読書メモ:脳と心を考える。右脳と左脳の会話から言霊が出たのか。

はじめに

東京大学の総合図書館については、以前投稿した。約130万冊が蔵書されている。ほぼ風邪と同じ症状とされているが、オミクロン株の急拡大が止まらない中、リアルな活動は自粛せざるを得ない同調圧力を受けているが、図書館はリアルで秀逸な図書に溢れていて、これらを自由に閲覧できることに幸せを感じる。色々な図書を読んでも、残念ながら、どんな本を読み、どんなところに感銘を受けたのかが蜃気楼のように記憶の彼方に消えていく。図書のタイトルはおろか、著者名やページ数なども揮発性のアルコールのようにどこかに消え去るので、3冊ほどの読書メモを残しておきたい。

図書1:非対称の起源

著者:クリス・マクマナス
訳者:大貫昌子

心臓はなぜ左にあるのか(p130)

耳や眼、両手、両足などは左右対称だ。だけど、何故か心臓は左にある。これは人間だけではない。哺乳類だけでもない。爬虫類も、両生類も、魚類もあらゆる脊椎動物は例外なく心臓が左にあるという。しかし、昆虫や甲殻類などの無脊椎動物の心臓はど真ん中だ。何故なのだろう。最新の科学ではマウスのiv遺伝子を操作すると100%心臓が右にできて早死にする。繊毛の動きが関係するらしい。また、根本的には体を構成するアミノ酸は左利きなためという。でも、なぜアミノ酸が左利きなのかは不明。今後解明されるのだろうか。ノーベル賞を受賞したピエールキューリーは「非対称性が対称性から生じることはありえない」と言った(p223)。謎は深まるばかりだ。

(出典:朝日新聞

脳の非対称性

脳も非対称な臓器だ。なぜ右脳と左脳で機能が異なるのだろう。右半球は一般にはイメージを司るというが、ここでは、「認知という過程に関わっている」と言う。プレゼンするときはロジックとイメージの両方を伝えると理解してもらえると技術士の受験者に指導するが、これはつまり、試験官の右脳と左脳の両方に納得いただくことが大事と言うことになる。人間には脳梁(のうりょう)が発達している。イルカの脳梁は発達が悪く、そのサイズも小さいのと対照的だ。これは、イルカの場合には、左脳と右脳が機能分散ではなく、負荷分散のためではないかと個人的には理解している。

(出典:津熊照美のカインド日記

図書2:心を作る

著者;クリス・フロス
訳者:大堀壽夫(慶應義塾大学教授)

私たちが知覚する世界とは現実と対応した幻想である。

百聞は一見にしかずという。あれこれ噂を聞くよりも実査に会いに行って、自分の目と耳で確かめた方が早いし確実だ。ただ、眼に見えていることは事実とは限らない。100年前の人に液晶テレビを見せたら驚くだろう。画面に映っているものが実物と信じて疑わないだろう。また、実際に見えていても、認知していないものは見えない。つまり、知覚しているもは、実際の世界ではなく、脳内の世界モデルである(p.167)と言う。真っ赤なトマトの色を見ていると思っていても、それは現実の色ではなく脳が予測した色である(p170)と言う。確かにそうかもしれない。

(出典:光と色の話

図書3:共感覚者の驚くべき日常

著者:リチャード・E・シトーウィック
訳者:山下篤子

別々のパーソナリティ

人はだれでも少なくとも2つ。別々のパーソナリティを持っている(p.28)。大脳半球が脳梁で結合しているために、統合された単一の自己と言う一体感のある現象が生じる。それが喋る人だと言う。論理が飛躍するけど、言葉や文字ができたのは、もしかすると右脳のパーソナリティと左脳のパーソナリティを統合するときにコミュニケーションツールとして発達してきたのではないだろうか。そして、それが他者と自分とのコミュニケーションにつながる。そんなことを考えたけど、そんな記述はこの本には見当たらなかった。

(出典:発達ナビ

まとめ

最近の行動として、週日は読みたい本が見つかったり、知りたいワードが出てきたらamazonで手配する前に、東大のOPACで検索して、取り寄せる。そして、週末に図書館で閲覧して、気に入ったら購入している。10冊読むと1冊ぐらいは購入したくなる。土谷教授の処女本「クオリアはどこからくるのか?」をAmazonで購入して、1月10日に読者レビューを投稿したのにまだ反映されていない。一体、どれだけ時間をかけているのだろう。今回は、心と脳についての素朴な疑問を解き明かしてくれる図書を探して、3冊ほどレビューしてみた。調べると「脳と心」という図書もあった。著者はJ-P:ジャンジューとP・リクールで、合田正人さんと三浦直希さんが訳者だった。また、機会があればレビューしたい。意識は言葉にこもる。日本では言霊と呼ぶ。そして、その言葉は(個人的な思いつきだけど)右脳と左脳が会話する時の産物だったのではないか。そんな観点からの参考図書を読み漁った。以前も投稿したように、論文などもリポジトリーで検索できる。これからも興味の赴くままに深掘りしていきたい。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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