなんだろう。ワクチン接種は3月と4月は医療関係者が中心でそれぞれ約97万回と約129万回程度だが、5月は約401万回、6月は約315万回と増えた。さらに、7月は約4,050万回、8月は約4,475万回と10倍以上に増加している。今後、もしワクチン接種回数と死者数の増加に高い相関関係があるようならこれは大変なことだ。

(出典:厚生労働省の人口動態統計より筆者が作図)

懸念2:イベルメクチンが承認されない可能性

新型コロナワクチンを摂取すると体に磁石がくっつくとか、マイクロチップで監視されるといったデマ情報が流されると注意喚起されたことがある。これらは明らかなフェイクニュースだ。なぜならそうではないことを立証できる。一方、不妊や自閉症を引き起こすというのはどうだろう。テレビでは、ワクチン摂取者とそれ以外で有意差がないという解説をしている。つまり、これを実証するには、ランダム調査を実施して有意差があるかどうかを分析する必要があるが、そもそも妊婦でワクチン摂取した人がどれだけいて、その結果がどうだったのかを証明できるほどの知見があるのかどうか。悩ましいのは、インドなどでは効果を発揮しているイベルメクチンに治療の効果があるというのがフェイクニュースと言えるのかどうか。YouTubeでは、イベルメクチンにCOVID-19の治療に効果があると断定的に主張することは禁止されている。YouTubeを利用したい人はYouTubeの利用ガイドラインに従うべきだ。嫌なら使わなければ良いからだ。YouTubeが示すガイドラインも「断定的に主張する」ことを禁止しているので、これなら理解できる。イベルメクチンも万能薬ではない。効果があるという論文と効果がないという論文があるということは、効果がある場合とない場合があるということであり、そのためにも専門家である医者の処方に従うべきだ。そもそも素人が医薬品についてコメントするのは差し控えるべきだ。ただ、YouTubeがこのようなガイドラインを示し、規制しているというということは、どこかから何らかの圧力があると考えるべきだ。同様に圧力を受けているかもしれない日本政府がイベルメクチンをCOVID-19の医薬品として承認する可能性は少ないのではないだろうか。
(出典:YouTubeヘルプ

懸念3:感染症の指定類が変更されない可能性

感染症の指定分類で新型コロナは2類もしくは1類相当で運営されている。このような運用は日本独自なので前述のYouTubeのガイドラインには「5類への変更」に関する記述は見当たらない。一部の専門家や医師は2類から5類への変更を提案するがほぼ黙殺されている。なぜだろう。以前も、「疑問4)新型コロナは2類が適正なのか。インフルエンザ相当の5類に引き下げれば医療逼迫は緩和するのか。」で投稿した。目的は5類への変更ではない。目的は、医療崩壊の防止だ。具合が悪いと思ったら近所の町医者にまず診てもらって、必要な薬の調合や治療をしてもらって様子を見る。重篤しそうなら大規模な病院に移って本格的な治療を行う。そのようなオールジャパンとしての臨戦態勢を構築するには、現在の2類指定では困難なのではないかという懸念だ。5類にすれば全て解決ではないが、少なくとも全国の医師が意思を持って患者の治療にあたれるようにすることが大事ではないだろうか。また、PCR検査で陽性になっても無症状者や軽症者が貴重な感染症用の施設を占有するべきではないだろう。軽症ならイベルメクチンを投与して、様子を見るので十分ではないのか。貴重な医療は、医療を必要とする人こそ利用すべきだと思う。インフルエンザでは1000万人規模の患者が出ても日本の医療システムは対応できている。新型コロナに適して対応フローを整理して整備することが求められていると思う。

<新型コロナ>厚労省「2類相当」見直し検討 インフル相当の「5類」への引き下げの考えも 佐賀新聞 2020/8/27 (共同通信)
厚生労働省は26日までに、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けの見直しを検討することを決めた。現在は「指定感染症」となっており、危険度が5段階で2番目に高い「2類相当」。入院勧告ができるが、感染者数の増加に伴い医療機関の負担が重くなっている。このため多数を占める軽症や無症状の人は宿泊施設や自宅での療養とし、入院は高齢者や重症化リスクが高い人に絞ることなどが想定される。
厚労省に助言する専門家組織で議論し、結論を踏まえ政府として「できるだけ速やかに対応する」(加藤勝信厚労相)方針だ。政府内には2類相当からインフルエンザ相当の5類への引き下げを容認する考えが出ている。新型コロナ患者は国内で1月に初めて確認され、その後、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)と同じ2類感染症と同等の扱いとなった。原則として入院などの措置を取ってきた。
その後、国内の感染者は6万人を超え、無症状や軽症の患者も多いことが判明。一部は宿泊施設などで療養してもらう運用が既に始まっているが、冬になればインフルエンザの流行で医療体制がさらに逼迫(ひっぱく)する恐れもあり、分類の見直しを求める声が出ていた。

