日本人の起源:土器から紐解く民族移動の可能性、縄文人とシュメール人の関係

はじめに

昨日の投稿では、氷河期の海退や温暖化に伴う海進や鬼界カルデラの大噴火などを時系列に並べ、日本と東アジア、ヨーロッパのとの交流の流れを次の2つの投稿でまとめた。

その1:海退や海進、鬼界カルデラ大噴火を生き残った逞しい縄文人(昨日の投稿
その2:土器から紐解く民族移動の可能性、縄文人とシュメール人の関係(⇨今回の投稿)

縄文人は、元々は大陸と日本が陸続きの時からの民族のうち縄文海進によって大陸と切り離された日本列島に残った民族だ。しかし、前後して鬼界カルデラの大噴火などあり、想像を絶する危機に直面した縄文人は逞しく生き残った。

昨日の投稿では、氷河期の海退や温暖化に伴う海進や鬼界カルデラの大噴火などを時系列に並べ、日本と東アジア、ヨーロッパの交流の流れを想像してみた。今回は、日本の縄文土器と非常によく似た縄目文土器がヨーロッパ各地から発掘されていることの紹介と、日本語とシュメール語との類似性などから縄文人とシュメール人の関係を考えてみたい。日本語は突然変異で生まれたわけではなく、非常に類似した言語がスリランカやトルコ、ハンガリー、シュメールなどで話されているのは素朴に嬉しい。今後、これらの言語の関連性や、日本人の起源の秘密などの解明が進むことを期待したい。


(出典:筆者が記載)

縄文土器と縄目文土器

以前、「日本人の起源:石器から紐解く民族移動」を投稿した。石器の流れから考えると縄文人とは、縄文海進によって大陸と分離して日本列島で生き残った民族であると考えられる。また、ヨーロッパで発見されている縄目文土器と日本の縄文土器は非常に似ているので、「日本人の起源:Corded Ware Cultureと縄文土器文化は同根ではないのか」を投稿した。この時にも感じたことだけど、日本とヨーロッパは相互に交流があったのではないだろうか。縄文土器は時代によってその形状が異なっているが、一貫しておしゃれで神秘的だ。一方、ヨーロッパで発見されている縄目文土器も時代や発掘場所によって形状は異なっているが、一貫して縄目で製造されている。そもそも、なぜ日本の土器が縄文土器で欧州は縄目文土器なのか。いずれも同根もしくは深い関係があるとしか思えない。

縄文土器(Jomon Rope Pottery)

下図(左)がもっとも古く紀元前10,000年から8,000年の古代縄文土器だ。下図(中)は、紀元前5,000年から4,000年の中期縄文土器だ。下図(右)は、この中では最も新しい紀元前3,000年から2,000年の晩期縄文土器だ。炎が燃えるようなデザインが革新的だ。

縄目文土器(Coded Ware Pottery)

下図(左)はもっとも古く紀元前6,000年頃のハマンギア(Hamngia)文化の時期の土器と人体を模したような土器だ。下図(中)は紀元前3300年から2,600年のヤムナ(Yamna)文化時代の土器だ。下図(右)は、紀元前2,500年ごろの土器であり、ベルリンの歴史博物館に展示されているようだ。ぜひ訪問したいと思う。


(出典:本サイト

シュメール文明と縄文文明

日本語と類似の言語

日本語は、中国語とも韓国語とも英語とも異なる言語であることが不思議だったが、世界には日本語と似た言語がある。すでにハンガリー語との類似性は「アルタイ語系のチェルク語に影響を受けたハンガリー語と日本語が似ているのはアルタイ語族仮説の証左か。」で投稿した。また、ヘブライ語との類似性は「日本人の起源:日本語とヘブライ語の類似性」に投稿した。大野晋は、タミル語との類似性を指摘している。シュメール語といえば、下図のような楔形文字が有名だ。

(出典:Cuneiform

日本語とシュメール語の類似性

シュメール人が活躍したのは、紀元前4,000年頃から紀元前3,000年頃という。どこから来たのかが不明で、どこに消えたのかも不明だ。しかし、楔文字を粘土に刻んでいるので、多くのことが分かってきた。最古の文字は、ウルク古拙(こせつ)文字で紀元前4千年紀のウルクで使われていた。ジェムデト・ナスル遺跡で出土した粘土板の文字と類似しているため、この文字と合わせてシュメール文字ともいう。日本語と同様に「てにをは」を用いる膠着語(こうちゃくご)だ。これは大きな特徴だ。日本と同じように印鑑の文化があったようだ。下図は、北海道小樽の手宮洞窟の模写図だ。1888年に日本人初の人類学者坪井正五郎が訪れたときには、劣化が酷くて、痕跡を失うことを恐れ、朱で彫刻面を補ったという。シュメール語の楔文字との関連などの研究が待たれる。

