脳型情報処理機械論#9-1:自由エネルギー原理による知覚、行動、学習の統合

はじめに

先週に続いて、今週も脳型情報処理機械論の9回目の講義の予習をしておきたいと思った。なぜなら、予め講師の論文などを概読しておくと講義の理解度が確実に高まるからだ。講師それぞれに得意分野があり、関心を持っている分野が違うけど、何に拘っているのかが論文から推察される。その上で、その講師から何を得たいかを理解し、その講師が今後の研究課題と考えていることを理解できるように講義を受けたいと思った。その2とその3は講義後に復習の意味を兼ねて整理した上で投稿にトライする。

その1:講義前の予習(⇨ 今回の投稿)
その2:自由エネルギー原理(次回の投稿
その3:知覚と行動選択・意識(次々回の投稿

講師

第9回の講師は、北海道大学人間知・脳・AI研究教育センターの吉田正俊特任准教授だ。第6回の抗議にも参加されていて、私のブログをTwitterで紹介頂いた吉田先生だ。ネット大好きでざっくばらんな性格だけど本質を見極めてズバリ解説してくれる先生のようなので今回も期待度120%だ。東京大学では医学博士を取得し、東京大学医学部の研究員や南カリフォルニ大学の訪問研究者などを経て現在の北海道大学の准教授に着任されている。下の写真は、2019年6月に開催されたシンギュラリティサロンで熱弁を振う吉田准教授の様子だ。

(出典:Singularity Salon)

講義のタイトル

今回の講義のタイトルは、「自由エネルギー原理による知覚、行動、学習の統合」となっている。11月12日の磯村博士の講義の様子を以前投稿したが、確かに磯村博士の解説論文のタイトル「自由エネルギー原理の解説:知覚・行動・他者の思考の推論」と被っている部分がありそうだが、同じ分野のことを違う方からそれぞれの言葉で解説してもらうと理解度も深まる。また、磯村博士と吉田准教授はキャラクターも違うので、どのような講義になるのか今から楽しみだ。

研究分野

吉田准教授の研究キーワードとして、次のようなキーワードが並んでいた。発表されている研究論文も多彩だ。一体どんだけ知的好奇心が旺盛なのかと思う(笑)。

背側視覚経路 半側空間無視 身体認知 局所神経回路 スライス 報酬予測 脚橋被蓋核 サリエンシー 膝状体外視覚 視床 ヘテロ複雑システム サッケード運動 サル 認知機能 上丘 サッケード 注意 眼球運動 膝状体外経路 残存視力 視覚意識 急速眼球運動 空間的注意  包括ネットワーク 統合脳・統合脳
(出典:リサーチマップ

気になること

個人的に関心のあることは、意識と心と感情の関係と存在場所だ。今回は、そのうちの意識の部分について深掘りして頂けるように理解している。意識は脳もしくは脳神経の中で創生されているような気がするけど、吉田教授の論文等をざっとみて、次の点について講義があるような気がする。

・自由エネルギー原理(FEP:Free Energy Principle)
・エルンスト・マッハの感覚の分析
・知覚のモデル(フルベイズ、変分ベイズ推定)
・ヘルムホルツの方程式
・NCC(Neural Correlates of Consciousness)

まとめ

東京大学大学院の学生になって良かったことは数多い。最先端の講義を受けられること、特に今回のようにゲスト講師がリレーで講義してもらえる場合には最前線の研究者の方々をより直接的に知れること、考えるヒントを得られること、そして、図書館等で気になる分野やキーワードに関する図書を閲覧できることだ。今回の吉田准教授の講義を予習していて、気になる図書を検索してらほぼ閲覧可能だった。時間を見つけて本郷の総合図書館を活用したいと思う。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

参考:閲覧予定の図書
・感覚の分析(エルンスト・マッハ著)
・意識は存在しない(河野哲也著)
・知覚の中の行為(アルヴァ・ノエ著)
・直接知覚の根拠(J.J.ギブソン著)
・感情とはそもそも何なのか(乾敏郎著)
・脳と時間(ディーン・ブオノマーノ著)

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