懸念4:日本の経済や社会が疲弊する可能性

公務員やサラリーマンは、退職しなければ一定の給料を受け取ることができる。勤務の実態にあわせて現場に出たり、リモートワークで対応したりできる。しかし、特に、非正規のワーカーでは、例えばレストランが閉店・休業に追い込まれた時にどうするのだろう。観光客がいない状況では観光業で生活していた人はどうするのだろう。国や地方自治体からの補助金や厚生労働省の助成金は適切に運用され、本当に困っている人に届いているのだろうか。企業の雇用維持を支援するための雇用調整助成金は、昨年3月から今年7月までの支給決定額は累計4兆円を超えた。実質無利子・無担保の特別融資や借入金の返済条件の緩和対応、各種補助金・支援金などの資金繰り支援により、倒産は抑制されているという。2021年1~7月累計の倒産件数は3,573件であり、前年同期比では25.4%の減となっている。飲食店、ホテル・旅館業の倒産は前年同期比で減少しているが、旅行業ではさらに増加している。下の図に示すように、子育て世帯への支援もまだまだ不足しているのではないだろうか。

(出典:東京新聞

3つの希望

希望1:ウイルスの弱毒化の可能性

新型コロナに限らず、ウイルスの生き残りの代表的な戦略は、毒性を高める方法と感染力を高める方法だ。一般的に初期のウイルスは毒性が強いが、感染者も死んでしまうので、生き残りのために毒性を弱くする一方で感染力を高める弱毒化を進めるという。新型コロナの場合についてもこの弱毒化の傾向が進んでいるのかどうか。以下は、COVID-19に関するレジストリー研究として、6月5日以前に入院された方と6月6日以降に入院された方で入院後の死亡率が減少していることを示している。下の図(左)は、入院時に軽症や中等症例のケースで、最も多い70歳以上の年代も、10.6%から5.8%に半減している。下の図(右)は、入院時に重症例で、やはり最も多い70歳以上の年代でも31.2%から20.8%に減少している。死亡者だけではなく、重傷例も中等症例も減少してほしいけど、最もやばい死亡者が減少するのであれば、希望が持てるし、懸念1も緩和すると期待される。


(出典:リーレクリニック大手町

希望2:児童相談件数の減少

経済の悪化は、経済弱者に特に影響を与え、そのような家庭の子供がさらに影響を受けると懸念される。下の図は福島県での相談件数と感染者数の推移を示したものだ。感染者数と相談件数の推移は一致すると想定したが、そうでもない。相談件数は2020年6月から2021年1月にかけて増加傾向を示すが、その後は減少傾向にある。2021年の3月から6月にかけて感染者数が急増しても、相談件数は減少した。これは、初期の段階には、新型コロナに関する情報が少なく、緊急事態宣言などで自粛を強要されると感染者に対する非難や誹謗中傷が発生した。しかし、新型コロナに対する理解が深まる(慣れ)と、感染した人が悪いのではなく、いつ誰が感染してもおかしくないと考えるようになったのではないかと福島大の筒井雄二教授は分析している。「不安は人間心理の問題であり、簡単に改善できるものではないが、他人を傷つける行為は許さないという姿勢を社会全体で示し続けることが大切だ。」と説く。子どもたちの方が、事態の変化に柔軟に対応して成長しているのではないだろうか。

(出典:河北新報

希望3:老舗企業の創造的破壊

激動の世の中を生き残るのは強い種ではない。変化に追随した種だ。今回のコロナ禍では、大変な影響を受けながらも、その変化に対して適応する努力を続ける企業も多い。例えば、今から300年以上前の1716年(享保元年)に笹屋伊織が京都に暖簾を掲げた。徳川吉宗が徳川幕府八代目将軍に就任した年だ。そんな老舗も生き残るためにウェブを一新して、オンラインショッピングを始めた。簡単な操作で注文し、自宅や大切な方のところに配送してくれる。株式会社ロックウェーブが提供するECサイト「aishipR」の約1,000社の利用状況のデータを分析すると、2020年は2019年に比べて確実に増加しているという。例えば、2020年3月20〜22日の3連休では注文数は若干減少した。続く4月7日の緊急事態宣言後の注文件数の伸び率がそれ以前の期間に比べ高くなっている。さらに、4月後半のGW大型連休に向かうにつれて急激に増加している。提供者も利用者もネットでの注文の便利さに気づき、定着してきたと言える。老舗の存続だけではなく、新興企業にとっても、生き残りの鍵はECサイトなどへのチャレンジに掛かっていると言える。
(出典:笹屋伊織
(出典:ECのミカタ

まとめ

今回は4つの懸念と3つの希望とした。メディアでは短期的な視点からの感染者(正確には陽性者)の数字の増減ばかりを強調する。しかし、今が最悪とは限らない。さらに死者が増加するような最悪な事態も発生するかもしれない。実の母親がワクチン接種の後具合が悪くなり、医者に診てもらうと不整脈という。様子を見ることになるが、1週間ほどして心拍が停止した。幸い、すぐに手当てできたの今は元気だ。しかし、このような老人は多いのではないだろうかと心配する。一方、ウイルスが弱毒化しているのではないかという情報もある。慎重な分析が必要だが、もし、これが本当なら朗報の一つだろう。また、10歳以下や10歳代の子どもたちは新型コロナに感染しても重篤化することは少ないし、死亡例もない。しかし、感染することによるいじめが増えているのではないかと心配したが、大丈夫だった。全国ベースで目を配る必要があるが、少なくとも福島県では初期には相談が急増したが、ピークをすぎると子どもたちも学習して相談件数が減少した。これは素晴らしい成長と言える。成長しているのは、子供だけではない。300年以上続く老舗も、ホームページを立ち上げ、オンラインショップを開始するなど、現在のニーズとシーズをうまく取り入れて生き残りにチャレンジしている。素晴らしいとしか言えない。まだまだ、苦しいことが起きるかもしれないが、希望もある。ピンチこそチャンスと考えたい。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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