(出典:地球のことば

スメルミコト

シュメール人(Sumer)は、元々はスメル人と読んでいた。しかし、スメル人と書くと天皇(すめるみこと)を連想するために、西洋史学者で元・京都大学名誉教授の中原与茂九郎がシュメルを「シュメール」と表記するようになった。中原名誉教授は、アッシリア語など古代の西アジア研究に功績を残されている。アッシリア語も楔形文字を活用しているが、初期王朝時代の正自体に比べるとかなり画数が省略され、方向性も8方向から4方向に簡素化されている。文字は簡素化し、読みやすくなる方向に進化するのかもしれない。

(出典:音節文字の系譜(2)、千葉商大紀要、箕原辰雄)

シュメール人の法律

キリスト教では、「右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ」が有名だ。これにも諸説があるようだが、ユダヤ教は「目には目を,歯には歯を」という掟だ。これは、モーセが古代イスラエル人に与えた神様の律法だ。シュメール人の法律は、やられたらやり返すのではなく、傷害事件は相当するお金で賠償できるという規定だという。イエスはこの律法を山上の垂訓で引用した。(マタイ 5:38,「新共同訳」,日本聖書協会。出エジプト記 21:24,25。申命記 19:21)このおきては,罪の大きさに応じて犯罪者を処罰することを規定した(出典:シュメル-日本最古の文明、中公新書、小林登志子)。 

三種の神器

日本の三種の神器とは、草薙の剣(くさなぎのつるぎ)、八咫鏡(やたのかがみ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)である。驚くべきことに、シュメール人や古代バビロニアにおいても三種の神器があり、非常に似ている。それは、「武神のシンボルの剣」と「日像鏡」と「月像の首飾り」だ。さらには、日本の神話では、八つの首をもと八岐大蛇を退治した時に、草薙の剣をえる。シュメールの神話では、7つの首をもつ龍を退治して武神のシンボルの剣を得ている。このようにに日本の神話とシュメール人の神話は驚くほど似ている。

三機能体系説

フランスの比較神話学者ジョルジュ・デュメジル(1898年3月4日-1986年10月11日)は、インド・ヨーロッパ語族の神話を比較し、「三機能体系説」を提唱した。これは、社会を維持するための機能を次の3つに階層化するという考え方だ。
1) 第一機能:聖なるものや法律、王権に関する領域
2) 第二機能:主に戦争における力に関わる領域
3) 第三機能:豊穣や美、平和、多産などによる多数性など
北欧ゲルマンの神話では、これが「オージンの腕輪(第一機能)」、「トールの槌(第二機能)」、「フレイの豚(第三機能)」となる。ケルト神話では、「運命の石」、「剣・槍」、「釜」となる。イラン系遊牧民のスキタイの神話では「杯」と「斧」と「鋤と軛」となる。しかし、日本のシュメールの類似性は際立っている。

まとめ

地球温暖化の影響を軽減するためCO2の削減を世界的な規模で進めている。しかし、歴史を振り返ると、100m程度の海退や海進を経験している。「地球に優しい」というのは利己的なフレーズだ。地球から見たらではなく、「人類や他の生物にとって優しい」が謙虚なところだろう。日本の縄文文化や縄文土器は有名だけど、欧州の縄目文土器はあまり知られていない。日本は紀元前660年に建国したことになっている。これを起源とする皇紀で言えば、今年は2681年だ。皇紀が絶対的に正しいとはいえないのは、欠史八代の存在だ。欠史八代とは、古事記や日本書紀には記載があるが、その事績(旧辞)が不明な第2代綏靖(すいぜい)天皇から第9代開化(かいか)天皇までの8人の天皇だ。日本の建国にあたってのシラス統治の考え方などは、中東やアジア大陸での戦いに明け暮れる諸国を反面教師としたものであろう。その意味からもシュメール人との交流は、複合的かつ双方向だったのではないだろうか。調べるほどに謎が深まるばかりだ。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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