CATEGORY

社会的課題

日本技術士会環境工学部会に参加:ゼロ・エネルギービル(ZEB)を考える。

ゼロ・エネルギービル(ZEB)に関する講演会を拝聴した。50%以上削減しないとZEBとは呼べないし、75%以上削減したらニアリーZEBと呼ぶようだ。創エネ>消費エネルギーが理想だけど、それに向けては快適さを維持しながら無駄を無くし、知恵を発揮させる。水の循環も同様だ。先進事例は興味深かった。

自然の光合成を超える人工光合成は可能だろうか。CO2を資源とする技術に期待したい。

自然の太陽光エネルギー変換効率は0.2から0.3%だ。窒化タンタルと呼ばれる光触媒を利用するなどで7.0%まで上昇した。目標は10%だ。日射量の1000分の1弱の光合成で生成する地球規模のエネルギーの総量は約100テラワットだ。人工光合成の変換効率が高まれば違う世界が見えてくるだろうか。

レアアースの埋蔵量は豊富だが、包含比率が希少で、問題は大量の廃棄物。これはエコではなく、エゴシステムかもしれない。

レアアースやレアメタルは、存在は希少ではなく、埋蔵量は潤沢だ。問題は包含比率が希少なので、製造過程で大量の廃棄物が生じる。規制の厳しい欧州や日本ではとても経済的には精製できない。現状は中国に頼っているが、それもリスキーだ。豪州等と連携した資源のダイバーシティ確保が重要だし、グローバルにエコなものにしていく必要がある。

ノーベル物理学賞受賞の真鍋淑郎さんの凄いこととよく分からないこと。海進は起きるのか。

ノーベル賞受賞者が次々と発表されている。10月5日には物理学賞でプリンストン大学の真鍋淑郎さん(90歳)ら3人に贈られることが発表された。素晴らしい。功績は地球規模の大循環モデルを考案したこと、温暖化とCO2の関係を定量的に分析したことなどだ。地球の温暖化の問題はまさに地球規模の課題であり、今後も継続的な研究が必要だ。

自然災害で最も懸念すべきは巨大噴火かもしれない。巨大地震との連動も心配だ。

日本は自然災害が多い。台風や地震、大雨、土砂崩れなどに加えて火山の噴火やこれに伴う土石流や火山灰の影響は大きい。人体への影響に加えて社会インフラや電子機器への影響もあり、都市機能を麻痺させかねない。ただ、これに対する対応策の決め手がない。国家や企業レベルで言えば機能分散が有効だ。個人では情報の入手と予知活動か。

海洋エネルギーの潜在能力は十分。問題は如何にそれを活用できるか。課題が多いが可能性も大きい。

日本は海に囲まれた島国だ。暖流も寒流もある。波の高い海もある。温暖化で海面温度も上昇する。これら海洋エネルギーによる潜在的な発電能力は国内需要の5-6倍だ。問題は現実的に活用できる量だ。まずは国内需要の1割を超えたい。海水を活用するため課題も多いが、技術開発投資を果敢に進め、実証実験や実用化を着実に進めたい分野だ。

遠隔医療その4:医療の電子化や遠隔診療を加速するのは診療報酬かもしれない。

日本でも電子カルテの整備や医師証明書のIC化、遠隔医療の普及はまだ途上だ。これを加速するのは、法制度や補助金の整備と適切な診療報酬制度の運用かもしれない。病院の3分の2が赤字経営と言われている。医療機関の健全な経営と運営には何が必要なのだろう。これは深くて重い問題だ。

遠隔医療その3:遠隔医療アプリは成長事業。国民の健康度向上と国民医療費の低減が重要かつ必要だ。

国民医療費がGDPの約8%という。しかもその多くが高齢者の終末期医療費(一人平均112万円)は不健全だ。延命ではなく、健康寿命を伸ばすことが重要。そのためには遠隔診療アプリをもっと勧奨して、助成して、活用して、元気に健康に長生きして活躍する構図にシフトしたい。日本でも海外でもスタートアップ企業が頑張っている。

遠隔医療その2:患者の負担を増やさず医師の収入を減らさない診療報酬制度の改善が鍵。

遠隔医療の課題は多いが、技術的な課題は時間が解決する。難問は利害の調整だ。遠隔医療の患者負担を対面よりも減らし、医師の報酬を対面より増やすことができれば一気に普及するように感じた。仕事でも学校でも遠隔が成功したように、医療も遠隔診療を加速したい。鍵は診療報酬のさじ加減だ。

遠隔医療その1:その定義と市場動向。2018年度で188億円の市場。今後の拡大に期待。

コロナ禍に伴い遠隔医療への期待が高まる。市場は増大しているが、対面医療の0.1%にも満たない。今後、利用者の負担を抑え、コストも合理化し、機能や操作性の改善が図り、安全・安心に遠隔医療を利用可能とすることが求められる。遠隔医療の積極展開への青写真を描ければコロナ禍での大きな成果となり得るのではないか。