天然ガスのパイプラインをロシアから日本へ

はじめに

技術士の受験者指導をしていた。CO2の排出による地球温暖化をいかに防ぐべきかをエンジニアリングの観点から幅広く複合的に論ぜよという設問だ。これはなかなか難しいと調べていて、天然ガスに興味を抱いた。天然ガスを産出地から消費地に運ぶ方法は2つある。一つは液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural GAS)に凝縮して、タンクに詰めて船で輸送する。もう一つはパイプラインを建設して輸送する方法だ。

出典:武陽ガス 

日本で使われるエネルギーのうち天然ガスは23%程度

東京ガスによると日本で使われるエネルギーのうち約23%が天然ガスや都市ガスだ。トップは石油の39%、石炭の25%だ。日本のエネルギーは石油、石炭、天然ガスで87.5%となる。9割は化石燃料だ。原子力発電や核融合に期待できない状況では、CO2排出を削減するにはどうすれば良いのだろう。

出典:東京ガス

天然ガスはCO2排出量が石炭の57%程度

天然ガスは化石燃料の一つだ。しかし、天然ガスの特徴は石炭や石油に比べて燃焼時にCO2の排出が少ないことだ。特に、硫黄酸化物(SOx)を排出せず、窒素酸化物(NOx)の排出も少ない。CO2の排出はゼロにはならないけど、半減できるのは大きい。

出典:日本ガス協会

日本の発電電力量のうち天然ガスは44%程度

日本で使われるエネルギーの23%が天然ガスと前述したが、日本の発電電力量の電源別割合(2018年)では天然ガスが35.7%とトップだ。2位が石炭の32.0%だ。海外と比較すると石炭への依存度が高いのは中国、インド、韓国、ドイツについで5位だ。天然ガスではロシア、イタリア、イギリスについて4位だ。CO2の排出量が少なく比較的クリーンなら石油や石炭から天然ガスに切り替える方法はあるのではないか。

出典:電気事業連合会

天然ガスの輸送ルート

2011年3月11日の東日本大震災は、エネルギー問題を直撃した。もはや原子力発電に依存したり、期待することは難しい。まして、核融合も遠のいた。近づいたのはやはり天然ガスだろう。すでに日本はサハリンを起点として、稚内、札幌、苫小牧経由で本州につながる全長1500kmのパイプライン建設をロシアに提案しているという。これが実現すれば日本は天然ガスを従来の4割程度で利用可能となる。これが実現すれば、エネルギー問題は新たな局面を迎えることになるのではないだろうか。

出典:courrier

ロシア極東シベリアルートは実現可能か

エネルギーを浪費するリニアモーターカーの建設をなぜ推進するのだろう。エネルギーのほとんどが空気との摩擦で消えてしまうようなプロジェクトは慎重に検討するべきだろう。個人的には、新幹線の新ルートでいいじゃないかという気がする。それよりもロシアとの友好関係を強固にして、ロシア極東シベリアの天然ガスパイプラインルートを整備する方が経済的な効果も高いのではないか。パイプラインの建設時には、電力線や通信用の光ファイバーも是非敷設して総合インフラパイプラインにしたいと思うが、可能だろうか。
出典:毎日新聞

まとめ

エネルギー問題は難しい課題だ。原子力に期待できない状況では天然ガスに期待がかかる。太陽光発電や風力発電も発電時にCO2の排出はないが、太陽光パネルの建設時や撤去時にはCO2の排出があるし、何より緑化エリアとのトレードオフが気になる。つまり大規模のメガソーラは農地や山の斜面を利用するので、緑地が減少するだけではなく、山崩れの危険性や、台風直撃で破損する懸念、景観状の問題など懸念事項は多い。

出典:宮﨑日日新聞

以上

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